第5話奴隷開放




朝起きた時は、なんだか変だなーーと思った。


目の前に表示されてたからだ。


【ゴブリン進化可能】


「ゴブ、何があった」


『コボルトが襲ってきた』


成る程ね。死体はライムが消化してしまったようだな。


あ、ロックも食ったのか、口周りが赤いぞ。


ヨシ、進化させよう。


「ゴブよ進化しろ!」


あれれれ・・・2メートルの身長に筋肉モリモリだぞ。

ああ、腰に巻いていたボロ布が切れたよ。

レジ袋とボロ布を使って巻いてやった。まあ、いいだろう。



あれ!スマホが鳴ってるぞ。

鳴らないようにオフにしてるのに、なぜだ・・・


ああ、メールが・・・それも日本政府からだよ。


あの警察通報を申し訳ないとお詫びしてるよ。

どうやら、ゲート側に来た事を信じたようだぞ。


電話するのも嫌だからメールで返信しよう。


『電池が少ないので1日しか持ちません』


送信開始。


速い。返信が返ってきたぞ。


『ゲート側の情報が欲しい』


後はごちゃごちゃ書いてるからスルーだな。

ゴブを写真に撮って、ライムとロックとゴブと俺の自撮りだ。


「ゴブ、悪いがゲートと近くまで連れて行ってくれ」


『わかった』




あの時は、ゆっくり見なかったが・・・あれは建物ではなかった。

遠くからだと巨大な乗り物だと、ようやく認識できたぞ。


あ、ゆっくりと浮かんでるぞ。

スマホで動画撮影だ。


飛び去った後に、かわりの飛行物体がおりて来た。

あれ!魔眼のせいで良く見えるぞ。


日本人の奴隷を乗せてる。

嫌がる奴隷は、その場で首を刎ねられ殺されたぞ。

なんてひどい奴だ。


このスマホのズームではダメだ。

顔がはっきり映ってない。

俺は駆けていた。

どうしてもこの真実を日本政府に知らせたかった。


ここなら撮れる。

そして動画撮影した。悲惨な光景だなーー。


「××××××、×××××!」


トカゲに乗った兵士に見つかってしまったぞ。

何か叫んでるが、分かるハズもない。


俺は逃げた。

あれ、俺ってこんなに走れたかなーー。


ゾクッと殺気を感じた。

とっさに横に飛んだ。


グサッと槍が地面に刺さってるぞ。

あの鎧だと石のつぶてでは、跳ね返されるぞ。

あ、そうか・・・真下からなら鎧も防げないハズだ。


土魔法を発動して兵士の居る地面から土の棘が一気に盛り上がる。

股間から突き出して、兜まで達した。

余りにも呆気ない死様だ。


更に襲ってきた兵士も撃退。同じ運命に・・・


え!これは・・・いけるかも。


『親分、速いよ』


「みんな、奴らを倒すぞ」


『分かった』


オークを殺しては、召喚。


「お前も戦え!」


『ブヒーー』


ああ、突撃していったぞ。


更に向かってきるオークを串刺しにして倒して召喚。


「前も戦って来い!」


『ブホーー』と叫んで行ってしまったぞ。


なんだコイツは、トカゲ人間か・・・固い鱗だ。

棘を突き刺す瞬間に逃げやがった。

逃げて後ろ姿に新たな土魔法を発動。

石のつぶて数十発で背中に命中・・・よろけるように倒れたぞ。

近くにあった石で何度も何度も叩く。


「死にやがれトカゲ野郎がーー!これでもか!」


なんて硬い鱗だ。やっと死にやがったぜ。


「お前も召喚だ」


ボコボコの傷が治ったトカゲ男がムクッと立った。


「お前も戦え!」


戦いは激しさを増していったぞ。

もう、血が一面に広がっていた。ライムは嬉しそうに、その血を消化中だ。

相当な数の兵士を殺しまくったぜ。


しかし、人間の召喚はしなかった。

俺の倫理観が許さない。




時間にして1時間の戦いが終わった。

飛行物体が何故まで飛べるのかも分からなかった。

魔法で飛んでる事は分かった。魔眼の力だ。


「これが動力源の宝石か・・・」


動力源の宝石だけ奪って、ボコボコして壊しまくる。

もう、修復不可能までしてやったね。



あ!あれって檻だ。

なんてことなんだ。檻の中にみじめに首輪をされた日本人が・・・

檻の扉を掴んでガンガンとしてやった。

あれ!呆気なく扉を引き千切ってたぞ。こんなに力があったのか・・・


なんか冷静になった瞬間に臭ってきたぞ。

トイレ設備なんか無いから、穴に糞や尿がてんこ盛りだぞ。


檻の隅にかたまって怖がる人々は、俺の顔を見て安堵してるぞ。


「あなたは、日本人なの・・・」


「そうだ!だから早く出るんだ」


檻の中の日本人が開放された。


「私達、助かったの・・・」


「はやく逃げないと・・・あなたも立つのよ」


「あのゲートに入れば、日本に帰れるのね」


「ゲート向こうを確認してからだ。又、捕まりたいのか!」


奴隷の首輪や足かせもゴブによって引き裂かれた。

めちゃくちゃな力だよ。


ゴブを見て怖がる。


「ゴブは、味方だから大丈夫だよ」


「本当に大丈夫なのか・・・」


「ほら、仲間だよ」ゴブの肩を何度も叩く。


『親分、なにをしている』


「気にするな」




オーク2体とトカゲ男1体が進化した。

めちゃめちゃなマッチョになったよ。


後はオーク30体がそのままの状態だ。

そして、良い服を着た兵士を1人だけ生かした。

敵側の指揮官ぽい存在だな。



開放された人々と話し合いになったよ。

選択は、2つだ。ゲートに入って日本に逃げ帰る。

そうとうなリスクがある。ドラゴンも居るし魔法使いも居る。

ちょっとのぞいたが、ゲートの向こう側には誰も居なかった。


多分、奴隷探しに行ってるのだろう。

今がチャンスだ。


もう1つは、ここでとどまり強くなって復讐する。


2つに分かれたよ。

ここにとどまるグループは、復讐に燃えていたよ。

大切な人が殺されたのだろう。残ったのは、4人。


ゲートに逃げる選択をしたのは、102人。

きっと飛んで行った飛行物体に大勢の日本人が乗せられていただろう。



「この捕虜を日本に連れて行ってくれないかな。今は会話出来ないが色々な情報を持ってるハズだ。連れ去られた日本人の情報を引き出すために頼む」


「頼まなくても連れて行きます」


もう、スマホで連絡したから助けを期待するしかない。

連れられて来た人の中にもスマホを持っていた人が多かった。

しかし、使うのをためらった。


変は動きをしたら殺されるからだ。


オークを警護につけたいと思ったが、下手したら実験体にされるのがおちだ。

それは我慢が出来ない。


しかし、泣いて女性陣に頼まれたからねーー。

10体のオークが行くことになったよ。


くれぐれも実験体にさせない約束して、ゲートへ入っていった。



「ここに居ては危険だ。離れよう」


残った女性4人は、走りだした。

しんがりは、ロックだ。



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