第18話 -デカ骨を-

僕は、ネクロトンとの距離を詰める。

すると、ネクロトンは杖を振りはじめた。

「また魔法か」

ネクロトンの先には火の玉が出来上がり、それは僕に向かって放たれる。


「あっぶな!」

その攻撃は、さっきの岩よりも小さかったが、その分速かったので、かなりギリギリになってしまった。

多分現実なら服が燃えていたと思う。

現実ならそもそも避けられないけどね!僕足遅いから。


そのままネクロトンに向かって走り続ける。

ネクロトンは、また杖を振り始めたが、もう遅い。

僕とネクロトンとの距離はわずか数メートル。

魔法の発動よりも先に攻撃ができる。

僕のSTRならこの骨をただ殴るだけでは崩せないだろう。

だから僕は、骨と骨の隙間、関節に向かって剣を振る。

ここは弱点だろ!


その時、


カキン


という音が鳴る。

??????????????????

思わず閉じてしまった目を閉じるとそこにはネクロトンが持っていた杖があった。

いや杖が鳴っていい音じゃないだろ。


すると次の瞬間僕は軽くあしらわられる。

ネクロトンの杖はブンッと振られ、その衝撃で自分は壁際まで吹っ飛ばされていた。


「うっ」

痛みは感じないはずだが、脳が勘違いしてしまっている。

強い衝撃を受け、僕の体は動かない。

麻痺状態なのだろう。

少し経てば動けるようになるはずだが、それまでの間動けなくなるという、いわばデバフ。

そんな危機的状況にとどめを指すように、ネクロトンは魔法を構築していた。


そして、その攻撃は放たれる。

麻痺状態の僕には避けることもできやしない。

とてつもなく大きな岩が飛んで来る。




侵入者は死んだか。

それを、ネームドモンスターであるネクロノミトンは確認する。

かなり手強い敵であった。

知能が高く、我の眷属すらも利用しようとしていて、今倒せなければ、きっと今死んでいたのは我であっただろう。

そう考えながら、自分の放った岩をどかす。


その時ネクロノミトンの視界には1人の男がいた。

「うおりゃああああああああああ!!!」




「はは、ラッキー……」

岩の下敷きになっていた僕はそう呟く。

ここは1番初めに放たれた岩魔法によってできた穴。その上から更に大きな岩が乗っかっている状態だ。

2度目の岩は僕を仕留めるため、勢いをつけた。

だから、壁にぶつかり、減速した結果僕を潰さなかったのだろう。

つまり今は完全な密室。

こちらから向こうの状況を確認することはできないが、それは逆にも言えることだ!

あいつにはおそらく知能がある。

きっと、僕を仕留めきれたかを確認するであろう。

その時、その一瞬の隙を狙う。

完全に油断し切ったネクロトンの心臓、魔石を1発で砕く。

このチャンスを逃してしまえば、もう勝機はないと思うべきだ。


その時、真っ暗だった空間に光が差し込む。


「うおりゃあああああぁぁぁぁぁ!!!」

そう叫びながら僕は敵の心臓を捉える。


【クリティカル!!9ダメージ!!】

パリン


確実に砕けた。

勝負は長かったけれど、決着は最後の不意打ちの一瞬だったな。

そして、そこにあった骨は消え去る。


「よっしゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあまぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」

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