第4話

 怪我したと思った場所が治っていた。いや、もしかしたら、怪我すらしてなかったのかもしれない。自分の思い込みなのか、それとも……


 休日の昼食は自分で用意することが家では暗黙のルールとなっている。だから、休みの日は自分で用意しないといけない。


 今日は外に出る予定もないため、お昼は簡単に済ませたい。食事に手数をかけたくないので、極力、作らなくても良いメニューにしたい。


 そこで、思いついたのはラーメンに適当に野菜を乗せるもの。これならば、手軽だし、野菜も取れるので栄養があるだろう。女子としては体重も気になるし、食物繊維も取りたい。


 冷蔵庫に入っていた野菜を適当に出してまな板で刻み始めた。鼻歌混じりで切っていたら勢い余って指を切ってしまった。


「痛い!!」と思った瞬間にサイレンが鳴り始めた。


「損傷発生!損傷発生。今すぐ、再生を行います」


 な、なに?この音は。

 外から聞こえるのか、それとも自分の身体から聞こえているのか判断がつかない。


 切った部分を見ると、傷口がみるみると塞がっていく。


「どういうこと!?」


 美々の頭の中はますます混乱した。自分は単なる普通の人間だと思っていたが、そうではないってこと?


 幼い頃からの両親の記憶もあるし、友達の小恋もいる。小さい頃からの写真や動画もあるはずだ。


「そうだ、写真だ。子供の頃からの私が写っているのがあるはずだ」


 食事なんてどうでも良い。自分が何者なのかを突き止めないと。

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