第22話 -宿屋の不思議-

 あのあと、気がつけば僕が助けた宿屋は少し綺麗になっていた。

 細かい変化ではあるけどね。

 ただ、その変更に一つ疑問を抱く。


「1回限りのクエストだったんだよね?

 だったら、プレイヤーの数がものすごく多いこのゲーム、しかも発売から2週間程度経っているにも関わらず、始まりの街であるここのクエストすらこなされていなかったんだ?」


 そんな疑問だ。

 きっとこのクエストは、このゲーム全体で1回だけのクエストのはず。

 でないとクエストをした人としていない人でCPUの見え方が人によって変わってしまう。


 でもその答えは案外簡単にわかる。

 僕が宿の外でぼーーっとしていると、それに気づく。


 プレイヤーが来ない。

 人自体はいる。

 確かにいるのだが、全てがCPUなのである。

 というか、ここら辺はCPUの住宅地らしい。

 しかもあれだけボロかった宿屋なんで、普通はプレイヤーが来ない。


 ……僕をのぞいてね。

 ま、そんなことどうだっていいね。


 僕は気持ちを切り替えて、ゲームをやめ、今日も眠りにつくのだった。

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