それになりたい

傷付くことを知っている



なぜ、それを選んでしまうのだろう




追っても



求めても




手が届かないと知っている




なぜ、それを探してしまうのだろう




苦しいこの想いを手放すと決めた日




なぜ、貴方はいつもより優しくしてくるのだろう





何もかもに嫌気がさす



それをふくめたあらゆるものを



カケラも残すことなく



つぶさに残すことなく



空気の粒子に変えて消し去ると



そう決めては




随所に至る神々に




誓いを示したそんな日に




なぜ、貴方は親しんだ笑みを見せてくるのだろう





結局、何も捨てられない






結局、何も諦めきれない




あぁ、全てを忘れたい





この忌々しくも愛しい気持ち




砂漠の一粒に変えることができたなら






どれほど良いだろう





もし来世があるというのなら






風になりたい





貴方の頬を勝手気ままにくすぐる風に




木漏れ日になりたい





貴方が凍えぬよう



あるいは、その涙を乾かせる



そんな陽光に






そうすれば






それだけしか抱けぬならば






こんな気持ちにならずに済むはずだから


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