スウィングの旅路

一ノ瀬 彩音

第1話 レジェンドとの出会い

私の名前はミリル・エランスです。

私はゴルファーで、長年にわたってゴルフに熱中しています。

私には夢があります。

それは世界最高のゴルファーになることです。

私は多くのアマチュア大会に参加し、優勝するために全力を尽くしています。

私が初めて大会で優勝したのは数年前のことでした。

その時は本当に嬉しかったです。

でも、その後すぐに調子を崩してしまい、大会では思うような成績を残すことができませんでした。

それ以来、私は何度もスランプに陥り、自信を失ってしまいました。

そんな時、私はゴルファー界のレジェンドであるガルオス・レーケンドさんと出会いました。

彼は私のスイングを見て、いくつかの問題点を指摘してくれました。

「あなたはもっと自分らしく打つべきだ」

ガルオスさんは私にそう言いました。

最初は彼の言葉が理解できませんでしたが、何度かレッスンを受けるうちにその意味を理解し始めました。

「僕はあなたのスウィングが好きだけど、あなたが持っている可能性を十分に引き出していないと思う。

だから、僕があなたにできることをしてあげたいんだ」

ガルオスさんの熱心な説得によって、私も次第にやる気を取り戻してきました。

彼の教えに従って練習を重ねていくうちに、私は自分でも驚くほど上達しました。

「君は素晴らしい才能を持っているよ! 君なら絶対に世界で通用する選手になれる!」

ある時、ガルオスさんが私を褒めてくれたことがとても嬉しく思いました。

そんな私はガルオスさんにある質問をするのです。

「飛距離を伸ばすにはどうすればいいの?」

「そうだな……まずはアドレスの時に正しい姿勢を取ることだ。

それから、クラブを上げる時にはグリップエンドではなく、手元を意識してごらん。

そうすれば自然とフェースがスクエアに戻るはずだから」

ガルオスさんから教わったことを実践することで、私はさらに成長することができました。

しかし、成長していてもまだまだ私には足りない部分もあると思うのでガルオスさんにこんな提案をします。

「ガルオスさん、私は誰かと練習でいいので、ラウンドしたいです!」

「そうだね、じゃあ一緒に回ってみるかい?

僕も久しぶりにコースに出たいと思っていたところなんだ」

こうして私たちは週末に練習場へ行って、私の練習の成果を確認することにするのです。

そして当日、私たち二人は同じゴルフ場でプレーをすることに。

最初の数ホールは好調でしたが、その後は思わぬトラブルに見舞われてしまいました。

なんと、ボールを見失いかけてしまったんです。

そこで、ガルオスさんがアドバイスをくれました。

「落ち着いて、ボールを探さずに周りを見るんだよ。視野を広げて、遠くまで見渡してみよう。きっと見つかるはずさ」

その言葉通りにしてみると、意外なほど簡単に見つけることができました。

「ありがとうございます! おかげで助かりました!」

ガルオスさんには感謝しかありません。

その後も順調にスコアを伸ばし続け、最終的には自己ベストを出すことができたのですから。

この経験を通して、私は自分に合ったスウィングを見つけられたと思います。

「ありがとうございました、ガルオスさん。また今度もよろしくお願いしますね」

私は彼にお礼を言って別れます。

私にとって初めての競技会に出場することになったのは数日前のことです。

この大会では各クラスの優勝者たちがトーナメント形式で競い合います。

優勝すれば、プロへの道が開けるとあって、多くの人々が注目しています。

私自身もその一人でした。

何しろこれまでたくさんのトーナメントに参加してきましたが、一度も優勝したことがなかったからです。

今回は必ず優勝したいと思います。

そんな気持ちで臨んだ初戦でしたが、残念ながら敗北を喫してしまいました。

結果は1オーバーの73位でした。

思った以上に実力の差があったようです。

悔しいですが、これが現実なのです。

それでも諦めずに2回戦へ挑むことにしました。

今度はもっと良い結果を出したいと思い、一生懸命プレイしました。

そうすると、驚くことにベストグロスで回ることができたのです。

2番ホールではパーセーブ、3番ではバーディーチャンスを決め、4番でチップインイーグルを達成!

これには観客たちも大いに沸き上がり、私も思わず叫んでしまいました。

この日を境に、私のスウィングに変化が起こり始めました。

それまではずっと力任せのスウィングだったのですが、今では無駄な力を入れなくても自然に球を飛ばすことができるようになったのです。

そのお陰で、コントロールもよくなりました。

もちろん、ショットの内容自体も良くなったと感じています。

その結果、徐々にトーナメントでも勝てるようになっていきました。

しかし、油断せずに毎回全力でプレーし続けるように心がけていました。

ある日、ガルオスさんから新しいゴルフコースに行くお誘いを受けました。

そのコースは難易度が高く、世界的に有名なコースだそうです。

ガルオスさんと一緒にコースへ行くことになったのです。

当日、私たちは車で移動しました。

途中で休憩しながら、目的地へと進んでいきます。

途中、山道に差し掛かったところで車が故障してしまい、立ち往生してしまいました。

しかし、ガルオスさんが素早く対応してくれたおかげで無事に動くようになりました。

さすがですね。

そこからしばらく走ったところで、ようやく目的のゴルフコースが見えてきました。

思っていたよりも大きな施設で、コースの周りには多くの木々が立ち並んでいます。

その中でも特に目を引くのが緑色の巨大な壁です。

高さもかなりあります。

一体、どうやって作ったのでしょうか?

不思議に思って尋ねましたが、ガルオスさんは笑って教えてくれませんでした。

中に入ると、さっそく受付を済ませます。

料金を払ってロッカールームへ向かいました。

中には誰もおらず、静まり返っています。

ガルオスさんが言うには、まだオープンしたばかりのため利用者が少ないのだそうです。

つまり、貸切のようなものということですね。

荷物をロッカーに入れて、早速ゴルフウェアに着替えます。

更衣室を出ると、目の前には長い通路が広がっていました。

床も大理石張りになっていて、ピカピカに磨き上げられていました。

まるで鏡のように自分の姿を映し出しています。

天井からは豪奢なシャンデリアがぶら下がっており、きらきらとした輝きを放っていました。

そして何よりも驚いたのが、吹き抜けになっているエントランスホールに吊り下げられた大量の風船です。

それは色とりどりで、まるで大きなシャボン玉の中に入っているような錯覚を覚えました。

周囲を見回していると、突然、どこからか賑やかな声が聞こえてきました。

そちらに目を向けると、どうやら他のプレイヤーたちのようです。

彼らはすでに打ち始めているようでした。

(なるほど、もうプレーが始まっているんですね)

そう思い、私は彼らの姿を確認しました。

するとそこには驚くべき光景が広がっていたのです。

(これは……!?)

そこにいたのは全員、若い女性ばかり。しかも年齢層はかなり若いように思えます。

どう見ても学生のような子たちも混じっているではありませんか。

しかし、彼女たちが持っているクラブは明らかに上級者向けであり、プロの競技でも使われるようなものでした。

そんな彼女たちがキャッキャウフフ言いながら、楽しそうに遊んでいる姿が私の目に飛び込んできたのです。

その姿はとても可愛らしく、微笑ましく思えました。

思わず頬が緩んでしまいます。

そんな中、一人の少女が私に声を掛けてきました。

「こんにちは! あなたもアマチュアの方ですか?」

彼女は笑顔で話しかけてきます。

私は慌てて姿勢を正すと挨拶を返しました。

(いけない! つい見とれてしまっていました)

内心で反省しつつ、自己紹介を始めます。

「あ、はい。初めまして、私はミリルと言います」

私が名乗ると、少女は目を輝かせながらこう尋ねてきました。

「すごい! あなたはプロゴルファーなんですね!?」

彼女の反応を見る限りだと、私がゴルファーだということは知っているようです。

ですが、どうして私がゴルフをやっていることを知っていたのでしょう?

少し疑問を抱きつつ、会話を続けます。

その後、彼女から色々な話を聞かされました。

そこでガルオスさんが来るのです。

「お待たせ、準備ができたよ」

私は彼女にお礼を言ってその場から離れました。

(ふぅー……危なかったですね)

内心、ホッと胸を撫で下ろします。

もし、あのまま話し続けていたらどうなっていたことかわかりませんからね。

それから数分後、いよいよスタートの時を迎えました。

私はガルオスさんと一緒にまわるのですけど、本当に楽しみです。

「今日は楽しもう!」

そう言ってくれたガルオスさんの言葉に応えられるように頑張りたいと思います!

そして、私たちの組がスタートラインにつきました。

まずはドライバーを手に取ります。

ゆっくりと深呼吸してから、ボールに意識を集中します。

そして、力強く振るうのです。

ボールが飛んでいく軌道を確認してから、次のショットの準備をするのですが、なぜかなかなかうまくいきません。

何度繰り返しても上手くいかないのです。

そんな時、ガルオスさんが声をかけてくれたのです。

「もう少し手首を使ってごらん」

そう言われて初めて気が付きました。

確かに私は手首を固定して打っていたので、ボールに伝えるエネルギーが減ってしまっていたようです。

試しに少しだけ手首を動かしてみると、ボールの軌道が変わりました。

これで真っ直ぐ飛ぶようになるはずです。

そう思って思い切りスイングしました。

そうすると、今までとは違う感触が手に伝わってきたのです。

打球はそのまま真っ直ぐに飛んで行きました。

よし!  手応えを感じましたね!

私は嬉しくなって、そのまま次々とショットを打ち続けました。

最初は緊張していましたけど、だんだんと慣れてきましたよ!

ガルオスさんにも褒められましたしね。

すごく嬉しいです。

そしてついに、目標としていたベストスコアを出すことができたんです。

「やりましたよ!」

私は喜びのあまり、その場で飛び上がってしまいました。

まさかこんなにうまくいくとは思っていませんでしたからね。

ガルオスさんも嬉しそうに拍手してくれます。

私はガルオスさんに感謝の言葉を伝えました。

「そういえば、一つ言い忘れていた事があるんだよ、ミリルに必殺のスイングを授けようと思う」

「え? そんなものがあるんですか?」

驚きつつも、期待が高まります。

いったいどんな技なのでしょうか?

ワクワクしながら待っていると、彼はおもむろに口を開きました。

「その名も《超高速スウィング》だよ」

ガルオスさんが口にした瞬間、周囲の空気が一変したような気がしたのです。

それほどまでに強烈なインパクトがあったのです。

その名前を聞いただけで鳥肌が立ちました。

それだけではない、全身の細胞が活性化するような高揚感を覚えたのです。

この感覚は初めての経験でした。

おそらく、今の私は目をキラキラ輝かせていることでしょう。

そんな私の顔を見ながらガルオスさんは説明を続けます。

その内容は以下の通りです。

1,右足を一歩前に踏み出すと同時に右腕を大きく振り上げる

2,左腕は腰の位置に構える

3,左足を強く踏み込んで体重を前に乗せつつ、同時に右腕を振り下ろす

「これが基本的な動作になります。あとは練習あるのみですよ。頑張ってください、応援していますので」

そう言って、ガルオスさんは去っていきました。

一人残された私はその場に立ち尽くしてしまいます。

頭の中では、先ほど聞いたばかりの言葉が何度も繰り返されていました。

(スウィングの基本は下半身主導の体重移動にある。上半身はリラックスさせて、自然な形で腕を振り下ろすイメージを持つんだ。さあ、やってみようか! )

その言葉に従って、私は動き始めます。

まず、足を肩幅程度に開き、腰を落として重心を低く保ちます。

次に、右脚の膝を曲げて、左脚を後ろに引いていきます。

続いて、腰を回転させながら、右腕を振り上げます。

最後に、その勢いのまま一気に降り抜くのです。

その瞬間、風を切る音が耳に届きました。

まるで自分が一陣の疾風になったかのような錯覚を覚えます。

素晴らしい感触です。

これならいけるかもしれません。

もう一度やってみましょう。

今度はもっと速く振ってみます。

そうすると、さっきよりもさらに鋭い打球が飛び出しました。

これは凄いですね……!

自分でも驚いてしまいました。

その後も何度か試してみましたが、どれも完璧な出来栄えで、我ながら惚れ惚れしてしまいました。

今なら何でもできてしまいそうな気がします。

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