第5話

「そうかぁ…」


あゆみは何故か表情を曇らせて、しばらく考え込んだ。

そして言った。


「…よく考えたら友達は人間同士で当たり前、恋愛は“T”とが当たり前って、変だよね。

いつか私たちみたいな友達も“T”みたいな…。そういうのと作るのが当たり前、みたいになっちゃうのかな?」


「…………」



私は心に一瞬ひんやりとした隙間風が吹いたような感覚を覚えた。

恐らくみな同じ事を感じたのだろう、全員が口をつぐんだ。

沈黙を破ったのは千夏だった。


「…まぁ、将来的にはそうなるかもしんないけど、今私らが友達なのは事実じゃん?

それはずっとこの先も変わらないでしょ。」


いつか見た友情ドラマの受け売りのような台詞を、彼女は紙パックのいちご牛乳のストローを噛みながら言った。


「そうだよ、この先卒業してもまた集まって遊べばいいじゃん。」

さやかも同調する。


「うん…」

あゆみは照れくさそうにはにかんだ。


「じゃ、今日久しぶりにプリ撮りいくか。」


「いいねそれ、そういや最近行ってなかった。」


「じゃあ決まりね。

あー早く授業終わんないかなぁ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る