第9話
黒よりも黒い黒の世界で、
現実世界の有り様を伊吹に説明する、煌と管理者。
しかし、伊吹は恐らく、事態の大きさを飲み込めないで終わる、
煌はそう思っていた。
当然の事だと。突然に、
あなたがいた世界は偽物である、等と話しても理解する方が難しい、
煌はそう認識していた。
管理者が、黒い世界一円に映し出す、現実世界の光景。
戦火は既に日本上で発生していた。
関東一面に広がる広大な、特研の施設群。
その中心部には、特研の巨大なコアが存在し、またそのコアは、
歪な形の穴を開けていた。
(皆だ!皆が戦ってる!ようやくコアに侵入出来たんだ!)
そう、思えた煌だが、戦火の大きさを見て、かなり絶望的な状況である事も、
同じく飲み込んだ。
優劣の分からない状況だったが、煌はそれでも、
まだ皆が戦ってくれている、その事実だけで、心持ちに勇みを増した。
あと、もう少しで、皆の戦いも終わるね!
煌は、平和を語る管理者に食ってかかる。
「その傲慢さで!何千万人も殺して!それが平和?ふざけるな!」
だが、管理者は、
煌の心を砕くに十分な、重要な事を述べた。
「これから数百年も、人の過ちで落とされ続ける命の数と比べれば、
賞賛されるべき程だと、【世界保全機構も公認、賞賛】しております。」
え、、
何で。
煌は、今まで戦ってきた相手が、
日本国内の、暴走した一組織である、と、思っていた。
だからこその、先の勇みだった。
【日本国内の】事態の状況を見て、
このまま行けばもうすぐ終わる、
そう思っていた。
世界保全機構。
先進国20カ国以上が加盟する、
【世界の持続可能性を高める事】を目的とした、世界機構。
それらが公認、賞賛した、
【日本の強制人工国民化】。
煌の、煌達の敵は、
日本の一組織などという、生やさしい相手では無かった。
世界そのものだった。
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