第14話
スマホの音で我に返った私は目を開けジュイを咄嗟に突き飛ばしてしまった。
ジュイはそんな私を見て少し悲しそうな目で私から目を逸す…
スマホのディスプレイをみるとセイジ先輩からだった。
*「もしもし…」
セ「ミラ?今どこ?デスクにいないから…」
*「ごめんなさい。すぐ戻ります。」
私はそう小さな声で伝えると電話を静かに切った。
*「ジュイ…ごめん…痛かったよね?」
咄嗟に突き飛ばしてしまったジュイの肩あたりを触ろうと私が手を伸ばすと、ジュイにその手を振り払われた。
J「早く行きなよ…」
*「ごめん…」
グサ…そんな音が自分の胸の中で響いた。
昔味わったあの時の苦い思い出が蘇り私は涙が出そうになるのをグッと堪えた。
そして、私はジュイを置いて仕方なく自分のデスクへと戻った。
事務作業がなんとか仕事が終わり、自分のデスクでぼんやりとジュイとの事を考えていると、珍しくトウジがマネージャー室の部屋を覗いていた。
T「ねぇさん〜!もう、仕事終わりだろ?」
*「うん…そうだけど…」
T「飯でも行くか!」
そう言って中に入ってきたトウジは私の返事も聞く前に私のバックを持ち強引に立ち上がらせた。
トウジと2人でご飯とか何年振りだろ?と考えながら立ち上がり私たちが向かった先は…
*「ねぇ…なんでうちの実家?」
T「だってここが1番安心じゃん?二階だと貸切だし。」
そう、私の母親が韓国人と日本人のハーフいう事もありウチの実家は韓国料理店を営んでいる。
メンバーは元々、韓国料理が大好きでウチのお店をよく利用してくれていたがまさか、トウジとの久しぶりの食事が我が家だとは思っても見なかった。
忙しさのあまり久しぶりに訪れた実家を眺めているとトウジの声が響いた。
T「あ…危ないっ!!」
トウジの横にいた私の後ろから猛スピードのバイクが通り、バイクとぶつかりそうになった私をトウジが手を引いて助けてくれた。
その弾みでトウジの腕の中にすっぽりと抱
き締められるようにして閉じ込められた私は、ハッとして慌ててトウジのその腕の中から離れた。
T「せっかく助けてあげたのにそんな慌てて逃げなくても…なんか傷つくし。」
*「誰が見てるか分からないからね。」
T「なんだよ〜俺にときめいてドキドキして離れたとかじゃねぇのかよ〜つまんない。」
*「まさか〜んなわけでしょ。子供のくせに。」
私が笑ってそう言うとトウジはわざとらしく口を尖らせ拗ねたフリをしながらウチの店へと入って行く。
T「こんにちは〜!!」
*「ただいま〜二階使うよ?」
母「あら!?珍し〜2人なの?ゆっくりしていきな〜ご飯適当に持っていくね?」
*「ん〜。」
トウジは嬉しそうに出迎えてくれた父と母に軽く頭を下げ挨拶をしてかは二階へと上がって行く。
すると、私たちが部屋に入り座ってすぐに母はトウジの好きなコーラと適当なおかずを持ってウキウキした顔で二階へと上がってきた。
トウジは母にありがとうございますとお礼を言いながら、お腹を空かせていたのか大きな口を開けてご飯をモグモグと食べていて、母もそれを嬉しそうに見つめるとまた1階へと下りていった。
*「なんか話があるから今日…誘ったんじゃないの?」
私が母の姿が見えなりそう問いかけるとトウジは箸をおいてピタッと動きを止めた。
T「ねぇさんが俺に言わないといけないこと…あるんじゃないの?」
トウジはそう言って私の疑問に疑問で返しジーっと瞳の奥を見つめてきた。
つづく
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