第6話
ーーあゆみ、千夏、それからさやか。
皆はまだあの言葉を覚えているのだろうか。
あれから10年が過ぎたが、私たちは卒業どころかクラス替え後、糸が切れるように連絡も取らなくなった。
みんな新しいクラスで孤立しないために必死で、クラスにいない子とのやり取りなんてどうでもよくなった。
お互い仕事やまわりの環境も変わり大人になったーーのは間違いないと思うが、どう変わったかどうか確認するのが何故か怖くて、連絡できないでいた。
ーーー
「ーーもう、いいよね。」
“引っ越し”を数日後に控えたその日、断捨離ついでに彼女らの友達リストも消した。
別にあったからといって枠が埋まるとか、不便が生じるなんて事はない。
ただリストにはあるけど連絡できない、されない、そういう存在をそのままにしておくのが何故だか嫌になってしまった。
大きなゴミ袋を広げてフローリングにべた座りし、そのまま仕分けを続ける。
これは捨てる。これも捨てる。
こうして仕分けをしていると、本当に必要なものなんてごく僅かなんだと思い知らされる。
一度捨てると勢いがついて、特に悩まずともゴミ袋に物が吸い込まれていく。
元々部屋に物が多い方でもなかったので、あっという間に部屋はがらんとした。
ーーこの区画で最後。
机の中を机の上に全部出し、とある便箋に指先が触れた所で一瞬、手が止まった。
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