第26話


ホテルに着きふらつくジュイを支えながら移動車から降りる。


ハヤトとトウジの事は一緒に来ていた他のスタッフに任せ、私はジュイを連れて先に部屋へと向かった。


その間も熱が上がってきてるのかジュイの目は虚ろになり身体も熱くなっている。


やばいな…いつも疲れが溜まったら熱が出やすい体質のジュイだけどこのままだと…帰国出来ないかも…


そう思いながらカードキーを差し込み、扉を開けた。


ジュイをベッドまで連れて行くと倒れこむようにしてうめき声と共にジュイは横になった。


*「ジュイ、薬とか買いにコンビニ行ってくるから。すぐ戻るけど何かあったら連絡して?分かった?」


私の問いかけにジュイは空な目で見つめ、歩き出そうとした私の手首をギュッと掴んだ。


*「ジュイ?」


J「すぐ…帰って来てね…」


*「うん…分かったよ。」


そうして私はジュイに布団を肩までかけると足早に部屋を出た。

 

コンビニへ向かう途中、私はハヤトとトウジに会った。


*「ちょっと薬とか買いにコンビニ行ってくるね。風邪だと移ったら困るから2人はジュイの部屋に入っちゃダメだよ?分かった?」


T「うん…分かった。」


H「ねぇさんも気をつけてよ?」


*「うん。ありがとう。」


そして私は走ってコンビニへ向かい、冷却薬や薬、そしてスポーツドリンクと消化に良さそうな食べ物を沢山買い込んでジュイの待つ部屋へと急いで戻った。


そして、カードキーを取り出そうとポケットに手を突っ込むと…


あ…やば…


慌てて部屋を出てしまいカードキーをジュイの部屋の中に置き忘れてしまったということに今、気づいた。


スペアも中に置いたままでせっかくジュイは寝てるだろうが仕方ない。


そう思った私はジュイの部屋のインターホンを押した。


すると、しばらくしてゆっくりと扉が開きジュイが顔を見せた。


*「ごめん…中に鍵を忘れてちゃって…」


J「うん…そうだと思った…」


するとジュイの身体がふらっと大きく揺れ、私を抱きしめるような形で倒れ込んできた…!!


なんとか私はその大きなジュイの身体を受け止めることが出来たが、それと同時に微かに唇に何かがあたったような気がした。


しかし、今はそんな事を言ってる余裕はない。


私はジュイの大きくて重い身体をなんとか抱えて部屋の中へと入りベッドに寝かせた。


*「ジュイ…解熱剤…飲んで…」


少し強引にジュイの口に薬を入れて水を飲ませる。


するとジュイは私を見上げ、その潤んだ瞳がまた、私の心臓を速めさせた。


私は袋から冷却薬を取り出そうと屈むと、すぅっと私の腰をなぞるようにしてジュイの手が私の腰に巻きついてきた。


私はその手を咄嗟に拒もうとしたものの、そのままジュイに後ろから抱きしめられるようにしてベッドへと倒れ込んだ。


*「ちょっとジュイ!?」


J「…ミラどうしよう…やっぱり我慢できねぇ…苦しい熱い…」

 

*「薬飲んだらよくなるから…」


J「そうじゃなくて…ダメだって分かってんのに…めちゃくちゃミラがほしい…マジで俺どうしちゃったんだろ…怖い…」


会議室のあの時と全く同じように興奮気味のジュイはぎゅっと私を抱きしめて私の背中に顔をうずめる。


ダメ…もうあの時のように流されちゃダメ…


そう自分に言い聞かせながら私はジュイの腕を振り解こうとジュイの腕の中でもがく。


*「…体調悪いからそのせいだよ…今日はもう寝なさい…。」


J「やだよ…1人にしないで。俺…ミラのことあんな風に無茶苦茶に抱いて…ずっと後悔してた…こんなに大切なのに…好きで好きでたまらないのに…ミラのこと傷つけてしまいそうな自分が怖いよ…俺…」


ジュイは涙声でそう言うので、胸を締め付けられてしまう私はそれ以上、無理矢理ジュイの腕を引き剥がすことが出来なかった。


*「ジュイ…」


ドクドクドクと自分の心臓が早く動き出しこれ以上、ジュイの温もりを感じてしまったら、私の方が理性を飛ばしてしまう。


そう思った私はジュイの手をポンポンと優しく叩き、手を離すように仕向けるがジュイは力を緩めようとせず私に身体をすり寄せる。


*「ジュイ…お願い…離し…」


私がそう言いかけると、ジュイは私の顎に後ろから手を伸ばし振り返らせるようにして後ろから私の唇にキスをした。


そのキスはとても優しくて温かくて…


私の奥に潜んでいたジュイへの愛おしい気持ちが溢れてしまい…


私の方が我慢ができなかった。


ゆっくりと瞳を閉じ、無意識にジュイの首に手を回せば、私のTシャツの中にスルリとジュイの手が入る。


ダメ…ダメなんだよ…。


頭ではそう分かっているのに私の身体が言うことを聞かない。


そして、私たちはお互いを強く求め合い…


本能のまま激しく夢中で朝まで身体を重ねた。



つづく

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