第2話ゲート向こう
目が覚めた。
あ、真っ暗な場所だが、少し違和感を感じるぞ。
うっすらだがドアや壁や階段が見える。
こんな暗闇を見えるなんて・・・目が良くなったのかな。
ゴブを倒したせいなのか・・・それによって身体的にアップしたのか・・・よく分からん。
あ、スマホだ。
充電100%。
『親分、なにをしている』
「げーー!!びくりさせるなよ」
心臓が止まるかと思ったぞ。
スマホから入ってくる情報は、俺の常識を超えるものだったぜ。
あの新宿事件から、13日も気絶していたのだ。
それだけでない。
東京は、ゲート向こうの第4帝国に支配されていたのだ。
皇帝の名は、アルツ・バッヘル。
ああ、頭の中は、ごちゃくちゃにパニックだぞ。
13日前までさかのぼって検索だ。
1日目。
あの魔物相手に警察は、銃によって抵抗。
それは効果があったらしい。
住民を避難させつつ頑張った。
日本政府の与党は、自衛隊の出動を国会で協議。
野党はなぜか反対。国会はもめにもめた。
その間に東京都の都知事が、自衛隊に災害要請をする。
それによって自衛隊が出動する事を政府に伝達。
慌てたの田辺内閣だ。
内閣は、憲法第9条のもとで、我が国に対する武力攻撃が発生したと認めた。
我が国に対する急迫不正の侵害があること
これを排除するために他の適当な手段がないこと
必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
自衛権の発動としての武力行使の三要件とした。
無き崩し的に国会も武力行使を容認。
しかし、魔法使いの登場で激変。
目に見えないバリアによって、近代兵器が無効化されたのだ。
自衛隊の自動小銃がまったく歯が立たない。
「ご覧下さい。黒いローブの女性です。空に向かった何かを描いてます」
「・・・・・・・・・」
「大変な事が・・・大きな火球が自衛隊を襲いました。これは大変な事態です」
その間も虐殺がテレビで生放送。
多くの住民が奴隷のように引張られる光景は炎上のあらしであった。
多くの非難の声が政府に寄せられ、政府関係はパンク状態。
内閣は、最大の武力行使を閣議決定。
ゲートに向かってミサイル攻撃を容認。
戦闘ヘリ数十機が実際にミサイルを発射。
大爆発で周りのビル群は崩壊。
土煙が消えても、ゲートは存在し続ける。
そんな攻撃ヘリも、魔法使いによって撃墜される羽目になった。
2日目。
10式戦車が新宿を目指して走る。
放置された車を弾き飛ばしながら走り続ける。
凄い数の車両だ。
99式自走155mm榴弾砲
203mm自走榴弾砲M110A2
87式自走高射機関砲
多連装ロケットシステムMLRS
午後13時に陸空から総攻撃が開始。
航空自衛隊F-35Aは、ワイバーンと空中戦をひろげている。
発射されるミサイルは、ことごとくそれる。
ワイバーンが風の魔法を発動しての妨害だった。
対してワイバーンの火球は、いつまでも追い続けて命中。
その数を減らす一方であった。
F-35Aが終わった後には、10式戦車の番だった。
なんと全ての攻撃を無効。
ワイバーンの火球で蒸し焼きにされてしまった。
余りにも悲惨の光景だぞ。
ゲートは、そのままの姿を維持。
魔物も鎧を着た兵も被害がない。
3日目。
日本政府は、アメリカに対して日米安保条約で協力を要請。
アメリカ政府が動こうとした瞬間に、とんでもないことが起きた。
在日アメリカ軍基地の横須賀が、隕石の群れによって破壊尽くされた。
いくつ物のクレータ跡が残る状態。
生存者は絶望。一切の通信が途絶えた。
商魂たくましい取材班は、その光景をカメラにおさめた。
もう、日本はパニック状態だ。
株価も暴落。
円安が続く。
テレビの生中継のカメラの前に、突然男が立った。
『私は、魔法使いのゲル・・・第4帝国皇帝アルツ・バッヘルの使者としてやって来た。アメリカ政府に忠告する。日本の戦いに介入するな・・・さもないと本国に災いが襲うだろう』
4日目。
アメリカ大統領は、テロに屈しないとテレビ放映。
密かにBー2ステルス爆撃機に小型水爆を載せて飛び立つ。
その直後に、空に舞う黒いドラゴンが出現。
ドラゴンブレスで一瞬にしてBー2ステルス爆撃機を消滅させる。
飛行基地は、ドラゴンによって破壊尽くされる。
それだけでなかった。
街々を燃やし尽くして、レーダーから消える。
なんとなく、状況がつかめたぞ。
もう、日本もアメリカもフルボッコされたのか・・・もう、警察や日本政府に期待出来ないのか・・・
「ゴブよ、お前は頭が賢くなったから第4帝国と魔物とゲート向こうの情報を探ってくれないかな」
『わかった』
ドアを開けて行ってしまったよ。
怖くないのか・・・
俺は、スマホで逃げ出すルートを探そう。
ああ、どれもかしこも絶望だぞ。
日本政府は、大阪に移転。
神奈川も候補に上がったが、東京に近いから却下されたらしい。
ああ、絶望だ。
音がした。
ドアを見続ける。
『親分、もどってきたよ』
「ドン」とドアが開いた。
「ゴブ、いい情報が入ったか・・・」
『ここは危険。すべてをしらべると言ってる。もう、逃げるならゲートの向こう』
もう、お前だけが頼りだぞ。
え!どこで手に入れたのかロープでぐるぐる巻きにされたぞ。
『奴隷やくをする』
一瞬、裏切ったかと思ったが違ってた。
ゴブ、頭いいな。
ビルの外に出たぞ。あの超高層ビル群が嘘のような景色だ。
あ、本気で尻を蹴りやがったぞ。
『下を向く・・・さっさ歩く』
え!演技指導か・・・
あ、オークだ。めちゃ怖い。
一難去って又一難だ。どでかいゲートだ。
『早く行く』
入った瞬間、変な気分だぞ。
変は建物が・・・近くに建ってるぞ。
道行く魔物や兵士は、誰も俺らに注意していない。
なんだか自分自身がちっぽけな存在になったようだ。
又もゴブに蹴り飛ばされる。
道の左側は傾斜だ。その傾斜を転げ落ちる。
上からゴブも機敏な動きで降りてきたぞ。
ナイフを持って手でロープを切ってくれた。
『親分、逃げる』
あ、そうか・・・俺は必死に逃げた。
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