第2話 私とゴルフ①
その後も何度も超高速スイングを打てるために練習していましたが、何とか打てるようになり、
ホッとしていると流石に疲労があるので、一度、ガルオスさんの元へ戻ります。
「どうですか? 調子は?」
ガルオスさんが笑顔で迎えてくれたので、私も笑顔で答えます。
「ええ、おかげさまでバッチリです!」
それを聞いて、ガルオスさんも嬉しそうです。
「ミリル、そろそろ帰るか」
「そうですね」
私たちは一緒に歩き出しました。
帰り道でも私は超高速スイングのことを考えていました。
(あのスイングは本当にすごかったなぁ……)
思い出すだけでもドキドキしてきてしまいます。
気付けば、車のある所まで来ており、私とガルオスさんは乗り込むとそのまま車で移動します。
「今日のゴルフはどうでしたか?」
と聞かれたので、私は正直に答えることにしました。
そうすると、ガルオスさんは満足そうな表情を見せます。
どうやら喜んでくれているようですね。
そう思うとなんだか嬉しい気持ちになってきました。
「そうだ、ミリルの家は何処にあるんだ? このまま送るよ」
「ありがとうございます! あ、ここの近くです!」
と言って住所を伝えると、すぐに到着することができました。
玄関先まで送ってもらい、そこで別れることとなりました。
名残惜しいですが仕方ないですよね。
「それではまたお会いしましょうね」
と言うと、ガルオスさんも頷いてくれました。
それから、私は家の中に入ります。
シャワーを浴びてからベッドに横になると、すぐに眠りに落ちてしまいました。
翌日、目を覚ますと早速昨日のことを思い出してしまい、体が熱くなります。
もう我慢できないとばかりに着替えると家を飛び出ました。
(ああもう早く会いたい!)
そう思いながらガルオスさんの元へ行くのです。
待ち合わせ場所に着くと、すでにガルオスさんは待っていました。
「おはようございます!」
元気よく挨拶をすると彼も返してくれます。
それから二人でレストランに向かいました。
席につくなり、料理を食べ始める私たち。
しかし、どうしても気になってチラチラと見てしまうんですよね……。
すると視線に気付いたのか、彼が話しかけてきました。
「どうしたんだい? 何か気になることでもあるのか?」
ドキッとしてしまいましたが、平静を装って返事をします。
でもやっぱり気になってしまうんですよね〜……。
思い切って聞いてみようと思い、聞いてみることにしました。
「……実は昨日教わった必殺技のことで……」
そこまで言うと彼は察したようでした。
「あぁ、もしかしてあれかい?」
そう言うとニヤリと笑いました。
そうです、まさにそれなんですよ〜!
私が大きく頷くと、彼はこう続けました。
「そうか、気に入ってくれたんだね。それは良かったよ」
そう言って微笑むガルオスさんの顔はとても素敵でした。
思わず見惚れてしまいそうになるほどです。
それからしばらく食事を楽しんでいたのですが、途中でふと思いついて尋ねてみることにしました。
「ところでなんですけど、このあと予定とかありますか?」
そう尋ねると、彼は少し考えてから答えてくれます。
うーん、特にないみたいですね。
それなら好都合です。
そこで私は提案してみることにしました。
(せっかくだから、もう少し一緒にいたいな……)
そんなことを考えていると、自然と笑みが溢れてしまいます。
それを見たガルオスさんが不思議そうに見つめてきました。
いけない、顔に出てしまってたみたい。
慌てて取り繕います。
その後、会計を済ませた後、私たちは店を出て歩き出しました。
どこへ行くでもなく、ただぶらぶら歩いているだけですが、それでも楽しいと思えるのですから不思議ですね。
そうして歩いているうちに、公園が見えてきました。
ちょうど良い機会だと思い、誘ってみることにしたのです。
ガルオスさんは快く承諾してくれたので、中に入ることにしました。
ベンチに腰掛けると、目の前には大きな噴水があります。
水飛沫が飛び散り、太陽の光を受けてキラキラと輝いていて綺麗でした。
「わぁ、すごい迫力ですね!」
と言いながら、目を輝かせていると、不意に肩を叩かれました。
振り返るとそこにはガルオスさんの姿がありました。
彼は微笑みながら言います。
「ほら、見てごらん」
そう言われて前を向くと、そこには大きな虹がかかっていました。
「うわぁ……!」
感嘆の声が漏れてしまいます。
それほどまでに美しい光景だったのです。
感動のあまり、涙がこぼれ落ちそうになってしまいました。
そんな私を優しく抱きしめてくれるガルオスさん。
彼の温もりを感じながら、私は幸せを感じていました。
(ずっとこうしていたいな……)
そんなことを考えていると、急に恥ずかしくなってきて、顔が赤くなってしまいました。
そんな私の様子に気付いたのか、
「大丈夫かい?」
と声をかけてくれたのです。
大丈夫ですと答えたものの、心臓はバクバクと音を立てていました。
それからしばらくの間、無言のまま抱き合っていたのですが、やがてどちらからともなく離れることになりました。
お互いに顔を見合わせてクスリと笑い合います。
それから私たちは手を繋いで歩き出しました。
その後は色々なお店を見て回りました。
服屋さんや雑貨屋さんなどを巡っているうちに、あっという間に時間が過ぎていき、気が付くと夕方になっていました。
そろそろ帰ろうということになり、駐車場へ向かっていると突然雨が降り出してきました。
突然のことで驚いている間にも雨足はどんどん強くなっていきます。
このままではずぶ濡れになってしまいそうなので、急いで車に乗り込みます。
「ふぅ、危なかったな」
運転席に座ったガルオスさんがため息をつきながら言いました。
私も助手席に座り、シートベルトを締めます。
そして車が発進したところで、私は彼に尋ねます。
「今日は楽しかったです! また一緒にお出かけしたいですね〜」
と言うと、彼はニッコリと笑って頷いてくれました。
それが嬉しくて、つい頬が緩んでしまいます。
それからしばらくして家に着きました。
車を降りる前に、私はそっとキスをしました。
驚く彼の顔を見つめながら、私は満面の笑みを浮かべます。
「おやすみなさい、また明日会いましょうね〜!」
それだけ言って、家に入っていきました。
翌朝、目が覚めると真っ先にスマホを手に取り、メッセージアプリを起動します。
もちろん相手はガルオスさんです。
トーク画面を開き、昨日のお礼を伝えます。
するとすぐに既読マークが付きました。
返信が来るのを待っている間に身支度を整えます。
朝食を食べているときにもスマホが振動しているような気がして、確認するとやはり彼からのものでした。
その内容を読んで嬉しくなった私は、思わずニヤニヤしてしまいました。
(今日も会えるんだ!)
そう思うと胸が高鳴ります。
家を出る時間までの間、何度も鏡の前で自分の姿を確認しつつ、出かける準備をするのです。
待ち合わせ場所に着くと既に彼が待っていました。
私は駆け寄って挨拶を交わします。
「ミリル、そろそろ大会に出て見ないか? 君の成果が見たい、後は超高速スイングもどれだけものにしたのかも見たいしな」
「大会ですか? でも、まだ……」
「大丈夫、俺がサポートするからさ」
「わかりました、頑張ります!」
ということで、私は大会に出場することになった。
その大会では、様々なプロゴルファーが参加するらしい。
その中には有名な人もたくさんいるそうで、緊張してしまう。
「さあ、行くぞ!」
と意気込むガルオスさんに引っ張られるようにして会場へと向かいました。
そこは郊外のゴルフ場で、近くには川が流れている場所です。
緑豊かな場所で、空気が美味しいところです。
受付を済ませて控室に入ると、他の参加者たちも集まってきていました。
みんな強そうな人たちばかりで、ちょっと怖気付いてしまいます。
そんな中、一際目を引く人がいました。
その人は女性の方で、すごく綺麗な方なのです!
スタイルもよく、美人という言葉がぴったり当てはまるような人でした。
そんな彼女を見ていると、なんだかドキドキしてしまい、まともに顔を見られなくなってしまいました。
それから開会式が始まり、トーナメント表が発表されます。
なんと、私とあの女性は別の組に分けられてしまいました。
残念ではありますが、仕方がないことです。
気を取り直して、試合に臨むことにしましょう。
最初の試合は、相手の男性との試合で、お互い一打ずつのパー4です。
私は、ガルオスさんから教わった、超高速スウィングを試してみることにしました。
頭の中で、イメージを思い浮かべ、それを現実のものとするために、力一杯振り抜きます。
すると、自分でも信じられないくらいのスピードでボールが飛んでいき、ピンに向かって一直線に向かっていったのです。
(いける!)
と思った瞬間、ガシャーン! と、音を立てて、カップインしたのでした。
その瞬間、周りからはどよめきが起こりましたが、すぐに拍手喝采に変わりました。
その後も、順調に勝ち進み、ついに決勝戦までやってきました。
相手は、先ほどの美女です。
彼女と対峙すると、それだけで緊張してしまいます。
ですが、ここまで来た以上、負けるわけにはいきません。
気合いを入れて臨むことにします。
審判の合図とともに、一斉に打ち始めました。
1番ホールで、私が打った球は、真っ直ぐ転がっていくと、
そのままグリーンに乗って、そのまま止まることなく、2メートル程の距離を転がり、見事にホールインワンしました。
やったぁ、と小さくガッツポーズをして喜ぶ私に、観客たちから歓声が上がり、祝福してもらえました。
次のホールでも、同じように、真っ直ぐに転がるボールを難なく沈め、楽々とバーディーを取ることができました。
このまま、優勝できるかもしれない、と思っていた矢先、事件は起こりました。
5番ホールで、私が放ったショットが、大きく右に曲がってしまい、OBゾーンへ飛び込んでしまったのです。
慌てて、駆け寄ろうとするも間に合わず、ボギーを叩いてしまいました。
これで、1オーバーとなり、崖っぷちに立ってしまいました。
しかし、ここで諦めるわけにはいかない、と自分を鼓舞し、気持ちを切り替え、再びスタートラインに立ちました。
そこから、なんとか立て直そうと、必死に頑張りました。
その結果、6番、7番、8番、9番と、連続でバーディーを奪うことができたのです。
そして、運命の10番、このパットが入れば、逆転優勝だ、と自分に言い聞かせ、慎重に構え、ゆっくりとストロークしました。
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