育成
花
はな
ハナ
咲けない花
咲くことを忘れた花
咲くことを許されない花
咲くことが許されなかった花
そもそも開花を知り得ぬ花
努力を知り得ても
つぼみをほころばせられない花
殻の中で窮屈に
静かに吐息を漏らすだけ
どんなにどんなに身をよじっても
その手は空をきりえない
かたいかたい殻の中
溢れる水に沈むだけ
甘いほのかで誰かをとどめ
濡れた瞳を向けられて
愛でられることのない
青臭いカビの花
ずるずるしたたる願いの雫
地球がスキップするのなら
そんな花でも成せるでしょう
でも
みのれたとしても そんなもの
そんなものでしかない
こんな花を育てるよりも
朝顔を育てる方が楽である
雑草の方が楽である
薔薇の痛みの方が楽である
いくばくも楽だというのに
どうして育ててしまうのだろう
手離せば解放される
苦しまない
元のからっぽ
ただのさら地にかえるだけ
ある意味の
ある意味においての解放
けれど
さら地も乾いて辛いというのなら
腐った花を実らせたい
けっきょく咲きはしないのだけど
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