第26話 だいたいわかりかけた所で黒幕的なやつに捕まるってミステリーのよくある展開
必要な資料を手にした。
出納係と積もる話があるというのでテッドの父親をその場に置いて、俺とミヅキは
帰り道。
村の中心の広場をゆっくりと歩きながら俺は考えた。
村の収益がマイナスなのは闇の病みが流行る前からのことで、それが闇の病みと紐づいている?
……全然、何も浮かばない。
別の視点から見てみよう。
なぜ闇の病みは蔓延したのだろう?
闇の病みは村の外に出ないとかからないって確か言っていた。
だから村の外に出る、働き手である若い男性がかかったという事実は理解できる。
ロイドを除く、全員かかる必要あるのか?
それにその人たちを病ませるとどうなるのだろう?
暗闇になっていく世界・・・・村には生きる希望がなくなり、存続もできなくなるのだ。
いや、でも……そもそも存続の危機だったんだろう?
闇の病みのせいじゃなくね?
考えて歩いてたせいで、俺はすっかりミヅキがいることを忘れてた。
振り返るとミヅキはずっと歩いていた元の道に立っており、ずっと何かを見ている。
その視線の先には――露店のようなお店が出ており、そこで真っ赤な果物が加工して売られていた。
それ、毒リンゴじゃないか?
それぐらい真っ赤な果物。
ミヅキはあぁいうのが好きなのかな?
……そう思って駆け寄ろうとした。
何か黒いものがふわっとかけられた。
それで足がもつれて倒れた。
その瞬間以降のことは思い出せない。
◇ ◇
頭が
身体を重い……。
目をうっすらと開くと、周囲は薄暗く、コンクリートのような石の天井が見えた。
仰向けのまま、周りを見渡す石の壁で覆われている部屋で鉄格子の扉が見えた。
扉の先にある小さな
ここは……どこだ?
俺は部屋の一番端の段差のついた石の上に寝ていた。
身体を起こしてみて、改めて様子を伺うと牢屋っぽい。
人生でゲームの牢屋らしき部屋に入ることなんてあるんだな……。
『人生で起きることなんてないと思うことが起き続けるとさ、次は何が起こるんだろうと思うんだよな』
これは友人の言葉だ。
ほんとだな。
お前の言葉、あの時、俺は「へぇ」という言葉しか出てこなかった。
『そのうち感覚は薄れるし、痛みは慣れる。時間が過ぎれば全て終わる。ほんの少しの希望をみつけるのがコツ』
そうだ、少しの希望だ。
俺にできることは少ないが、やれることは全てやるんだ。
お前の言葉の通りに、あれからずっと投げ出さずにその希望とやらに縋っている。
そう、この村の人たちのようにな。
俺は絶対に戻るからな、そこで待ってろよ。
村の人……そうだ。俺がいた現代社会が一瞬、ちらついたが、俺の今の現実を思い出した……。
広場にいて、それから……。
なぜ、俺はここにいる?
鉄格子に近寄って、外の様子を伺うと近くに椅子があり、そこに顔が黒く塗られた、表情のない人形が座っていた。
気味が悪いな、と思ったタイミングでその顔がこちらを向いた。
「ひぃ」
声を出してしまった。
『この世界はいらない。どうせ何も変わらない、誰も変わらない、だから何もいらない』
どこからか発せられたかわからない、その人形の言葉らしきものが脳内に響く。
何を言っているんだ? こいつは。
『もうすぐ終わる。お前は最後を見届ける影となる、伝説は完成する』
どこかの扉がギィィィィと開く音がした。
同じく人形が何かを担いで向かってくる。
その何かは……。
リリィ!
人形は気を失ったリリィを連れてきたのだ。
俺がいる部屋の鉄格子の扉を開いて、その人形はリリィを俺に投げつけた。
『これで探していた最後の人間が手に入る。これで暗闇に染まられる、もうすぐ……』
その声が終わったかと思ったら2体の人形は浮かび上がり、跡形もなく、消えた。
俺は手の中で意識のないリリィに声をかけた。
「リリィ! 大丈夫か?」
「そこにいるのは……シュウ? ……よかった、無事で」
目も開いていない状態でリリィが声を出したので、ここに当初きた時の俺と同じくぼんやりした意識の下で話しているように思った。
それにしても一体、なぜ俺はここに連れさらわれて、さらに何でリリィがここに来たんだろうか?
疑問だらけの中、次々に起きる出来事に
もう現実世界に帰れず、この世界は暗闇になってこのままここで死ぬ運命なんだろうか……と一抹の不安とともに後ろ向きな考えが襲ってきた。
――――
読んでくださり、ありがとうございます!
いつも読んでくださってる方も、このページだけ読んでる方もコメントを残していただけると嬉しいです。今後の作品に生かしたく、思ったことがあればどんな意見でも一言でもかまいませんのでお願いします。
なお、もうすぐ第1章は終わる予定です。
ここから今まで謎だったことは少しずつ明らかになる予定です。
続きを読んでいただければ光栄です。
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