散ること

桜を愛でる




花を咲かせ




風に散る





雨に散る





手折られて散る





地面に落ちる





風に舞う





誰かに踏み絵にされる




汚れた穢れた押し花






淡い花弁に泥にまみれた桃色の押し花






しおれてしぼみ







自然のさらに奥





奥深く






1つになる








そうして 来年






また色をつけ その花弁を開く





幾度かの穏やかな風に




桜は繰り返す






薄紅の身を散らし




季節をめぐるめぐる






何度も何度も 咲いては散る 咲いては散る




を繰り返す






あと何年







わたしは氷河の中に身を横たえるのだろう






あと幾年





わたしは堪えると咲くのだろう







あと行く筋








わたしは涙を流したなら






あの人にみてもらえるのだろう







散ることは悲しみではない





散ることを知らない方が







散るための花を咲かせられない方が








よっぽど悲しいのだから


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