第17話帝国の街
「あいかわらずゾンビが徘徊してるな」
「あれから数日過ぎたから腐敗が激しくって見てられないわね」
「それより風魔法を習得して、思うように飛べるのか・・・」
「飛べるわよ」
あ、物凄い勢いで空に・・・俺は後を追う。
「やっと捕まえたぞ」
「ごめんなさい・・・ちょっと勢いがついてそまって」
「やりたいことがあるかもしれないが、逃げる手段の1つでもある飛ぶのも練習しろよーー」
「分かってます・・・それでも30センチの魔法の杖は便利ね」
「木人の枝を使って、芯には結晶棒が入ってるからね。錬金術で作れるから中々な魔法の杖だよ。これで暴走もないからね」
「わたしも錬金術が欲しいな・・・あ、コボは、どっちの方向にいるの」
「手を出して・・・俺が誘導した方が速いから」
「はい」
右手には、彼女の手が・・・左には強化ガラスの大盾で、風よけにして飛び続けた。
「気配は、この辺なんだが・・・あ、あそこだ!」
「あっちには逃亡兵よ・・・前より少なくなってる・・・」
コボに念話で来たことを知らせて降下。
2人してフワッと着地。
「コボ、食料と水だ」
だいぶ腹が減っていたのかキラーラビットの肉にかぶりついている。
『うまうま・・・』
「数が減ったようだが・・・何かあったのか・・・」
『仲間割れが起きて、弱い方が呆気なく殺された』
「理由はなんだ」
『食料を取った取ってないで殺し合いになった』
5時間後。
やけに霧がかかる谷間に来てた。
「なんか奴らが騒がしくないか・・・」
『もうすぐ街だと喜んでる』
「え!コボは、言葉が分かるのか・・・」
『長い間、尾行して話し方も覚えた』
「凄いわコボちゃん。まさにバイリンガルね」
「それにしても霧が濃いなーー」
ちょっとでも離れ過ぎると見失うほどに・・・あ、これは魔法の霧だ。
「あ、何か呪文を唱えたぞ・・・霧が消えてゆくぞ」
「それより谷間の遠くの向こうに街が、街があるわ・・・日本人が居るかも・・・」
「俺らも行こう」
「ちきしょう!せっかくここまで来たのに霧で見えなくなったぞ」
「コボ、さっきに呪文を覚えているわね」
『いや、聞いてなかった。街に夢中になってた』
「コボ、こんな追跡行動をしてる時は、相手の行動や話の内容もしっかり覚える必要があるんだ。今後は忘れるなよ」
『わかった』
これは幻魔法の応用だ。
幻魔法と魔眼で秘密を暴いてやる。
これは目の錯覚で、進んでいるが同じ道をぐるぐる回ってるだけだ。
「ここだ!幻魔法を発動」
霧が消えて街の道が続いていた。
「早く聞くぞ、まだあそこにいるぞ」
見つからないように尾行をして岩陰に隠れる。
もう、この先には障害物がなかった。
「あれが街の正門みたいね。あ、門番が逃亡兵に気付いたわ」
「そうだな・・・大騒ぎしてるぞ・・・街の壁以外、結界はなさそうだ。これならチャンスかも・・・」
「何がチャンスなの・・・」
「今から風魔法で飛んで街に潜入する」
「え!門番や見張りに見つかってしまうわよ」
「こっちには、幻魔法があるから大丈夫だよ。コボは俺にしがみ付け、リサは俺の手を握って同時に風魔法を発動するんだ」
「分かったわ」
「幻魔法発動!風魔法発動」
3人がふわりと浮き出す。
俺に引張られて街の壁を飛び越える。
見張りが全然気づいてないぞ。
俺らの周りに背景と同じように見せてるから気づくハズがない。
「あそこがいいぞ。リサ降下するぞ」
「うん」
着地に成功。魔法を解除。
「今から幻魔法で街の人と変わらない身なりや顔にするから驚くなよ」
空から見た街人を想像して幻魔法を発動。
黒髪の人間は見なかった。金髪や赤や紫の髪の色が主流のようだな。
「あら、あなたがコボ・・・こっちはユウなのね」
『着てる服も変わってる』
自分の服をいくら触っても素材や服の形は同じだって・・・
「いいかコボ、念話でコボに話すから街の人と会話するのが役目だからな」
『分かったよ』
「××××、×××××××××××××。×××××、××××××××××」
『××、×××××××××××』
トコトコと俺らの所へ来たコボは『あっちこっちの街に分散して送られたらしいです。身分は奴隷で儀式の日まで殺すなと皇帝命令だと』
「儀式の日ってなんだ」
『あまり詳しくないと・・・』
「その儀式って怪しいわね・・・絶対に私たちに関係してるに決まってるわ」
「うーん、どうだろう・・・ここにも日本人は居るのか」
『いる・・・』
「その前に、分散した街の場所を特定しよう。特定してから日本人の開放作戦をした方がいいと思うが・・・どうだろう」
「場所特定が先ね・・・本屋で地図が手に入らないかしら」
「そうだな本屋でも探すか・・・コボ、これがドラゴンの金貨だ。これで交渉して金の価値も調べてくれ」
『分かったよ』
3人してブラブラして「あれが本屋だ。めちゃめちゃ豪華な建物だな~」
俺らが入ろうとして止められたよ。
「ここは、金持ち相手だ。そんな格好で来るな」
コボが念話で教えてきた。え!そうなんだ。
高級レストランみたいにドレスコードが決まってるのか・・・
《ゴブ、金貨1枚をみせてやれ》
『分かった』
金貨の袋を取りだして金貨1枚を見せた。
「これは失礼しました。どうぞお入り下さい」
『地図を探してるのだが、何処にあるかな』
「こちらで御座います」
なんと本棚には、魔法が・・・下手に触れないシステムか・・・
しかし、俺の魔眼を邪魔するのは不可能だ。
なんだ禍々しい本があったぞ。
気になって立ち止まった。目立つようにガラスケースに収められてたよ。
「この本が御気に入りですか・・・金貨100枚です」
それならあるぞ。こっそりと金貨袋2つを取りだす。
「確認して参ります」
本屋を出た時に、外は夕暮れだった。
俺らって、そんなに居たのか・・・
地図や魔法初心者、錬金術書など沢山の本も買ったよ。
金貨2枚でお釣りが貰えたよ。
いかにあの本がバカ高いか・・・めちゃくちゃ気になる本だ。
ペラペラめくったが俺らが知る文字のもっと古い文字らしい。
だから全然読めない本だよ。
解読出来たら何か分かるかも・・・
人がいなそうな場所を探しながら歩く。
「ねえ、あそこに載ってる袋って小麦粉かも・・・やっぱり小麦粉よ」
袋かもれた粉を触って、舌でも味わっていた。
「リサ、勝手なことをするな!俺たちに有害な毒かもしれないぞ」
リサもしまったような顔をする。
俺も同じように急いで舐める。
「良かった。これは大丈夫だ・・・」
「勝手なことをしてごめんなさい」
「以後、気をつけるなら許すよ」
「もう、ユウたっら・・・」
変なおっさんが怖い顔をして怒鳴ってるぞ。
『勝手に商売品に触るなと言ってる』
「コボ、この商品を全て買うから頼む」
『分かった』
あ、釣りの銀貨1枚を手渡したぞ。
あれだけで買えるのか・・・めちゃ安いなーー。
『親分、交渉術で値下げさせて買ったよ』
「コボには、交渉術ってあったのか・・・なぜ言わなかった」
『使う場がなかったから・・・だから言っても無意味』
ならば・・・本屋での交渉は・・・
無限収納に収納してその場をさった。
おっさんはビックリしてたけど。
「ここなら大丈夫そうだな帰ろうか」
「確認よ、私に触ってる」
俺は手を改めてギュッと握った。リサも握り返してきた。
それなのにコボは、なぜか俺にギュッと抱きつく。
「OKだ」
その場から俺らは消えた。
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