ゲート向こうへ逃げた

@katuniro

第1話ゲート




東京に遊びに来てた。


なんて高い超高層ビルなんだ。凄過ぎるーー。

見上げ過ぎて首が痛くなるよ。


やっぱ日本の中心地だな・・・


あれって何だ!!

空間に大きな円が描かれた。その中に見た事もない文字が・・・

まるで魔法陣だぞ。アニメや漫画の世界の・・・

あまりにも異常な光景だ。


俺は夢でも見てるのか・・・ビル群の空間に魔法陣がいびつな空間を作りだす。


中から何かが飛び出す。


「あ!ワイバーンだ」


それも人が乗って操ってるぞ。 

しばらく飛び回って偵察をしてるみたいだぞ。

あ、歪な空間に戻って入ってしまったぞ。


これってゲートなのか・・・


車の追突事故も起きてた。

どこもかしこも車が止まって大渋滞だぞ。

しかし、赤黒いゲートに突き進む車は1台もない。

誰もが異常な状況に戸惑っている状態。



ああ、スマホで撮りだしている。

それは徐々に増えるばかりだ。


俺は、何か嫌な予感が・・・


「警察ですか、大変なんです。・・・違います。・・・西新宿一丁目の交差点に変な物が現れたんです」


あ、誰かが警察に通報してるぞ。


その時だ・・・なんでだ・・・ゲートからゴブリンが出てきたぞ。

身長は小学生2~3年生か、まるで中世の御伽噺おとぎばなしの世界だ。


あれって豚のオークか・・・



最初に犠牲になったのは、車だった。

コボルトがタイヤをナイフで突き刺してるぞ。


「ギギ、ギー」と笑ってるようだぞ。

あ!オークが振り上げた棍棒が、車のボンネットを叩きつけられた。

もう1体のオークが棍棒を叩きつけられる瞬間に、男の悲鳴が・・・

2度目攻撃が運転席をペチャンコにしたのだ。



もう、そこからは惨劇だった。

逃げる人は、手足を引き千切られたり食われたりしている。


あ!鎧を着た兵士が、食らってるオークをムチで叩き叱ってるぞ。


それを見た俺は逃げた。

逃げた先は、超高層ビル。


「助けて下さい。オークが襲ってきた」


「何をいってるんだ」


警備員は、外を確認して驚愕きょうがくする。


「警備室!外が大変です」


「オークが目の前に来てるぞ!」


そして俺は逃げた。

後ろからガラスが割られる音と悲鳴が聞こえてくる。

怖くて振返ることも出来ない。


非常口のドアを開けて入った。

その時に、ビル全体に衝撃が・・・




あ、真っ暗だ。


あれ!俺は・・・そうだ思い出したぞ。


「あ!スマホがないぞ。落としたのか・・・どこで落とした」


手探りで探すもない。


もう、外に出るしかない。

腹もへって空腹だよ。どれだけ寝てたんだよ。


たしか・・・手探りで出口を探す。

あ、ドアだ。


「ガチャガチャ」なんで開かない。

もう、必死になって引張る「ガタンッ」と開けることに成功。


ようやく明かりが漏れてるぞ。 

ビルの中は崩壊ほうかいした残骸ざんがいだらけだ。


ここは大声を出して助けを呼びたい。

しかし、オークの事を考えると大声をだすべきでない。

どうしよう・・・


周りを見る。

残骸で光がさす方向が塞がってるぞ。それ以外は暗くて見えない。

残骸の下にすき間が・・・残骸の下を這って入る。

崩れたら死ぬかも・・・なんとか出れたぞ。




あ!警備員の死体だ。

その場で胃液を嘔吐おうと


やっぱり腹の中は、消化物など無かった。


あ、警備員のスマホだ。

我慢しながらスマホを見つけ出す。


げ!外には、ゴブリンだ。

俺を見つけて笑ってるぞ・・・もう、恐怖だ。


何か武器は・・・手ごろなコンクリート片を掴む。

1メートルのガキだと思えばいい。


クソ・・・ナイフを持ってるぞ。


走って向かって来る。

あ!消えた。


背中がゾクッとした。もう、必死にコンクリート片を振り回した。

「カン、カラカラ」とナイフが転がった。

ゴブリンの手に当たったのだ。


痛がるゴブリンの頭に叩きつける。


「ギイーー」


悲鳴を出すな。

もう、必死で何度も何度も叩いた。


やっと殺したぞ。




なんだ!目の前に表示された文字は・・・・・・見た事も無い文字だぞ。

あれ? 意味が理解できる。


【召喚習得】

殺した生き物を召喚して従わせる


【魔眼習得】

魔力を見る能力


これは、いったい何なんだ。


この文字が点滅して習得間もない事も理解した。


【回復】

90%まで回復中


そんな文字があった。

え!いつの間にそんなものが・・・


もしかして、俺が気絶した最中に習得したのか・・・?

あ、衣服があっちこっち裂けてるぞ。


ひろげて見ると消えかけの傷があった。

死んでもおかしい程の傷だ。


これって自然に回復してるのか・・・まさに【回復】が無ければ・・・死んでいたのか。


まるでゲームの世界だぞ。

しかし、ステータスのような体力数値や魔法量数値や力、素早さなどの表示は無いなんて・・・



とりあえず・・・目の前のゴブリンを召喚しよう。


「蘇れゴブリン!」


淡く光ってる。

そして、むくりと起き上がったぞ。


一瞬身構える。


『お、親分、しょ、しょうかん・・・していただき・・・ありがと・・・ます』


たどたどしい言葉を理解できたぞ。


「お前たちは、なぜこっちに来たのだ」


『めいれい・・・され・・・て』


「命令したのは、誰だ」


『わからない』


なんとなくだがゴブリンの初期の知能が低いことを理解。

しかし、俺が召喚した事で知能が爆上げしてるぞ。

召喚される前の知能は3歳児程度。



「グーーウ」


ああ、緊張が途切れたから、急に腹が・・・

何か食べたい。


折角だ。こいつの名は、ゴブにしよう。


「ゴブ、何か食い物を持って来い」


『わかった』


テクテクと外に出て行ったぞ。


ああ、オークやゴブリンが居る横を平気で歩いて行ったぞ。


なんだか心配だ。

下手したら殺されるかも・・・

あ、大丈夫だった。


ああ、壊れたコンビニの自動ドアに入った。




あ、そうだ。警備員のスマホだ。

なんだよ・・・電気切れだ。


待つ事20分が過ぎたぞ。


あ!レジ袋を抱えて出てきた。


早く戻って来いよ。ゴブ!



『はい』


「いいぞゴブ」


え!スマホの充電器と電池もレジ袋に入ってたぞ。

LEDの懐中電灯も・・・凄い賢いぞゴブよ。


缶詰とチ〇ンラーメンにカ〇リーメイトとなどなど・・・


「菓子パンやおにぎりって無かったのか? 」


「くさってる」


腐ってるのか・・・電気が止まって何日も経ってたのか・・・


カ〇リーメイトを食べながらペットボトルを飲み干す。

ああ、急に睡魔が・・・


ここで寝たらやばい。


急いで這って、懐中電灯を照らして非常口に入った。

なんとかドアを閉める。


地下や上の階を調べた。

2階と地下は、見事に崩壊。

1階のこの階だけが助かったようだぞ。

それでもコンクリート片があっちこっちに散らばってる。

オークがここに来たら逃げ場はない・・・


あ!俺が倒れた場所だろう。

瓦礫に俺の血がべったりと付いてる。

そうとう、ひどい傷だったようだ。


「ゴブ、俺は寝るから何かあったら起こしてくれ」


『わかった』


ああ、ダメだ。睡魔が・・・懐中電灯の電気がもったないので消した。

ああ、真っ暗だ。




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