第8話
「はい.
これ持って,良い子は帰んな.」
案外,束になった資料を手渡す.
お待たせとかは言わない.
はー…
これ撮って,送るという
地味にめんどくさい作業を
延々とさせたんだよなって思えば思う程.
先輩にっ.
何かせねばならないと目を押さえた.
俺,関係無いのに.
何で俺がという文字が,ぐーるぐる.
だけど,
「やるからには落とすなよ.
関係無い奴らを,こうやって動かしてるんだ.
後は絶対にお前が成し遂げろよ.」
発破を掛けとく.
でもさ,
俺ちょっと人目もはばからないお前の動き,
羨ましいなって思ったんだ.
言わないけど.
思ったように生きるのはリスクも伴うって,
一気に学んだ気分.
これで俺落としたら結構恥ずかしい.
自分の分もコピッとくか.
「え?何?
もう,これ全て.
静かに出てってよ.
あぁ,何か入れて欲しいの?
あー待って.」
そうだよな手を切っちゃー事だし.
最後の方は,温かい.
出して直で持ってきた.
「え?何?違う?」
首振られても…
お前ずっと悪態突いてきてたじゃん.
急に寡黙な人?
あーでも,
気になったら気になってき始めた.
何故か俺のとこにマカロン着たんだよねー
あれ,取っ手よく分かんない位長いし,
底入れば何とかなるっしょ.
別に契約書じゃないんだから折っちゃダメとか無いし.
なんか不自然に束ねて,取っ手で押さえつけた紙バッグ出来上がる…
もー持てたら何でもいい.
はー…
なんか見た目センス悪っだけど.
「感じ良くて,女の子仕様のは今これしかなかった.
もうこれが最高値.
貸し1な」
って.念は押しといた.
いつか必ず返して貰う.
焼酎入ってた紙袋に筒状で入れてもいいけど,
それ意図しない嫌がらせになりそう.
あれ異様に家あってさ…
達筆な文字が威圧感な.
ギャップ萌えってなんのかな.
いや,そもそもこいつノーメイクで
誰か分からん.
ノーメイクで…
「マスク位なら恵んでやってもいい.
返せなんて言わない.
サングラスは,ちょっと奮発したから
貸せない.」
「1階に戻るだけだから.」
「え!?
彼氏んち戻るの!?
事務所同じなんでしょ?
普通にまずいってー」
俺,聞かなかった事にする.
面倒事は御免なんだ.
「私がっ」
ふん
「私の家に」
ふんふん
「戻るのっ.家は1階」
「えー」
えー?
「俺と変わる?
2階の方が,まだ」
まだ良くない?
とか言っておきながら,
まじで,こいつが変えてって言ってきたら
だいぶ面倒だなって.
結構,昔っから,いい人を演じて来たって言うか.
ここの局面で正しさは何だって思いながら
出しながら生きて来た.
それは,いい方向に転ぶことの方が多いんだけど,
本当にこれでいいのかって思う事もあって.
俺何がしたいんだっけ
とか
今どうしたら快なの俺
とか.
同時に付きまとってきて.
なんか期待と不安が入り混じった気持ちで
反応待ってた.
こいつは何と戻してくるのだろう.
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