第5話

な…

なく?

泣くっ!?

「なっ泣くな」

わたたっ

「でんわ…」

「電話っ!?

いつもは教えたりしないんだけど!

連絡先っ?

読み取る?読む?」

わたたたっ。

端末お手玉しながら引っ張り出して。

「教授が電話でA取らなきゃ単位はあげられないって…」

「え?」

あんの先生…

どんなだったっけ。

眼鏡かけてて…やさお…

まーさか…まさかなー。

わざわざ…

わざわざなー。

「何かあったら言ってきていい。

力になれるかも。

連絡先」

?って表情に

?って。

あっ…

あー…

こっちがヤバイ奴なんだなって。

あっははっ。

「家も上とか言ってないです」

「あっっははは。」

その反応、現代的で大変良いですね。

「どうやって家割り出した?

事務所同じ?」

付き合いがあるのは同業ぐらいで。

畑違いの人らは興味がない。

あいつが内情詳しかったのは、その辺からなのかなって。

「ごめんなさい」

「怒って無いよ」

怒って無いけどさー怖さがー。

「事務所は同じです。」

「あーだから知ろうと思えば」

敬語に変わった。

変わったな。

「もう遅いし帰ろう。」

帰って貰おう。

出来る事は何もない。

「Aを取るようにって」

「うんそれ聞いた」

見てくる。

「取ってやったらいいじゃん。」

見上げてくる。

「講義満足に聞けてないって、こっち。

勿論、板書とかもノー。ノー勉。

あれ返事だけしてたらいけるって聞いてる。」

「え?」

「知らねーのは損だなー。

目ー付けられちゃって。あーあ。

まー俺かんけーねーけど。

お付きの人呼んで安全に帰って。

来るまでは居てやる。

もー何も言うな。

最後の優しさ発揮中だから。」

おんなじ事務所のよしみで。

こいつの知り合いと付き合う事になるかもしんねーし。

こいつが仕事引っ張ってくるかもしんねーし。

マイナスイメージは…

オール損得勘定。

「あっあのっ」

「まだ何か?」

にこにこ。にこにこにこ。

早く誰か呼びやがれください。

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