第4話半漁人




目の前に透きとうる湖が広がっていた。



俺が手ですくおうとした瞬間に、手を握られたよ。

なんだ、ゴブか・・・


『親分、危ない。この水・・・毒』


こんなに綺麗な水なのに毒なのかよ。

たらりと冷や汗をかいたよ。


『あれが訓練相手』


どれどれ・・・あれは半漁人だぞ。

なんかの映画で見て知ってる姿だよ。


もう、目は魚の目だ。

口の中は鮫にも負けない尖った牙が並んでるぞ。

噛まれたら痛そうだな。

背中のヒレをピチャピチャさせてる。

ギロッと見て潜った。



あれ!・・・・・・どこに行った。

「バシャーーァ」と目の前に・・・


ゴブが回し蹴りで半漁人の顔にヒット。


危なかったぞ。


気絶した半漁人をゴブが引張りあげる。

そんな半漁人を見て興奮する岩熊。


手を出した瞬間に、ゴブにボコボコにされてる。


『ダメだ。親分の獲物』


俺の獲物なの・・・


『親分、土魔法試す』


ライムがこっそり近づくと、ゴブによって蹴り飛ばされた。

6メートルも飛んだかなーー。


『親分、はやくやれ』


ちょっとキレ気味だ。


俺は念じてみたぞ。


地面から数個の石が浮かんできて、回転してるぞ。

これを半漁人に当てればいいのか・・・半漁人を睨んで「撃て!」


1個2個は跳ね返されたが、徐々に傷つき穴が・・・


【毒魔法習得】


お!又も取得したぞ。

毒を造ることも可能で毒耐性つきだぞ。

毒殺も不可能になったと知識が語り掛けてきた。



『親分、なにをボーとしている。奴らを倒す』


「分かってるよ」・・・お前はクレーマかよ。


『あれだよ』


ゴブが指差している。


湖の中央に島があって、もっこり盛られた山が棲家らしい。

もう、ライムは湖の上をスイスイと泳いでいったよ。

岩熊も沈んで行ったぞ。


ゴブと2人で逃げてきた半漁人を狩りまくった。


湖から跳ねる魚が半漁人の子だと知って驚きだ。

そんな魚も仕留めた。


「あの魚は食えるかな」


『あの魚も毒だ。食ったら死ぬ』


だけど俺には毒耐性があるから試してみよう。


3匹を枝に串刺して、薪の準備出来たぞ。

あとは火だ。


あ!そうか・・・水魔法で水のレンズを作ればいい。


「水よレンズになれーー」


「もうちょっと近づけ・・・ちょっと右に・・・」


あ、煙だ・・・火が燃え出したぞ。

「パチパチパチ」と燃えながら魚が焼けたぞ。


葉っぱに載せて枝でほぐす。

ちょっとだけ摘んで口の中に・・・痺れるようすもないぞ。

1匹丸ごと食べてみる。ああ、めちゃ美味いなーー。

30分後。なんの痛みもないぞ。


残り2匹も丸ごと食べる。

ああ、美味い。


これって開きにして天日干ししたら日持ちするかな・・・

ゴブからナイフを借りて、10匹に魚を開きにした。

後は干すだけだな。




逃げて来る半漁人がめっきり減ったな。


あ、ライムと岩熊が帰って来たぞ。


あれ、あれれ。


【スライム進化可能】


【ロックベアー進化可能】



岩熊でなくロックベアーだったのかよ。

いやいや、それどころじゃーないぞ。

進化・・・


「ゴブ、魔物は進化するのか・・・」


『魔物は進化しない。しかし、召喚は違う・・・おいらも進化の兆しが・・・』


ゴブもあと一歩で進化するのかよ。


「ライム、岩熊、進化しろ!」


透きとおったスライムがブルー色のスライムに変化したぞ。


岩熊は、鉄の熊に変化。そして2倍程大きくなったぞ。

全長6メートルもあるな。

歩く度に地面に足がめり込む。体重もそうとうな重さだろう。

もう、カチカチの表面で防御力は半端無いぞ。


「じゃー半漁人を召喚しようかな」


『親分、それはダメだ。この水がないと生きていけない』


こんなに俺が倒した死体があるのに30人は倒したぞ。

30人の半漁人か・・・キモイな。





キラーラビットを狩って、ゴブのナイフを借りて解体だ。

ああ、残酷だなと思いつつ解体したよ。

内臓を取ってライムにやった。


シュンと消化したよ。


枝に突きさして、枝もバキバキと折って焚き火の準備も出来た。

水球をレンズにして、ああでもないこの角度かなで火がついたよ。


早く焼けないかな・・・「パチ、パチ」

ああ、腹が減ってきたなーー。


隣では、ゴブが生肉を食ってるし・・・もう、3匹目だ


熊とライムは、焚き火を珍しそうに見てるよ。


もう、焼けたみたいだぞ。

かぶりつく・・・味は微妙だ。

塩が欲しい・・・塩があれば美味しいのに・・・

それでも食べる。


ああ、夕暮れだな・・・こっちにも夜はあるみたいだ。

もしかして、あれが月か・・・大小の2つの月があった。


「ゴブ、そろそろ寝るから守ってくれよ」


『わかった』


「熊、こっちに来い。今から名を授けるからな・・・何にしようか・・・」


熊吉、熊太郎、クマ、ロック・・・ロックで良いかな。


「お前はロックだ」


あ、意識が遠のくぞ。



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