第12話結晶




「ねえー、わたし達の部屋の窓も、開閉できるようにしてくれないかな・・・」


「えーー!むちゃ言うなよー」


「ユウなら出来るって・・・」


なんで、こうなった・・・

ベランダも欲しいって・・・甘い声でおねだりされたよ。

元々、綺麗な女性と親密な関係なんか無い俺は「わかりました」と言ってしまったよ。


『親分も大変ですねー』


ゴブ、それって慰めてる積もりか、けなしてるように聞こえるのだが・・・



ちょっと手間取ったが、なんとかなるもんだ。

俺が作ったベランダの窓を全開にする。


2階のベランダからの眺めも悪くないぞ。


「あ!ベランダと窓が出来たのね。みなー窓が出来てるわよーー」


「ナナねぇーの部屋が最初なの、今後はわたしの部屋よー」


ちょっとは休憩させてくれよー。


結局は、絶壁の壁にそって彼女らの部屋が作られたよ。

そして、キッチンの隣が俺の部屋だ。



そして、1階のダイニングルームの隣に風呂場が出来た。

ちょっと大きめな五右衛門風呂で、俺かライムが水を供給。


釜下で、薪を燃やすんだ。

釜焚きはコボで「ゴホゴホ」ときしながら焚いてる。



「ユウ、キッチンのフライパンと鍋をお願いね」


五右衛門風呂の釜を作ったのが不味かった。

食器の陶器まで作ってるのに、俺は生産職か・・・



鉱石が多い山までドラ助に乗って飛んでゆく。


『主、あの山で良いのですか・・・』


「ああ、あの山だ。ゴブの地図が正しければの話だがな」


『なぜにゴブ殿は、そんなに詳しいのか・・・主は、分かっておられるのか・・・』


「なんでも、とり鳥や小動物から聞き出す能力があるらしい」


『なんと、そんな能力が・・・中々あなどれぬお方だ』


「バサバサ」とドラ助が着地。


俺は、ピョンと飛び降りた。

お!魔眼でも鉱石の埋蔵量が半端ないぞ。


土魔法でドシドシと崩し尽くす。

そして、手をかざしながら念じる。


鉱石から金属が分離するのが、手に取るように分かるぞ。


分離されなが鉄へと変化をしてフライパンの形にしてゆく。

おお、思い描いた形になってるぞ。


「中々なフライパンの出来あがりだ」


ちょっと表面は凸凹してるが味わいがあっていいかも・・・


今度は鍋だ。

直径30センチ、深さ20センチの鍋の完成。


そうだそうだ、お湯を沸かすヤカンも作ってと言われてたぞ。

こんな感じのヤカンでいいか・・・



ついでに武器と盾も作っちゃえー。

中々な槍と刀が出来上がったぞ。後は砥石で研げばいいだけだな。


砥石も作れるかな・・・?

試しにやってみる。硬い粒子を一気に固めて砥石もどきの完成。


水魔法でちょろちょろと水を垂らしながら刀を研ぐ。

思っていたより重労働だな。


あ、そうか砥石を回転させればいいんだ。


直径30センチの砥石を作ったぞ、そのまま回転さる。


刀を当てるとボコボコ感が・・・何度もやってるといい感じになってるぞ。

もう、一心不乱で研ぎまくる。


『主殿、そんなことが楽しいのか・・・我には分からぬ・・・』


ドラ助に言われて目が覚めた。

不思議に研ぎまくっていると、無心になれて没頭してたよ。

ここ最近は、ストレスの連続だったからなー。

なんか知らないが癒しになったような。


「お!中々な刀だぞ・・・つばつかも金属で作ったが仕方ない。俺ってそこまで刀に詳しくないから・・・」


「ブンブン」と振ってみたが、いい感じだぞ。


あの木でも斬るか・・・


5センチ程の太さの木だ。なんか斬れそうな感じがするぞ。


「エイ!」・・・え!斬った手応えが無いのに斬れてるぞ。


めちゃ良い刀だぞ。


能力が上がったせいなのか、全然重く感じない。

ならばさやまで金属で作ちゃえ。


刀の反りに合わせながら鞘が形成してゆくぞ。

あれよあれよと鞘が出来上がってしまった。



刀を鞘に納める。

そして、居合い抜きのように素早く抜いてみた。


「シャキーン」


30センチの太さの木が「ズズズズ、ドシャン」と斬れたぞ。

もう、名刀だな。





「ただいま。今帰ったよ」


「お帰りユウ・・・フライパンと鍋は・・・あれ!それって刀!」


なんか嫌な予感がしてきたぞ。


「もしかして、ユウだけの刀かしら・・・わたしは剣豪のナナなのよ。それって酷いことだと思わないの」


無限収納からフライパンと鍋を出してもダメだったよ。


「今、すぐに作って・・・」


もう、目がつり上がって怖い顔で見るのはわやめてくれー。


「嫌々、材料が無いから無理だよ」


「あ、そうだわ。結晶ガラスが作れるなら結晶刀も作れるわよね」


なんと、そんな発想までするのかよ。

考えれば頑丈な結晶だったよなーー。


「ナナねぇ、何騒いでるの・・・」


「ユウが、自分だけの刀を作って帰って来たのよ。それって有り得ないでしょ」


「ナナねぇは、刀オタクだから仕方ないね」


「もう、何騒いでるのよ」


ああ、4人になったよ。



山積みの土砂で土魔法を発動。


4人の目線がキツイぞ。


キラキタと集まる粒子が刀の形に徐々になってゆく。


「凄いわ。刀になってる」


透明な刀の完成。


「なんて夢のような刀なの・・・」


ダダダダッとナナは、駆け走る。


そして、大きくジャンプ。


「嘘だろーー!あの岩を斬る気だ!」


ナナが着地した途端に、岩が上半分が滑り落ちる。

「ドン」と落ちたぞ。



「ナナねぇ、凄いよ!宮本武蔵も真っ青だよ」


キキは、結晶杖。

リサは、結晶小刀。

シズは、結晶杖。


もう、嬉しくなったキキは、結晶杖を振り回しながら風魔法を唱えた。


「風よ吹け」


結晶杖が光りだして、小型竜巻が発生して周りの物を吸い上げる。


「え!ただのそよ風をだした積もりなのに・・・なんで、あんなに荒れ狂ってるの・・・どうしよう。ヤダヤダ」


あ、キキがパニクってるぞ。

小型竜巻が徐々に大きくまりながら俺らの方に向かってきている。

キキが制御してないからに違いない。


「急いで家に避難だ!」


「キキ、早く逃げるのよ」


「え!・・・」


ナナに手を引張られてキキも家に避難。


「ロックは、入口を塞げ!絶対に死守しろーー!」


小石を巻き上げて壁に暴風が吹きつける。


「あ!大変よーー。木人が吹飛んでるーー!」


「私の悪いの、全て私が・・・」


「キキが悪いわけじゃーないよ。結晶にあんな能力があるとは誰も予想だにしなかったよ」


10分後には、大型竜巻は消滅。


木人を探し出すのに苦労したよ



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