第21話 -聖水-
「はぁぁぁぁぁ」
あのあと僕はハジマリノマチに帰り、ため息をついていた。
「よく考えたら僕魔法使えないじゃん……」
そう。
僕にはMPは少ししかないし、そもそも魔法系のスキルを取ってないから、杖があっても意味がないのである。
なあぁんでそういうところで運が悪いかなぁ?
ま、いつか誰かにプレゼントでもするか。
きりかえて、僕はボロい宿へと向かう。
そもそもあの骨と戦った理由がクエストだったことを忘れていた。
「こんにちは〜」
そういいながら、その宿に入る。
「お兄ちゃん!薬草は?」
すると、受付にいた少女、ネミクノロちゃんは僕のところに駆け寄る。
「薬草は手に入らなかった……」
僕はいきなりそんなことを言う。
僕はあの森に入ると、霧の森になってしまうため、薬草を採取することはできなかったのだ。
「そんな……」
少女は今にも泣き出しそうな声でいった。
「でも大丈夫!きっとお母さんの病気治せるよ。」
そう僕がいうと、少女は「ほんと!」と顔を明るくした。
その、お母さんのところへ連れて行ってもらった僕は、アイテムボックスからとあるものを出した。
それは聖水。
これは、ネクロノミトンを倒したとき、出ていた宝箱に入っていたものだ。
僕は、恐らくこれを使って治すんだろうなと踏んでいた。
でないと僕が行く時、マーナの森が霧の森になる理由がないからだ。
早速、その瓶の蓋を取り、お母さんに飲ませる。
すると、
「ああっ、あ、あああ」
そう、うめき声をあげる。
お母さんの体が、急変する。
「お母さん!お母さん!」
そう、ネミクロノちゃんは叫ぶ。
すると、急にそれは止まる。
だがそれと同時に、少女の動きも止まる。
そして、
「あああぁぁぁぁぁああぁぁぁああ」
そう、少女は叫ぶ。
「多分だけど、ネクロノミトンでも、ネミクノロちゃんに乗り移っちゃったのかな?」
僕はそう考察する。
すると突然ステージが変わる。
そこは廃墟のような場所。
まるで、ネクロノミトンと戦った場所のようだった。
「フハハ。愚かな人間め。お前に我をたおせ」
バシャッ
僕は聖水をかける。
するとステージは元に戻り、少女も元に戻っていた。
「あああああああああ」
という、ネクロノミトンの叫び声が聞こえる気がするがそんなのは無視しよう。
「ありがとうございました!!」
僕はその親子にそう言われる。
「私たちに出来ることはあまりありません。なので、これを受け取ってください。」
と、指輪のようなものを渡される。
僕はそれを受け取る。
なにこれ?
1番初めに抱いた感想はそれだ。
なぜなら名前は「謎の指輪」で、しかも説明が何もない。
何かの素材になるのかなぁと思いながら、アイテムボックスの大切なものに登録をするのだった。
ちなみに、ネクロノミトンが乗り移っても、僕が冷静だったのには訳がある。
推測できてしまったからだ。
だって宝箱の中に思い切り聖水2個入ってるし、聖水の説明が魔を払う。
しかも少女の名前が「ネ」ミ「ク」ノ「ロ」だよ!?
流石に予想できちゃうよこんなのは!
でも、あえて戦闘すればよかったかなぁ……と思いながらゲームをやめるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます