第2話「現代のサキュバス事情」(後編)
2人して首を傾げる、傾げてはいるが実は少し期待していた、
(まさか……)
と、サキュ姐は顔を上げると
「先程も申した通り、問題はサキュバスの性経験が不足している事が問題なのです、そこで!貴方達には是非ともこのサキュバス界の発展の為に力を貸して欲しいのです!!」
「……ふ、ふふふ、それは~アレか?ひょっとして……ねぇ?」
「おいおい顔がニヤけてるぞお前、少しは包み隠せよ……ふひひ」
2人はサキュ姐が何を言いたいのか察したようだった、そしてお互い顔を見合わせると頷き合い、そして同時に口を開いた
「「サキュバス界の未来の為、俺たちにうら若きサキュバス達とヤって欲しいって事だな!!」」
「その通りです!」
「「よっしゃああああ!!!」」
二人は立ち上がるとガッツポーズを決めた「静かにしてください!」と店員さんに怒られたので慌てて座り直した
「で、具体的にどうしろってんだ?言っておくが俺ら素人だぞ?」
「見たまんまだと思うけどエロの知識だけ豊富で実戦経験0だぞ?」
悲しくなる事を言う二人にサキュ姐は微笑んで答えた
「大丈夫です、必要な知識は子ども達に教えて、あなた方はただ裸になり横たわり彼女達にされるがまま天井のシミでも数えながら極上の快感に身を委ねていただければいいのです……♡」
「聞きましたか奥様極上の快感ですって!!」
「ええ聞きましたわ!!つーかコレって所謂『処女の床上手』体験できるって事じゃねえのか!?」
「ふふふ、『処女の床上手』どころか、処女を散らした子にはあなた方のお好きなどんなプレイでも……選り取り見取り仕込むことが出来ますよ……♡」
「「YEAAAAAA!!!」」
大盛り上がりする2人に再び店員が「静かにしてくださいつってんでしょ!!」と怒鳴りつけてくる、2人は大人しく席に座り直すと
「苦節〇年……遂にこの灰色の人生が報われる時が来たようだな……」
「ああ長かった……だが俺達はついに成し遂げたんだ……」
感涙しながら天を仰ぐ、その様子を満足そうに見つめるサキュ姐は立ち上がり2人の手を握るとこう言った
「さぁ、未来ある若者達の明るい前途を祝して乾杯しましょう!今夜は私の奢りです♡」
「「乾っぱああああいいいい!!!!」」
最高潮に盛り上がる2人、店員が「いい加減にしろぶっ殺すぞ!!」と怒鳴り込んできたのは言うまでもない
2人は「ごめんなさい殺さないでください」「ごめんなさいコレから天国って時に地獄には行きたくないです」と土下座した。
「あ、で、俺らはどんな娘達を相手にすればええのん?」
「実はブスばかりってオチは嫌だぞ」
軽く最低な事を言う2人だがサキュ姐はそんな質問は想定済みと言わんばかりにニコリと微笑むと
「はい、こちらがその女の子達になります♡」
とアルバムのような物を取り出してきた、そこには1ページ30人程の写真が入っており、どの写真の娘達もとても可愛い
「相棒よ……俺の頬をつねってくれ……」
「そんぐらい自分でやれ、俺も自分でやる……、うん、痛い、現実だわこれ」
「どうですか?お眼鏡に叶う娘はいましたでしょうか?」
「「お眼鏡に叶う所の話じゃないです……」」
もはや涙を流さんばかりに喜ぶ2人にサキュ姐は嬉しそうに微笑みながら言った
「ありがとうございます、私もお二人のような方に出会えて光栄です、それで1人で1回は
「やりますやります30人なんてナンボのもんじゃい!!」
「埼玉の狂犬と呼ばれた(呼ばれていない)この俺の体力を舐めんなよ!!」
「まぁ頼もしい♡まさか1日に30回以上も
ピタ……
熱狂していた二人が突然止まった、サキュ姐は不思議そうに首を傾げながら尋ねた
「どうしました?何か不都合でも……?」
すると赤髪は震えながら指差しながら言った
「あのー……今何と?」
「はいですから、この子達には処女を失うと同時に精液の味も覚えさせたいので、1人1回は射精して頂きませんと……」
「いやそっちじゃなくて『1日30回の射精』の方なんですけど」
「ギネス記録でそういう人はいますけど、普通の人間にそれ不可能なんすよ。せ、せめて1日2回とか3回とか……」
突如反応が鈍くなった2人の変化にキョトンとしながらもサキュ姐は答えた
「いえ、ご心配なく、我々が提供する媚薬を使えばそれくらい余裕ですよ」
サキュ姐はそう言うとピンクの液体が入った瓶をドカンと机に置いた骸骨のマークがデカデカと刻印してある
「因みにコレは…」
「副作用とかは…?」
サキュ姐は満面の笑みを浮かべると
「ご安心ください!ちょっと寿命が20~30年ほど縮んで体の抵抗力が一気に落ちて精神に異常をきたす程度ですよ!」
「「大丈夫な訳あるかあああぁぁぁ!!!??」」
店員さんが無言で包丁を投げてきた、頭に突き刺さったがもはや気にしない
「ええ!?そんなさっきまでノリノリだったじゃないですか!?」
「やかましいわ!寿命が20年以上持っていかれてはいそうですかと言える人間がいるか!?」
「ええ!?たかが20年程度の差異気にするんですか!?」
「モンスター基準で人の寿命の価値を決めるなや!!せ、せめて人数を倍に増やすとかできねえのか!?」
青髪の質問にサキュ姐は困ったように言った
「あ、いえ、1人1回の射精はあくまでも最低限のラインでして、どの道性に目覚めたあの子たちを満足させる為に、本当のところはサキュバス1人に付き男性1人ついて、更に20回は射精して頂きたいので、多少人数を増やしてもこの薬を飲んでいく事には変わりないかと……」
「せ、せめて1日じゃなくて長い期間に分けて貰えませんかね……?」
「あの子達も教育を受けなきゃいけませんから、精々取れる時間がそれぐらいしか無いんですよ、私達ももっとお願いできないかとは言ってるんですが何分出来たばかりのNPO法人ですので……」
申し訳なさそうに頭を下げるサキュ姐、苦虫を嚙み潰したような顔をする2人だったが、揃ってため息をついて頭を下げた
「「お断りします」」
「ええそんなご無体な!?」
「うっせえ帰れ!!こちとらただでさえ最近身体にガタが来てんのに残り少ない寿命を目先の欲望に釣られて減らしてたまるか!!」
「せめてサキュバス1人に15人起用できるようになってから同じお願いしてこいや!!」
「ひっどーい!!希望を持たせておいて突き落とすだなんてあんまりじゃないですか!!」
「うるせー!その言葉そっくりそのまま返すわ!!童貞に夢持たせやがって!!」
「生徒達にはバイブでも持たせてやれや!!まずはオナニーを覚えさせとけ!!」
「うう……こんなひどい人達だったなんて……!分かりましたよ今日は帰ります……でも私諦めませんから!あの子達に性経験を必ず積ませます!その時になって後悔しても知りませんからね!!??」
サキュ姐は10,000円をバンと置き、広げた諸々の資料を乱暴にバッグに詰め込むと泣きながら店を出て行った、
残された赤髪と青髪はと言うと
「……とりあえずどうする相棒?」
「……とりあえず酔いも冷めちまったし飲みなおすか」
「そうだな、お姉ちゃん!コーラお代わり!!」
手を挙げた赤髪に店員さんはただ一言。
「出てけ」
会計を済ませ店を出た二人はそのまま家に帰った。
後日、赤髪の家にDVDが送られてきた、サキュバス向上委員会からだ
再生するとそこには
「ひぃぃぃ……」「もう無理ぃぃぃぃ……」「助けてえぇぇぇ……」「死んじゃうぅぅぅ……」
「ほらほら逃げないでぇ、お兄さんもっと楽しもうよぉ♡あと50回は射精してもらうからね♡」
「あっは♡こんな気持ちい事知らなかったなんて人生損してた♡」
「すっごーい♡この人のお■■■まるで噴水見たい♡」
「私まだイってないよ??♡♡♡♡ほらほら頑張れ頑張れ♡♡♡♡」
……それは、男達がただ只管にサキュバスに蹂躙される映像であった
そしてあのサキュ姐が横からひょこっと出てきてカメラ目線でこちらに語り掛けてきた
「いえーい♡お二方見てる~??♡あなた方が棄権した企画ですけど今こんなに盛り上がってまーす♡♡今更参加したいと言ってももう遅いで~す♡♡でも可哀そうなのでこのDVDを見て1人寂しくシコシコしててくださ~い♡♡♡♡」
ブツッ
映像はまだ続いていたがDVDを取り出すとそのまま資源ゴミの袋にぶち込み、赤髪は窓を開けて上半身を乗り出し、そして少し空を見つめて
「純情で処女でそこまで性にガツガツしねえサキュバスっていねえかな」
と、遠い目をしながら呟いた……。
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