第13話経験値




あの竜巻には、まいったぜ。

オーク達が狩りに出掛けてなかったら大変なことになってただろう。


木人が飛ばされる程だ。オークなら簡単に遠くまで飛ばされていただろう。


『親分、ナイフできたかなーー1番弟子だから1番に作ってくれるよね・・・』


なんだ、なんだ。

コブ、ちょっと甘える声で催促かよ。


「ああ、結晶ナイフなら出来てるぞ」


もう、目をキラキラさせてナイフに魅入られてるぞ。

ああ、スッテップしながら何処かへ行ってしまった。



『ブーブー』


なんだブー助か・・・お前は、何故か薙刀なぎなたが欲しいって言ってたな。

ナナの入れ知恵に違いない。


オークが薙刀なんて知るハズが無い。


無限収納から薙刀をホイッと出してやる。


『親分・・・感謝、感激!』


あ、ブー助も走り去ったぞ。

そんなに薙刀で狩りがしたいのかよ。



「さあ、階段作りの再開でもしようか・・・」



あの竜巻事件で土砂がなくなったからな。

その土砂を作る名目でオーク達の家も作る羽目になったよ。


なのでちょっと離れた位置に階段を作ってる。

絶壁を階段で登ってもらう積もりだ。


いくらなんでも絶壁下部に穴を掘り過ぎたら強度不足なるって結論だ。

だから階段で上まで行ってもらい、どでかい部屋を作る予定だ。


あのキラキラ結晶の土砂も出来たから一石二鳥だ。



それにしても4人は、オークやロックまで連れて狩りに行ってしまうなんて・・・

どこへ行ってしまったんだよ。




「よっこらしょっと!」


下をのぞき込んだ。10階の高さだから落ちたら大変だな。

手すりも欲しいな・・・

余計なことを考えるな、手すりは部屋を完成させてから考えよう。


土魔法を発動。


ボロボロの土砂を無限収納の中に収納。

これってめちゃくちゃ便利で1人でも出来るようになったよ。

だから俺を残して狩に行ってしまうとは・・・薄情な奴らだぜ。


あれからロックベアーを見かけなくなって、誰1人も土魔法が使えない状態だから・・・

何処にいったんだロックベアーめ・・・


もう、1人ぼっち作業も慣れたものだよ。



あ!俺が召喚した魔物が大物を倒したみたいだな。

ビンビンと俺の中に経験値が入り込んでくるぞ。


【ゴブリンⅡ進化可能】【猛突習得】


なんだと・・・結晶ナイフで魔物を仕留めたのか・・・ゴブよ。


「ゴブよ、進化しろ」


何処かの空の下でゴブがゴブリンⅢに進化してるのか、どんな姿になってるだろう。



ああ思い出してしまったな。

衝撃の事実は、1週間前だ。

俺らが寝てる時にうなされながら目覚めた。

胸がドキドキして興奮状態だった。


突然だった。


【オークⅡ死亡】【身体強化・素早さ倍増・暗黒魔法習得】


慌てて外のオークを見に行ったよ。


「1、2、3、4、・・・・・・19、20なんだよ誰も死んでないぞ」


何の異常ナシで「グー、グー」とのん気に寝てる。


考えられることは、ゲート向こうのオークの誰かが死んだことだ。


ゲート向こうの召喚オークが死亡したことで、一気に死亡したオークの経験値や特殊能力が俺に継承されたポイぞ。

離れていても召喚魔物の経験値が多少なりにも、俺に入っていたのだろう。

俺との付き合いもあまりないオークで、離れてるので名も付けられなかった。

それでも人間達の力になって死亡したと思うことにする。


「よく頑張ってくれた。名もなきオークよ」




あ、遠くから声が・・・


「あれ!あれってマンモスだ・・・ゴブが言ってたのが本当に居たのか・・・マンモスなんかいるハズなんかないと確信してたのに」


ロックがマンモスを軽々と引張ってるぞ。

マンモスの上に乗ってるのがゴブなのか・・・魔眼でよく見えるぞ。

少し大きくなって緑色の肌が青色に変化。

その後ろにもマンモスを運ぶオーク10体が・・・


今日の晩御飯は、マンモスステーキになりそうだ。


ならば植物魔法で育てた胡椒もどきを収穫するしかないぞ。

ちょうど実ってるハズだ。

今からだと生胡椒になるがフレッシュな香りがするだろう。

肉の臭みをきれいに取ってくれるし、食欲増進にも効能があるみたいなんだ。


キッチンの塩の在庫も少なくなってるぞ。胡椒と一緒にシオシオ草も刈り取ろう。




絶壁の上が我が家の家庭菜園。

日当たり良好で家庭菜園には持って来いだな。


川向こうで見つけたフサフサ草は、白菜に近い食感だ。

俺の毒魔法でも人間には無害と立証されてる。


ひと葉っぱむしり取った。

「クシャクシャ」と微かな甘みが・・・


肉ばかりだと栄養に悪いし、これでフサフサ鍋かサラダでもいけるぞ。

一番でかいのを4つ程取っちゃって収納。


「そうだ、大根に似たのは何処に栽培したかな・・・」


『主殿、そこで何をしているのでしょう・・・』


「野菜と胡椒を取りに来たんだ」


『そんな草など食べずに肉のみで十分でしょうに』


「ブラックは知らないのか・・・栄養バランスを・・・」


『肉を食って500年、何も問題はないのに・・・この体を見てくれ』


「なんだと・・・500年も生きてたのかよ」




あ、下から声が・・・


『親分!上にいるのは分かってますよ!』


「ブラック、その話は後でな」


『分かり申した』


もう、階段を3段4段と飛ばして駆け下りる。

ようやく着いた。


『親分、マンモスを狩ってきたよーー』


「ゴブちゃんは凄いのよ」


オークなんか結晶剣を使って解体を始めてるぞ。

スッパッと首を切り落としてるぞ。


あれ!血がでない。


「もう、血抜きは済んでるわよ」


「なんだあの袋は」・・・あ!ゴソゴソ動いてるぞ。


「ああ、あれねマンモスの子マンモスよ。死んだ親を見せられないでしょ・・・」


ああ、なんて日だ。



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