第11話我が家
俺らが住んでいた場所は、めちゃくちゃになっていた。
「安全を確保した住居がどうしても必要だな」
「そうね・・・この丸太小屋も頑丈で気に入ってたのに・・・これでは住めない」
「俺に考えがあるんだが・・・」
「どんな建物なの・・・それはどこ」
「岩で出来た絶壁なんだけど・・・ほら、あの木人達の森の奥で見つけたやつだよ」
「ああ、あれね・・・」
「・・・・・・」
「あそこには、もう木なんか無いわよ。あるとしたら若木しかなかったような」
「木なら無限収納で持ってこれるし木で家を建てないよ。俺の考えは、こんな風な住居なんだ」
地面に向かって、枝で絵を描いた。
縦の絶壁に対して穴を掘った感じで、1階2階と階段まで描いた。
「岩盤を掘った家ね・・・キッチンは何処なの」
「ここを予定してるけど・・・」
「そんな奥なんてダメよ。煙が出るから絶壁側に作らないと」
なんだよ・・・彼女らは、勝手に部屋割りまでして俺を部屋を端に追いやったぞ。
それも多数決で決めますって・・・それは
「木人らは、元々住んでた場所だからここに根を張るといいぞ」
『
生えてた場所に入り込んで根をグググと張り巡らす。
「もしも、怪しい奴らが来たら知らせてくれよ。それか、やっつけてもいいぞ」
『わかり申した』
あの賑やかな森が29本の巨木だけか・・・ちょっと寂しいな・・・
若木に植物魔法を発動。
あれ!少し成長したような・・・
今まで巨木で日陰だったから、緑の葉があざやかだな。
『主・・・若木が「ありがとう」と感謝の意思を示しております』
え!同じ木だから分かるのか・・・
「この絶壁は、まさにドデカイ1つの岩だなーー」
「近くで見ると分からないけど、遠くからだと惚れ惚れするぐらいに岩ねーー」
『親分、木人も言ってたぞ。この岩からマナが溢れてるって』
え!そうなの・・・よくよく見れば微かに・・・凄い岩なんだろう。
俺は絶壁に向かって土魔法を発動。
硬い岩がボロボロと崩れだす。
「ブーよ、皆でかき出してくれ」
『わかった』
「ブヒブヒ」と掛け声でかき出してるぞ。
横2メートル、縦3メートルの長方形の穴が20メートル奥まで出来てた。
「土魔法ってこんなに便利だったの」
「右側は、20畳のリビングで左側はあなた達の部屋よ」
『親分、良いのか・・・』
「見張り役だから交代で寝ずの番をするんだぞ」
『分かった』
「これって上の岩の全ての重量が掛かるのだから、壁をあつくして柱もいるかも・・・」
改めて考えると・・・成る程。
壁のあつみは1メートル、かき出した土砂を土魔法で圧縮しながら塗り固める。
あれ、良い感じだな。
20畳のリビングも魔物達の部屋も完成。
そして、土魔法の熟練度が上がったせいなのか、色々なことが出来るぞ。
1つ目は、金属を取り出して加工まで出来るぞ。
2つ目は、結晶の再生や加工だ。
試しにガラス窓みたいな結晶の窓を作るかな。
土魔法を発動。
あ、掘り出した土砂からキラキラと粒子が舞い上がったぞ。
その粒子が空中で成長して結晶が・・・厚みは1センチに・・・その成長を一定方向に・・・伸ばす。
あ、ガラス坂のように成長してるぞ。
「家づくりをほったらかして、何をしてるのよーー!」
「ナナねぇ、ガラス坂が浮いてるよ。なんて綺麗なガラスなの・・・」
ナナは、空中に浮いていたガラス坂を無理やり分捕ったぞ。
土魔法の発動中だったのに・・・無理やりに・・・あ、立ちくらみが「フーーゥ」
「アニキ、大丈夫・・・」
「ああ、ちょっとめまいが・・・しただけだから・・・」
「何これって、めちゃくちゃ硬いわ。わたしの身体強化でも割れない」
そんなに硬いのか・・・
リビングの外側の壁を土魔法で崩した。
「ナナとキキは、開いた穴に結晶ガラスを押さえてくれ」
「仕方ないわね・・・キキも持って」
「はい、はい」
「そうそう、そんな感じでいいぞ」
縦1メートル、横2メートルの結晶ガラスが土魔法によって結合。
「凄いわ!窓よ。なんて豪華な窓なの」
1番奥は、倉庫部屋作った。
そして、リビングに螺旋の階段を・・・失敗すると思ってたのにーー。
こんなに簡単に出来たよ。
そして、2階の部屋は5つも作り上げたぜ。
「それにしてもホコリっぽいわねーー、あに壁に窓の穴を開けてくれるかなー」
「穴なら簡単に開けられるが・・・」
一瞬で窓の穴が開いた。
キキは、風魔法を発動。
部屋のスミズミの土ホコリを風に包み込んで、窓の外へと吹き飛ばしたよ。
「へーー、そんなことも出来るんだ」
「見直したかしら・・・魔法は、わたしにとって簡単なことなのよ」
「ユウ、毛布を出して・・・」
「この毛布も・・・結構臭うぞ」
「仕方ないでしょ、飛行物体から見つけた物は5枚しかなかったもの」
「なんだライム・・・え!」
ライムは毛布を飲み込んだぞ。
「ライム!何をするんだ」
「ライムちゃん、食べたの・・・」
あ、プイッと吐き出したぞ。
「なんだこれは・・・綺麗になってるぞ」
「かしてーー、嘘!臭いもしないなんて・・・ライムちゃんは、お利口ね」
『ラ・イム!』
「そろそろ日が落ちてきたわよ」
「もう、寝るしかないか・・・スマホを出してくれ。充電するから」
「いつもいつもありがとう。こればっかりは、あなたしか出来ないから」
「そうよね、スマホがないと夜は真っ暗だから・・・だけど電波が届かないのは不便だわ」
「そんな愚痴を言ったらダメよ」
スマホが空中に浮きながら、空間から放電される電気で急速充電だ。
もう、俺の雷魔法でスマホのデータまで読み取れるまでなったよ。
今は秘密にしてる・・・データ改ざんなんかも出来るので、自分自身でも怖い。
もしかしたら、ハッキングも容易いかも・・・
「はい、充電できたよ」
俺は、窓から顔を出した。
「ロックは、入口の前で寝ていいぞーー。ブラックとドラ助は絶壁の上で交代しながら飯を食って来い。ヒドラは腹はすいてるかーー」
『大丈夫です。トカゲを食ったので・・・』
いつの間に食ったんだ。
『我らも分かり申した・・・ブラックよ・・・我が先に食いに行くぞ』
『分かった。見張りは任せろ』
「バサッ」と羽を広げて飛んで行ったぞ。
ドラ助は食いしん坊だからなーー。
いつ帰って来るか分からん。
ああ、オーク達も外で寝転んで寝てるぞ。
「ブー、ブー、ブー」
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