第2話

 電車に乗って席に座ると、小恋がぴったりと身体を寄せてきてスマホを見せた。


「美々はどういう系の動画を作りたいの?」


 スマホにはマインドマップツールでいろいろと書かれている。詳しく読んでみると、動画に関して記載されていた。


「そうだね。やっぱりやってみた系の動画がいいと思う。女子高生が初めてやってみたみたいなものが視聴者に受けそうじゃない?」


「『女子高生が初めてやって』みた、というフレーズがなんだかエッチな響きだね」


「やだっ!小恋!何を想像してるの!そんなんじゃないから。エロ!」


「こんなところでヤダ!」


 こんな会話で恥ずかしくなって顔を赤らめてしまう小恋が愛おしくてたまらない。こんな他愛もない会話をしていたら、高校の最寄駅に到着した。


 私たちの通う高校は自宅の最寄駅から数駅離れたところにあってアクセスしやすい。家から近いというのと、私には少しレベルが高かったけど、小恋が志望したので、私もこの学校に行くことにした。それだけ、一緒にいたかったんだ。


 本日の朝活は動画の方向性を話し合うために、学校のラウンジで打ち合わせをする予定にしている。朝早くに登校したおかげで、ラウンジにはまだ誰も居なかった。他の人がいると少し恥ずかしかったので助かる。


「とりあえずは、ブレインストーミングで意見を出していこう。お互いの意見に対して否定はなしね」


 ふたりで話すときは自然と小恋が話の主導権を持って進める。私たちふたりの昔からのやり方だ。この形式が落ち着くんだよな。


 決まったこととしては、とりあえずは「やってみよう系」で動画を撮ってみるのと、第1弾として、高校に設置されているボルダリングをやる映像を撮ることになった。


 撮影は本日の放課後からスタート。よーし、頑張るぞ!

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