第5話 私とゴルフ④

「きゃーっ!」

突然の悲鳴とともに、足元が大きく揺れ動いたため、バランスを崩してしまい、危うく転落しそうになりました。

幸いにも、近くにいたスタッフが駆けつけてくれたおかげで事なきを得ましたが、もし誰も助けに来てくれなかったらと思うとゾッとします。

その後も何度か揺れたせいで恐怖心が増してきてしまいましたが、ようやく地上に降りる頃にはすっかり落ち着きを取り戻していました。

それにしても、本当に危険な乗り物でしたね……もう二度と乗りたくないと思ってしまいます。

さて、気を取り直して、次に行きましょう!

まだまだ楽しみはこれからですよ!

公園での楽しい時間はあっという間に過ぎていき、夕方になりました。

そろそろ帰らなければなりません。

名残惜しいですが、仕方がありませんよね。

でも、最後に一つだけやり残したことがありました。

そう、夕日を背景にした記念撮影です。

せっかくの機会なので、是非とも撮っておきたいと思い、近くのお店に立ち寄り、カメラを借りてきました。

そして、スタッフの方にお願いして、公園の高台へと案内していただきました。

そこからは絶景を見ることができます。

素晴らしい眺めでした。

この感動を写真として残すことができれば最高だと思ったのですが、残念ながら、上手く撮ることができませんでした。

やはり、プロのようにはいかなかったようですね。

まあ、これも思い出ということで良しとしましょう。

その後は、帰路につきました。

行きと同じく電車に乗って帰ることになったのですが、途中で乗り換える必要があって、少し面倒でした。

やっとの思いでホームに到着した時には、すでに夜になっていました。

疲れた身体を引きずって、家路につくことになりました。

帰宅後、夕食を済ませた後、お風呂に入り、寝る準備を整えてから、ベッドに潜り込みました。

目を閉じると、今日一日の出来事が次々と浮かんできます。

楽しかったことや驚いたことなど、様々な出来事があり、とても充実した一日を過ごせたと思います。

そして、何よりも嬉しかったのは、彼と一緒の時間を過ごすことができたことです。

彼の笑顔が脳裏に浮かび、幸せな気分に浸りながら、眠りに就きました。

そうして、翌朝、私はゴルフの大きな大会に向けて、以前ガルオスさんと行ったゴルフ練習場へ行く事とします。

もちろん、今回も一人で行きます。

前回と違って、今回はコースに出るわけではありませんが、練習は必要ですからね。

それに、大会で使うクラブを使って、実際にボールを打ってみることで、自分の調子を確かめることもできます。

というわけで、早速行ってみました。

受付で手続きを済ませると、ロッカールームに向かい、着替えを始めます。

今回使用するクラブは、ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド、アイアンの4本です。

それぞれ番手ごとに使い分けることができるので、状況に応じて最適なセッティングを選択する必要がありますね。

まずは、ドライバーから始めましょう。

しっかりとグリップを握り、アドレスポジションを取り、スイングを開始しますが、なかなかうまく当たりません。

何度も繰り返して打っていると、少しずつコツを掴んできて、徐々に当たるようになってきました。

その後も、色々なショットを打ちながら、調整を行っていきます。

ある程度感覚が掴めたところで、次はフェアウェイウッドを使います。

こちらは比較的真っ直ぐ飛び、距離も出しやすいのが特徴的ですね。

私は、ボールをセットすると、軽く素振りをして、感触を確かめます。

そして、構えて、思い切り振り抜きました。

今度は、先ほどよりも強い手応えを感じ、良い感じに打てている気がします。

そのまま続けて打つと、なんと、カップインさせることができました。

これには自分でも驚きましたね。

まさか、こんなにあっさり入るとは思いませんでしたから。

その後、しばらく休憩した後、次のラウンドに移ります。

最初は、少し緊張していたのですが、次第に慣れてくると、リラックスしてくるようになりました。

その結果、後半になるにつれて、だんだんとスコアが良くなっていきました。

最終的には、80という数字を叩き出すことができたので、大満足の結果となりました。

帰り際に、受付の方たちにお礼を言って、ゴルフ場を後にすることにしました。

帰り道、ふと空を見上げると、綺麗な夕焼け空が広がっていました。

それを見て、改めて、今日1日が充実していたことを思い知り、嬉しくなります。

これからも、頑張っていこうという気持ちになれる。

そんな瞬間でした。

そして、翌日、またいつもの日常が始まりました。

朝起きて、朝食を食べ、身支度を整えて、ゴルフの練習をする為に練習場へ向かっていると

以前何度か、色々と教えてくれたガルオスさんがいるのです。

ガルオスさんは、私の師匠であり、友人でもある。

彼は、私にとって特別な存在です。

彼と初めて会った時のことは今でも鮮明に覚えています。

あれは、私がまだアマチュアだった頃、とある大会で優勝した時の事です。

優勝トロフィーを持って、控室に戻った私に、彼が話しかけてきてくれたのです。

それが、最初の出会いでした。

それ以来、私たちは、よく一緒に行動することが多くなり、プライベートでもお互いの家に遊びに行ったり、

旅行に出かけたりする仲になったのです。

そんな彼と、今日もこうして会えるなんて、今日はついているかもしれないと思った。

早速、挨拶を交わすと、彼も笑顔で応えてくれた。

「おはよう、ガルオスさん」

「ああ、おはよう、ミリル。相変わらず早いね〜」

「そうかな? 普通だと思うけど……」

「いやいや、そんなことはないよ。僕なんか、いつもギリギリまで寝てるからね〜あははっ!」

そう言って、笑う彼につられて、私も笑ってしまう。

やっぱり、この人と一緒にいると楽しいなと思うのだった。

それから、少しの間、雑談をして過ごした後、いよいよ出発することになった。

バスに乗り込む私たち。

席に座ると同時に、バスが動き出した。

窓の外を見ると、街の風景が流れていくのが見えた。

それをぼんやりと眺めつつ、目的地に着くまでの間、過ごすことにした。

しばらくすると、隣から声が聞こえてきた。

「ねえ、ミリルはどうしてゴルフを始めたんだい?」

突然の質問に戸惑いつつも答えることにする。

すると、彼はさらに質問を重ねてきた。

「じゃあ、どういうところが魅力だと思うのかな?」

そう言われて考えてみると、真っ先に浮かんだのはやはり楽しさだ。

特に、ホールアウトした後に、仲間と一緒にワイワイ騒ぎながら、食事をする時間が最高なのだ。

そのことを話すと、ガルオスさんは興味深そうに聞いていた。

「なるほど、そういう楽しみ方もあるんだね〜。参考になるなぁ」

それから、話題は趣味や休日の過ごし方など、多岐に渡って盛り上がった。

気がつくと、目的の場所に着いていたようだ。

「さあ、着いたみたいだぞ! 行こう!」

という彼の言葉を合図に、私たちは荷物を手に持つと、急いで降車口へと向かった。

外に出ると、眩しい太陽の光が降り注いできた。思わず目を細める。

そんな中、目の前に広がる景色を見て、感嘆の声を漏らしてしまった。

そこには、緑豊かな自然が広がり、美しい湖がキラキラと輝いていたのだ。

まるで絵画のような美しさである。

そんな光景を眺めながら歩いているうちに、今回の大会の会場に到着した。

そこは、大きなロッジ風の建物であった。

中に入ると、既に大勢の参加者が集まっており、熱気に包まれていた。

開会式が終わると、各自、割り当てられた部屋へと向かうことになるのだが、その際に、私とガルオスさんとは別行動になってしまった。

残念だったが、仕方がないことだ。

それぞれの部屋に荷物を置くと、すぐに練習を始めることにした。

まずは、ウォーミングアップからだ。

ストレッチやランニング、筋トレなどで体を温めていく。

一通り終える頃には、すっかり汗をかいてしまっていたが、それも心地よい疲労感を感じさせてくれるものであった。

次に、ショットの精度を高めるため、アプローチショットの練習を行うことにした。

クラブを手に取り、ボールに向かって構える。

そして、ゆっくりと息を吐きながら、タイミングを合わせて打ち出した。

放たれたボールは、真っ直ぐに飛んでいき、狙った場所へと着弾した。

よし、いい感じだ!

その後も、同じ動作を繰り返して、感覚を磨いていった。

それから、ドライバーを使って、ショートコースでのラウンドを行った。

途中、池ポチャなどのトラブルもあったが、全体的には上手くいった方だと言えるだろう。

最後に、パターを使った練習を行い、その日の練習を終えた。

シャワーを浴びた後、夕食を食べて、早めに就寝することにした。

明日は、大事な試合があるのだから、体調管理はしっかりとしておかないとね。

そして、翌朝、目が覚めると、早速準備に取り掛かることにした。

まず最初に、軽い体操を行ってから、身体をほぐしていく。

その後、顔を洗い、歯を磨き、髪を整えるなどして、身支度を整えた。

服装については、動きやすいものにしておく。

準備が整うと、部屋を出て、食堂へ向かった。

そこで、朝食を済ませてから、再び部屋に戻ると、今度は着替えることにした。

今日の試合は午後に行われる予定なので、午前中は特にやることがないのである。

そのため、今のうちに少しでも疲れを取っておきたいと思っていたので、ゆっくり休むことにした。

ベッドに横になり目を閉じると、すぐに眠気がやってきたので、抗うことなく眠りに落ちていった……。

数時間ほどして目を覚ますと、時計は既に正午近くを指していた。

そろそろ起きなければと思い身体を起こすと、不意にお腹が鳴ったような気がした。

そういえば、朝から何も食べていなかったことを思い出し、何か食べるものを探すために部屋を出た。

廊下に出ると、ちょうど向かい側から歩いてくる人物が見えた。

それは、ガルオスさんだった。

どうやら、彼も同じ考えだったようだ。

お互いに目が合うと、自然と笑みがこぼれる。

そして、そのまま一緒に食事を取ることになった。

向かった先は、レストランで、バイキング形式のビュッフェ形式になっていた。

料理を取りに行き、テーブルに戻ると、早速口に運ぶ。

うん、美味しい。

そんなことを考えていると、ふと視線を感じて顔を上げると、彼がこちらを見て微笑んでいることに気がついた。

慌てて目を逸らすと、恥ずかしさが込み上げてくるのを感じた。

顔が熱くなるのを感じる。

きっと赤くなっているだろうと思いながらも平静を装っていると、今度は彼から話しかけてきた。

その内容を聞いて驚くことになる。

なんと、彼もこの大会に出場するのだというのだ!

しかも、ペアを組んで出場するらしい。

それを聞いて、ますますドキドキしてしまった。

どうしよう、緊張してきたかも……。

でも、嬉しい気持ちの方が大きかったので、素直に喜ぶことにした。

その後、彼と別れた後も、ずっと幸せな気分が続いていたのだった。

大会当日になると、私は朝早くから起きて準備を整えると、集合場所に向かった。

すでに多くの人が集まっていて、賑わっていた。

その中には、ガルオスさんもいるはずだと思って探していると、案の定見つかった。

彼の方もこちらに気がついたようで、手を振ってくれたので、私も振り返すと、近づいて行った。

すると、彼は笑顔で迎えてくれた。

その笑顔を見るだけで、胸が高鳴るような感覚を覚える。

やっぱり好きだなぁと思ってしまう自分がいることに気がつく。

それから、軽く会話をした後、一緒に受付を済ませるために列に並ぶことにした。

待っている間、周りを見渡すと、やはりというかなんというか、女性の姿が多かったように思う。

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