第3話ライム




なんとも妙な風景だ。

大きな洞窟の中に、ピョンピョンと跳ねるスライムが居た。

もう、数えるのも無理な数だ。


『親分、ここで強くなる。さもないと殺される』


「どうやって戦うのだ」


『スライム、物理攻撃無効。しかし、魔力がきれる。無効も消える魔眼で見る』


ゴブは、俺が魔眼持ちだと知ってるぞ。

話してないのに・・・召喚したからなのか・・・



まあ、やってみるか・・・この石でいいや、よっこらしょっと・・・


見える見えるぞ。

青白く光ってるぞ。あれが物理攻撃無効にしてるらしいぞ。


あ、消えた。

思いきり石をぶつける。「グシャッ」と破裂したぞ。


あ、ゴブの時は感じなかったが、体内に何かが入った感じだぞ。

もしかして経験値・・・


『親分、仲間ふやす』


「ああ、分かってるよ」


『親分、名つけると魔力消費多い』


え!そうなの・・・知らなかったぞ。

だからゴブと名をつけて眠くなったのか、目覚めて3時間で眠たくなったのも納得だ。


「名をつけたら変化があるのか・・・」


『あたりまえ・・・強くなる』


断然に名を付けた仲間が欲しいぞ。信用できるのは、今はゴブしか居ないのだから・・・


「スライムよ蘇れ・・・そしてお前の名は、ライムだ」


キラキラ光ってスライムに戻ったぞ。


『ラ・・イ・・ム』


あれ!急に脱力感が・・・


「ゴブ、安全な所に避難だ」


『わかった』


ふらつく足取りで洞窟をでる。


『ラ・・イム』


あれは、ライムの声なのか・・・そのまま倒れる。

あ、引張られてる感覚が・・・「ゴン」あ、痛い。






パッと起き上がる。

寝てたのか・・・勘弁してくれよ。


スマホを取り出して時間を確認だ。

8時間も寝たのかよ。


あ、通信が通じるぞ。これは、ラッキーだ。


警察に連絡だ。


「もしもし・・・はい・・・今、ゲートの中です・・・」


え!・・・「悪戯いたずら電話するな」って怒鳴られたぞ。

もう、してやるか・・・バカ野郎。



『親分、おきたか』


「ああ、ゴブか・・・ライムは」


『ライム、勝手に強くなってる』


俺は、急いで洞窟にやって来た。

あ、あれ程いたスライムが数える程に激減りだぞ。


「ライム、止せ」


ピョンピョンと来て『ラ・イム』・・・


「お前は、ライムしか言えないのか・・・」


『ライム、ライム』


スライムだから脳があるのか・・・生きてるスライムを見たが脳なんか無いぞ。

まあいいや。


残ったスライムを倒そう。


「グシャッ」


「ベシャッ」


「グシャッ」


「ベシャッ」


もう、終わった・・・よ。


あ!【水魔法習得】が表示。

なんか、水が飲みたくなってきたぞ。


「水よ出ろ」


あ、空間から溢れる出るように水が出る。

両手を器のようにしながら「ゴクゴク」と飲んだ。

なんだかめちゃくちゃ美味いぞ。


「水よ止まれ」


これで水の心配をしなくてもいい。



あれ、ライムが足に擦り寄ってきたぞ。


「ライムは、本当に強くなったのか・・・」


『親分、本当に強い』


「ゴブが言うから信用するよ・・・他に強くなれる場所はあるのか・・・」


『ちょっと遠い』


「案内してくれ」


『わかった』


道なき道の山を歩くのかよ。


ライムも平気に登ってるぞ。

ツルツルと滑らないのか・・・


「ゴブ、食事休憩だ」


レジ袋から袋麺を取り出す。

袋麺を破いて、バリボリと食べる。

チ〇ンラーメンだから食べれるから助かったぜ。

お湯も無いし鍋も無いからな・・・「バリバリバリ」


「なんだ、食べたいのか・・・」


袋に残ったのをライムにパラパラとかける。

もう、一瞬で消化してるぞ。


「え!袋も食べるって」


袋を手放す。


ピョンピョンと跳ねて取って消化。

美味しいのかプラゴミなのに・・・


ブルンブルンと震えてるぞ。

それが美味しいって表現なのか・・・指先でなでる。

あ、ゼリーみたいな感触だ。


え!手の平がツルツルしてるぞ。もしかして表面を消化したのか・・・

まあ、いいか・・・俺の指を消化されずに済んだから。



「さあ、行くか」


『親分、やばいよ』


「なにがやばいのだ」


『この辺で1番強い。走りも速い』


うっそうと茂った草がかき分けられたぞ。

なんだ、この熊は・・・岩石で出来た熊だった。

俺を見て、首を傾げる動作が恐怖を誘ってくるぞ。なんだ、この威圧は・・・


あ!ライムが岩熊を一気に飲み込んだぞ。

あんなに小さな姿だったのに・・・そんなに大きくなるのかよ。


あれ!元の大きさになったぞ。

消化したのかよ。


『親分、ライムは想像以上強い』


「そうだな・・・めちゃ強いな・・・」





『おかしい・・・奴と出会い過ぎる』


そうなんだよ。もう、3回も岩熊に出会ってんだよ。

その度にライムの世話になってんだよな。


「ガオーー」


又も出たよーーー。


「ライム、今度は消化せずに弱らしてから吐き出せ」


『ラム』


OKって意味だな。


ピョンと飛びついて、ブルブルっとして吐き出した。

ああ、悲惨な姿だな。


カチカチの石を振り被って投げた。

岩熊の頭に命中。石がめり込んで岩熊がグシャンと崩壊。


【土魔法習得】


お!出たぞ。


「もしかして岩熊って土魔法も使えるのか・・・」


『使える。ライム相手に使うヒマない。ライム強い』




こんなグシャグシャな岩熊でも蘇るのだろうか?

とりあえずやってみよう。


「蘇れ岩熊」


おおーー蘇ったぞ。

信じられない光景だな。



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