第16話ゲートでの決戦




ブラックが気持ち良く寝てる横で、畑仕事に勤しんでる。


「あれ!誰かが呼んでるような」


『主殿、ゲートに大軍が乗り込んできたと言ってる』


ドラゴンは、やはり耳がいいな。


「ブラック、俺を乗せて下まで行ってくれ」


ピョンピョンッと跳ねて飛び乗った。


『掴まって下され』


掴んだ途端に飛んでた。

そして、ゆっくりと降下してるよ。



「ユウ!遅いよ」


もう、手を繋いで待ってた。


「俺はブラックに乗ったまま行くよ。ドラ助を呼び寄せないといけないから」


「そう、仕方ないわね。軍勢の数は大よそ5万だから本気みたい・・・勝てるかな・・・」


「絶対勝つよ。俺が約束したのを忘れたのか・・・」


「そうね・・・勝しかないもの・・・」


「みなー行くわよーー!」


あ、消えたぞ。


2分後に滑空するドラ助が「ブラック、飛んでいいぞ」


バサッと羽を羽ばたく。


上空でドラ助と合流。そのまま飛び続ける。


「え!もう戦ってるのか・・・ブラックとドラ助は、上空のドラゴンをやっつけろ」


『分かり申した』


俺は、ドラゴンから飛び降りる。

そして、風魔法を発動。落下速度が急に緩和。


俺は、戦いを眺める。

形勢は不利でないが数で圧倒されてるのは間違いない。

あの遠い所にいる奴らは、高みの見物をしてるぞ。

狙いは、あれだ!


あれが軍の本体に違いないぞ。向かって飛び続けた。

奴らの上空にたどりついたぞ。


お、慌てて氷のつららが幾度も飛んで来たぞ。

右にかわし、左にかわす。


もう、きりがない。


「毒の雨よ、降れ」


もくもくと紫の雲が出来上がって、俺が見えなくなったぜ。

ぽつりぽつりと雨粒が落ちだす。

その数が徐々に増えだす。とうとう紫の雨が降り注ぎだしたぞ。


「なんだ、この雨は・・・紫だと・・・あ、苦しい、目が目が・・・」


「誰か助けてくれーー」


まさに毒地獄だ。


「母さん、助け・・・」


それが男の最後の言葉だった。

ああ、下は死体で埋め尽くされたぞ。


なんだ、この感覚は・・・


目の前に・・・


【氷魔法習得】

【幻魔法習得】

【錬金術習得】

【生命吸引習得】

【支援魔法習得】

【精霊魔法習得】

【死霊魔法習得】

【メテオ魔法習得】


これって下にいた人々の能力か・・・めちゃ凄いぞ。

こんな奴らを早く殲滅せんめつ出来て助かったぜ。

それって俺らを見くびってたのかよ。食えない奴らだぜ。



ちょうど死体だらけだ。死霊魔法を使ってやれ。

結晶刀を無限収納から取り出して死霊魔法を発動。


ああ、感じるぞ。すくない魔力で死霊魔法が大勢の死体を支配。

お!死んだハズの死体が立上がったぞ。


「お前たちの仲間だった奴らを殺せ!」


剣で仲間だった兵を背中から斬ったぞ。え!剣を捨てて食らいだしたぞ。

これがゾンビの本質なのか・・・これって日本人を苦しめた者たちのなれの果てか・・・まさに天罰だ。


ああ、見事に大勢で食らい尽くしたぞ。


負傷した者がゾンビ・・・



今度は、仲間が倒した所まで飛んで死霊魔法を発動。


魔物や兵が立上がったぞ。


「いいか、俺の敵をんで傷つけろ。殺してはダメだ」


今度は噛むだけで、次々と噛んでるぞ。

もう、じゃんじゃんとゾンビが増えてる。

増えて増えて殺し尽くせ。


死霊魔法のデメリットは、1度発動した命令は取り消せないことだ。

1つだけ方法はある。ゾンビに触って命令すればいい。



あ、あっちには無傷な敵がまだいるぞ。


「メテオを試そう。成る程、最初はこんなものだろう」


小さく魔力を押さえ込んで、結晶刀を天に向かって突きだす。


凄いぞブラックホールのような穴が発生。


あ、そこから小規模の隕石が8つも現れたぞ。

そして、奴らに向かって降り注いだ。

爆発のオンパレードだ。

凄過ぎる破壊力だぞ。その熱風が・・・めちゃ熱く感じる。


土煙が消える頃には、あっちこっちにクレータの穴が・・・



仲間の方を見る。


やっぱり目につくのがシズの結界に守られた味方だ。

攻撃魔法の火球も簡単に跳ね返している。


あの木人も目立つぞ。

木人が大勢の人々を踏み付けているところだ。

念入りにギュッとねじって踏んでる。


ヒドラは、空に飛ばずに地上でブレスを放ちまくってるぞ。


ロックは、石の砲弾をドンと撃ちだす。


ナナは、振り出す衝撃で幾人もの死者を量産。


リサは、一瞬で消えて死角から結晶槍で突き刺す。

又も消えて兵士を突き刺していた。




「俺たちは、勝ったんだーー!!」


「だけど数は少ないけど逃げてるわよ」


「あれは、ワザと逃がしたんだよ」


「どうしてそんなことをするのよ。奴らが私たちにしたことを忘れたの」


「忘れてないよ。ここからが奴らを追跡して何処に本拠地があるのか調べるんだ」


「ごめんなさい。そこまで考えていたなんて知らなかったから・・・」


「コボ、追跡を頼むぞ。決してさとられるな」


『分かった』


もう、狼の姿にはや代わりして走ってるぞ。

そして、徐々に姿が薄くなって消える。

コボの特殊能力らしい。


頼むぞコボ!



「このゾンビたちも連れ帰る気なの・・・」


「このまま、ここに放置して奴らと戦わせておけばいいだろう」


「それもそうね。ユウって頭いいね」


「褒めても何もでないぞ」


「夜のお仕事で返してもらうわ。ウフフフ・・・」


何か背中がゾクッとしたぞ。

彼女にタガが外れた瞬間だった。



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