第18話金が




我が家の倉庫の半分までが大量の小麦粉で一杯だよ。


「これって何ヶ月持つかな・・・」


「ゴブやブー助らが食べなければ1年は大丈夫かな・・・」


「いやいや、俺らが食べる物に興味を持ち出したからなーーマンモスステーキで味を知ってしまったからダメだろう」


小麦粉1袋をキッチンに運び、うどんの生地をねり始める。


「どうして私たちも強制参加なの・・・」


「生地をねりながら話したいことがあるからだよ」


「それって帝国の街の話よね。どんな感じの街だったの」


「あれは中世のヨーロッパ風かな・・・あまり知らないけれども、そんな雰囲気があったような」


「はい、はい、そこは手を止めない」


「厳しいのねユウは・・・」


「美味しくなれ、美味しくなれってねるのがコツだよ」


「わたしも同じように母に教わったわ」


「あれ、泣いてるのか」


「ユウはデリカシーがないのよ。そんなところがいいのかな」


「話を戻すが・・・アポローネって名の街には日本人もいるらしい。しかし、奴隷契約されて自由に出歩けないのが実情なんだ。なんでも人間を契約で束縛して契約違反すると心臓が停止するらしい・・・厄介な奴隷商人だけが出来る限定魔法なんだよ」


「それじゃ日本人を助けだせないの」


「希望はある。俺の光魔法と支援魔法。支援魔法には相手がかけた呪いや状態異常を解除することも可能で、光魔法と合わせ技でどうにかできないかと考えてる。それだけなく、助け出した後の脱出ルートが必要なんだ」


「それってゲートを抜けて日本で安全な場所をリサに覚えさせるで合ってる」


「はやい話がそうだ・・・しかし、俺は日本に逃げ帰る気もないよ。まだまだ日本人の大勢の人が捕らわれ身で奴隷なんてあり得ないよ。奴らにそんな権利があってたまるか!」


「ユウ、興奮し過ぎよ。あなたの気持ちは、わたしたちも良く知ってるから・・・」


ああ、ちょっと感情がでてしまったな。


「日本に行ってここで手に入らない物を買う積もりだから、リストアップしておいてくれ」


「え!お金なんて4千円ちょっとしかないよ」


「わたしも・・・」


「家に帰れば・・・やっぱり無理・・・」


「俺のキャッシュカードがあるから・・・銀行が倒産してたらダメかも・・・」


「そうね・・・結構な数の銀行倒産騒ぎがあったもの・・・全員、有り金だして」


ジャラジャラと小銭までテーブルにぶちまける。


「5万4千523円か・・・この金額で、とりあえず買うリストとキャッシュカードがOKなら買うリストでいい」


「ああ、それでいいよ」





ゾンビが徘徊してて、悪臭が凄過ぎる。


「鼻を摘んでも。この空気をすってると思うと気分が悪くなりそう」


そんな思い出すようなことを言うなよ。


「向こうをのぞくから待ってくれ・・・・・・大丈夫だ」


1番に入った。

やっと新鮮な空気が・・・深呼吸で嫌な空気を吐き出す。


「グズグズしてないで行くわよ、そして隠れるのよ。わたしの探索系が遠くのワイバーンとドラゴンを探知してるのよ。何か嫌な予感がするわ」


急にナナが元気になってるぞ。


俺らの走りは、シズの走りに合わせている。

シズがこの中で体力系がダメなんだ。

しかし、今では魔法系は結界魔法、火魔法、土魔法の3つが使える。

俺なんか、体力も魔法も爆発的に上がってる。


人によって違うらしい。






ビルの屋上から東京を見てた。

あんなに壊されていたのか酷い物だ。


「スマホの情報だと、あの川を越えれば安全地帯よ」



シズが悲しそうに東京を見てた。


誰も声を掛けられなかった。


「ご免、待たせて・・・もう、大丈夫だから」


「日本政府にばれないよう幻魔法を掛けるよ」


「大丈夫よ。やって」


幻魔法発動。


「それでは行くぞ」


ナナとキキを両脇に抱えて飛んだ。

シズは、リサに抱きつきリサも飛んだ。


「空を飛ぶのっていいわ。風魔法の習得のコツってなにかな」


「知ってたら教えるよ」


「ナナねぇは、魔法系が全然ダメじゃん」


「望みを持っていればいつか達成するのよ。今日なんか弱点看破を習得したのよ」





俺のキャッシュカードは、使用不能だった。

俺も覚悟は出来てた積もりだったが、苦労して貯めた金が・・・

預金保護の貯めてた金も使い果たして、俺の銀行が倒産寸前まで頑張り過ぎたらしい。

はやく倒産していれば・・・政府も金をケチって金を出さない。



「それにしてもよーー。こんな御時勢に競馬運営はしてるんだ」


「ユウ、そんなにひねくれないで、ここで金儲けするのよ」


「2-4で間違いない」


「シズ、間違いないのね」


「間違いない」もう確信にみちた顔だ。



ゴール寸前まで固唾をのんだ。

外れたら1万4千523円で夕食を食べて帰るだけだ。

そしてゴールした。


「やたー!配当は・・・・・・」


4万×31倍で124万円を手にする。


次のレースも4万円を賭ける。


「え!もっと賭ければ」


「あまり高く賭けて、ばれたらやばいからな・・・」


「そうかな・・・」


4万×16倍で64万円。


「ねえ!3連単で買えば、もっと倍率がいいって聞いてきたよ」


「3連単ってなんだよ。競馬なんかやっとことないから・・・」


「1着、2着、3着となる番号を着順通りに的中させるって、だけどシズなら簡単に当てられるわ」


「大変よ、シズが何か悪い予感がするって」


本気マジか・・・具体的には何が」


「それは、分からないらしいの・・・イメージがコロコロ変わるって」


もう、逃げるように去ったよ。



持ちなれない大金に5人して浮かれながら、ひと気のない場所へ来たのが不味かった。


「おい!色男。金をだしな。それと女はおいて行け」


5人のガラの悪いおっさん連中だ。

シズを見てニヤケ顔だ。なんだか腹が立って仕方ないぞ。


「俺には、これもんがいるんだ」


そう言いながらほおを縦に指でなぞる。


「それが何よ。ヤクザが怖くて魔物相手に戦ってないって!」


「もしかして、覚醒者・・・」


「当たり前よ」


石を拾って粉々に握りつぶす。手を開くとパラパラと落ちた。


「まだやる気ある・・・骨をボキボキに折るわよーー」


「逃げるぞーー!」



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