第6話 私とゴルフ⑤
まあ、当然といえば当然だとは思うけれどね。
だって、こんなに素敵な男性がパートナーだったら、誰だって一緒に出たいと思うだろうし、私だってそう思うだろうから。
そんなことを考えていたら、順番が来たようだ。
名前を記入してから、参加費を払う手続きをする。
これで、いよいよ始まるんだという気持ちが高まった気がした。
それと同時に緊張感が高まる。
心臓の音がうるさいくらいに聞こえてくるほどだ。
でも、同時にワクワクしている自分もいることに気づいた。
これが、ゴルフという競技の持つ魅力なのだろうと思った。
いよいよスタートの時がやってくる。
係員の指示に従って、順番にホールへと入っていく。
最初の組にはガルオスさんがいるので、必然的に私の出番も多くなるわけで、プレッシャーを感じずにはいられなかった。
それでも、精一杯頑張ろうと心に決めて、一歩を踏み出す。
その瞬間、周りの風景が一変した。
そこは、森の中だった。
木々が立ち並び、鳥のさえずりが聞こえる中、私たちは歩いていた。
しばらく進むと、開けた場所にたどり着いた。
そこには、小さな池があった。
水面が太陽の光を受けてキラキラと輝いているように見える。とても綺麗だと思った。
ふと隣を見ると、彼が立っていた。
彼は、私の方を見ると、にっこりと微笑んだ。
私も微笑み返すと、そのまま見つめ合ったまま時間が過ぎていくのだった。
やがて、審判役の人がやってきて、ルールの説明が始まった。
簡単にまとめると、1番から9番までの番号札を引いて、それぞれ1回ずつ打つというもののようだ。
ただし、1打目は1番ティーからのプレーとなるとのことだったので、注意が必要だと感じた。
(よしっ!)
心の中で気合いを入れると、自分の引いたカードを確認するため、手元にある紙を開いた。
そこに書かれていた数字は8番であった。
つまり、私が最初ということになるわけだ。
そのことに安堵しつつ、気持ちを引き締め直すことにする。
そして、運命の瞬間が訪れた。
1打目を打つべく構えてボールに向かってスイングすると、心地よい感触とともにピンに向かって飛んでいくのが見えた。
よし、これはいけるかもしれない!?
そう思った瞬間、ガシャンという音と共に、ボールはカップインしていた。
(やったぁ!)
思わずガッツポーズを決めてしまうくらい嬉しかった。
まさか一発目で入るとは思っていなかったからだ。
自分でも信じられないくらいの幸運だと思うと同時に、喜びを爆発させるようにその場で飛び跳ねてしまったほどだった。
そして、次のホールへ進んでいく。
2番目のホールでも同じように、順調にスコアを伸ばしていくことができた。
3番目のホールでは少しダフってしまい、ボギーを叩いてしまったが、4番目のホールでダブルボギーを打ってしまい、
結局5オーバーとなってしまったものの、何とか予選通過することができた。
5番のロングコースでは、ティショットが右の林に入り、そこからセカンドショットを打ったが、
思ったより飛距離が出なかったこともあり、3パットのボギーを叩いてしまう結果となった。
6番ミドルコースは、パー3の短いコースであり、フェアウェイセンターに置かれた大きな岩を避けつつ、
グリーン手前に設置された池に入れるかどうかが鍵となった。
7番ショートコースは、最も長い距離のあるコースであり、池越えの難しいコースであった。
8番ミドルコースは、2打目の地点が最も狭く、グリーンに向けて傾斜しているので、アプローチショットの正確さが求められた。
9番ショートコースは、一番狭いコースである上に、風の影響を強く受けるコースなので、正確なコントロールが求められることとなった。
10番ショートコースは、池とバンカーに囲まれた難所の多いコースで、いかにバーディーチャンスを作るかがポイントとなっていた。
11番ミドルコースは、ティグラウンドからグリーンまでの距離が一番短く、真っ直ぐ歩けば良いだけに見えるが、
実際には、左右に曲がるドッグレッグが多く、加えてハザードを越えることもあるため、非常に戦略的なコースとなっている。
12番ミドルコースは、左右の樹木によって、微妙なアンジュレーションがあるため、距離感を狂わせることがある上、
落とし穴のような形状をしたクリークや池が待ち受けているため、攻略が難しいコースの一つだと言われている。
13番ミドルコースは、アウトとインの二つのルートがあり、左右どちらかを選ぶことになるのだが、
どちらも同じような作りになっているため、ミスをするとリカバリーが困難になることが多いと言われている。
14番ショートコースは、唯一、障害物のないストレートなコースだが、途中にマウンドがあるため、
飛距離よりも方向性が重要とされている。15番ミドルコースは、比較的フラットな地形ではあるが、
随所に配された大小さまざまな池がプレーヤーを苦しめる要因となっており、
特に16番ショートコースは、OBゾーンが待ち構えていることから、
このコースが苦手というゴルファーも多いと言われている。
それから17番は、右サイドに大きく曲げた打ち下ろしの打ち上げ、18番ミドルコースは、
左サイドに大きく曲げた打ち下ろしのハーフドライブです。
私は、慎重に狙いを定めて、ドライバーを振り抜きました。
しかし、当たりが悪かったのか、思ったほど飛んでくれませんでした。
仕方なく、セカンドショットを打ちましたが、これもまた失敗に終わります。
結局、3連続ボギーを叩き、トータル12オーバーとなってしまいました。
一方、ガルオスさんはと言うと、流石の腕前で、次々と好スコアを重ねていきます。
そんな彼の姿を横目で見ながら、私も頑張らなければと気合を入れ直しました。
その後も何度かピンチを迎えながらも、どうにか踏ん張り続け、最終18番ホールを迎えることになりました。
ここで上手くいけば、決勝進出が決まる大事な場面となります。
緊張しながらも、しっかりと呼吸を整えてから、ティグラウンドに立ちます。
そこで見た景色はとても美しく、まるで夢の中にいるかのような錯覚を覚えてしまいました。
そんな中、私はゆっくりと息を吐き出した後、クラブを振り上げました。
その瞬間、周囲の音が消え、静寂に包まれたような気がしました。
それと同時に、意識が研ぎ澄まされていくような感覚を覚え、自然と集中力が増してくるのを感じました。
そして、思い切りスイングすると、心地よい手応えと共に、ボールが飛んでいくのが見えたのです。
次の瞬間、カコーンという音が響き渡り、ピンに向かって一直線に向かっていきました。
このまま行けば、入るはず! そう確信したのですが、現実はそんなに甘くありませんでした。
何と、インパクトの瞬間に、力み過ぎてしまったせいで、トップしてしまい、そのままカップインしてしまったのです。
その結果、トリプルボギーとなり、結局、優勝争いから脱落してしまいました。
ですが、最後まで諦めずにプレーできたことは、私にとっての大きな収穫だったと思います。
今回の経験を活かし、次こそは必ず優勝できるように頑張りたいと思います!
その後、ガルオスさんも優勝し、見事優勝を果たしたのだった。
試合後のインタビューでは、お互いに健闘を称え合う言葉を送りあった後、今後の目標について語り合ったりもした。
彼は、私にこう言ってくれたのだ。
「次は、ぜひとも決勝戦で対戦したいものだね」
その言葉を聞いた時、私は胸が高鳴るのを感じた。
彼と戦える日が来ることを想像するだけで、ワクワクしてくる自分がいたのだ。
その日が来るまで、練習に励むことを決意するのだった。
それから、数ヶ月が経過したある日のこと、ついにその時がやってきた。
私と彼は、再び同じ大会に出場することになったのである。
しかも、今度は決勝の舞台で雌雄を決するのだ。
そう思うと、否応なしに緊張してしまうが、同時に楽しみでもあった。
今度こそ勝ってみせるという強い決意を抱いて、決戦の地へと向かったのだった。
会場に着くと、既に大勢の観客が集まっており、熱気に包まれていた。
その雰囲気に圧倒されつつも、私たちは控室へと向かうことにした。
中に入ると、そこには見知った顔があった。
ガルオスさんだ。
彼もこちらに気づいたようで、声をかけてきた。
「やあ、久しぶりじゃないか!」
そう言って、こちらに近づいてくる彼に対して、私も挨拶を返す。
「こんにちは、お久しぶりですね。今日はお互い正々堂々と戦いましょう!」
私がそう言うと、彼はニヤリと笑って答えた。
「ああ、もちろんだとも!」
そして、握手を交わすと、それぞれの準備に取り掛かることにした。
まずはウォーミングアップからだ。
ストレッチをして、体をほぐしていく。
その後は、軽くランニングをし、身体を温めていくことにする。
一通り終わったところで、軽く素振りをすることにする。
その際に、何度も頭の中でシミュレーションを行うことも忘れないようにした。
前回の試合を思い出し、反省点を活かして改善していくように心がけることにした。
そんなことを考えているうちに、あっという間に時間が過ぎていき、試合開始の時間となった。
係員の指示に従って、入場ゲートをくぐる。
いよいよ始まるんだという緊張感に包まれる中、最初のホールへと足を踏み入れたのだった。
いよいよ始まった本戦、最初のホールは8番ロングコースだった。
(よし、頑張るぞ!)
気合いを入れて歩き出すと、さっそくティーショットを打つために、ボールをセットする。
深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから、スイングを開始した。
すると、ボールは思った以上に勢いよく飛んでいき、そのままカップインした。
幸先の良いスタートを切ることができたことに安堵しつつ、次のホールへ向かうべく歩き始めた。
その後も順調にスコアを伸ばしていくことができ、最終的に9オーバーまでスコアを落とすことになったものの、予選通過を果たすことができた。
これで一安心だと思った矢先、最後のホールでとんでもない事態に見舞われることになったのだった。
8番ショートコースでは、2打目で池に入れてしまい、ダボを叩いてしまった。
(あちゃー、やっちゃった……)
と思いながら、アプローチに入るため、一旦池から離れようとした瞬間、後ろから声をかけられた。
振り向くと、そこにいたのはガルオスさんだった。
驚いて固まっていると、彼が話しかけてきた。
「やぁ、調子はどう?」
にこやかに微笑みながら話しかけてくる彼に、私も笑顔で答えることにした。
「ええ、まあ、そこそこですね」
と答えると、彼は少し意外そうな表情を見せた後で、こんなことを言ってきた。
「おや、そうなのかい? てっきり苦戦しているんじゃないかと思っていたんだけどねぇ……」
その言葉にドキッとしたが、平静を装って聞き返す。
「……どうしてそう思うんですか?」
すると、彼は笑いながら答えた。
「いや、何となくだよ。君の様子を見てたら分かるさ」
そう言いながら、私の全身を舐めるような視線で見つめてくる。
その視線に不快感を覚えつつ、平静を装って聞き返した。
「そうですか、ご心配ありがとうございます」
それだけ言うと、
「いやいや、礼には及ばないよ」
と言って、彼は去っていった。
ほっと胸を撫で下ろすと、改めて自分の状況を確認するため、周囲を見渡してみることにした。
まず目に飛び込んできたのは、池に浮かぶボールの姿だった。
それを見て、思わず顔をしかめてしまう。
次に目に入ったのは、池を囲むようにして設置されている柵だ。
高さはそこまで高くなく、乗り越えるのは簡単そうだったが、もし落ちたら大変なことになるのは間違いなかった。
最後に見えたのは、池の上に建つ大きな橋である。
この橋は、池の上に架けられており、下を通ることができるようになっていた。
つまり、池の上を歩いて渡ることもできるということだ。
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