第15話
トウジはファンの間では顔が美し過ぎて何を考えてるか分からないとよく言われているが、私からしてみればグループ内でジュイと1、2を争うほど勘が鋭く周りの事をよく見ていると思う。
私はまるでトウジに全てを見透かされてしまっているような気がして、急に後ろめたさが襲い掛かった。
*「………別に…ないよ。」
そう私は嘘をついたのに頭の中では忙しなく昨日、ジュイに抱かれたことや今日、またジュイにキスをされそうになった事が再生されて自分でももうどうするべきなのかよく分からない。
T「ねぇさんは嘘つきだね?悪い子。」
そう言ってトウジは私のおデコを人差し指で突いた。
やはり、トウジには全て見透かされていた。
私がトウジへの返事に困っていると、また母が沢山のおかずを持ってテーブルに沢山置いていく。
*「お母さんもう、これで充分だよ…」
母「はいは〜い。じゃ、トウジくんゆっくりして行ってね?」
母は嬉しそうにトウジに手を振りながら出て行き…それを確認してから私は話し出した。
*「私、嘘なんてついてないよ?」
T「そう?じゃ、なんか隠してるんじゃない?」
*「隠してるわけじゃないけど………」
T「なに?」
*「女もさ…性欲とかたまるのかな?よくさ?女は30代になってからの方が性欲が高まるとか言うじゃん!?あれって…本当なのかな…?」
T「はぁ?急になんだそれ…しょうもな。」
*「実はさ…今日ねジュイの作業部屋で…キスしよって私が言ったのね…」
T「はぁ!?もう〜なんでそう勝手な事するんだよ〜」
*「…わからない…なんでそんなのこと言ったのか…自分でも分からない…」
T「で?ジュイはなんて?」
*「…あんなバカ知らない…」
T「なんだそれ。」
*「でもね…私の中にいる天使と悪魔がね…」
T「はぁ?天使と悪魔?もう、頭大丈夫?」
*「天使と悪魔…どっちを選択してもキスするような結論を出してくるの…。その間もジュイは近づいてくるのに…拒めなくて…むしろ、目をつぶって待ってた…ジュイのこと…やっぱ私って欲求不満なのかな!?ねぇ!!トウジどう思う!?」
私の真剣な話が全くトウジには届いていないのか、トウジはため息をつきながら刺身を食べていた。
*「ねぇ!!ちょっと!?聞いてるの!?」
T「はぁ〜…もうここまで拗らせてるとは思ってなかったわ…ジュイにキスされそうになって…ドキドキしたのかよ?」
*「うん…した…ドキドキした…私…やっぱ欲求不満だよね!?」
T「じゃ、逆に聞きますけど?ハヤトくんとキスしちゃった時…ドキドキした?」
*「そんなの…一瞬だったから…なんとも思わなかった。あ、当たっちゃった…ぐらい?」
T「分かった。じゃ、今から1ミリも動くなよ?」
*「はぁ?」
すると、トウジはテーブルから身を乗り出して私の顔の目の前ギリギリで止まった。
T「ねぇさん…俺にドキドキ…する?」
*「何なのこれ?」
私がそう答えるとトウジは私から離れため息を落としながら言った。
T「それが答えだって言ってんの!!俺やハヤトくんが近づいても何とも思わないのにジュイが近づいたらドキドキするんだろ?」
*「…そうだけど…」
T「はっきり言うと…好きなんだよ!!ジュイのこと!男として好きなの!」
*「えぇ!?私、ジュイのこと男として好きなの!?」
T「救いようがないなこれ。まぁ、気づけて良かったじゃん?」
*「それがさ…私…実は…ジュイと…一線を超えたの……だから好きになっちゃったのかな…?」
私がそう言うとトウジは口に含みかけていたコーラ吹き出した。
T「ゴホッゴホッ…なんだって!?一線を超えた!?」
*「うん…マネージャーとして最低だよね……」
T「……ま…まぁ、正直俺たちはまだまだこれからだからさ?…付き合うなら付き合うで…しっかり避妊だけはしなよ?」
*「えぇ!?避妊!?ってかなんでそんな話になるのよ!?」
T「好き同士ならそうなるのは当然だし、もうヤッたんだろ!?ならちゃんと避妊しなきゃ……まぁ、でもそうなると先にユウさんとイチさんを魔法から醒めさせないとダメだな…」
そう言ってトウジはだらしのない私に呆れたのか、視線を逸らし俯きながら小さくため息を落とした。
つづく
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