第13話
J「だから言いましたよね?俺とミラは…付き合ってるからって…こういうのやめてください。」
ジュイは私を抱きしめたままそう言った。
Y「もし、仮にお前とミラが付き合ってたとしても俺には関係ねぇ。ミラの気持ちを俺のものにすれば良いだけの話だからな?」
そう言って睨み合う2人…
いや…ほんと魔法の角砂糖の効果ヤバすぎ…
申し訳ないぐらいにユウは私にべた惚れだし、効き目がありすぎて私は恐怖心すら覚え始めていた。
早くこの状況をどうにかしないと…
そう考えた私はやはり、ハヤトが私とのキスで魔法から醒めたようにユウもキスをすれば醒めるのではないかと思い、トウジの忠告を無視して意を決してユウに言った。
*「ねぇ、ユウ?キス…しよ?」
私の言葉にユウは少し驚いていたが、ゆっくり私の顔を覗き込み私の唇をじっと見つめている。
J「はぁ!?ミラなに言ってんの!?」
私のそばにいるジュイが私の肩を持ってそう怒鳴るがもう…あのBARがなくなってしまった以上、試せる方法はこれしかない無いのだ。
*「だって…もう方法がないんだよ…戻る可能性があるなら…試した方がいい。だから離して。」
私が力で止めようとするジュイの手を振り払おうとするがその力には敵わない。
Y「方法がない?戻るってなんの話だよ…」
ユウが少し冷たい目で私とジュイを不思議そうに見る。
J「なんでもないですよ。とりあえずキスなんて絶対許さないから…!!」
ジュイはそう叫ぶとひょいと私を肩に担ぎ、ユウを置いて猛ダッシュした。
うわぁ…気持ち悪い…吐きそう…
こんな毎日を送っていたら私…
このままだとお嫁に行く前に命尽きてしまうんじゃないの?
なんて、私はぼんやりと考えていた。
そして、揺れがおさまりジュイの肩からおろされた私はゲンナリとしながら息を整える。
*「吐きそう。」
J「ここで吐いたらまた、襲うぞ。」
*「はぁ!?」
周りを見渡すとそこはジュイの作業部屋だった。
仕事も忙しいというのに今度はジュイに監禁されすぐに部屋から出れそうな雰囲気はない。
とりあえず、今にもマーライオンになりそうな私はソファに腰掛け深呼吸をした。
そして、ジュイもいつものデスク用のイスに腰掛けて私の前に座る。
*「なに?誰とでもキスするような私のこと嫌いなんじゃないの?それともジュイも私とキスしたくなった?また、あぁやって強引に私を抱くの?」
自分でもなんでこんな事言ってるんだろうって思う。
自分だって拒まず受け入れたくせになんでジュイだけを責めて、無意味に自分自身だけが傷ついてるみたいな顔をしているだろって。
だけど最近、私の心と身体が言うことを聞かず何か考える前にそう言葉として出てしまう。
J「ミラさ…その事は…」
*「後悔…してるんでしょ…分かってるから…」
J「ミラ、その話は今度ちゃんとゆっくり話そう?な?さっきも言ったけど俺はキスじゃ醒めなかっただろ?だからヤケになってそんな行動るなって…頼むから…」
数年前までは本当にクリクリしてて可愛い弟のような存在だったジュイは、いつの間にか男の目をして私を見つめてくる。
昨日のことがあってあんなに私を避けてたくせに、私がユウにちょっかいを出されそうになると必死になって助けてくれたジュイが本当は少し嬉しかった。
なのに私はそんな事なんとも思っていないかのようにジュイに言った。
*「べつにヤケになんてなってないし。」
私がそういうと心配そうな顔をしていたジュイの顔つきが変わった。
J「ふ〜ん。あっそ。まぁ、ミラがユウくんとキスしたいなら好きにしていいよ?でも、1つだけ言っておく…俺は昨日、ミラにキスしても醒めなかった…それどころか……ヤリ…!!と…とりあえず俺がトウジくんに言った後悔してるとミラが思ってる後悔は意味が違うから!?それだけは覚えとけよ。俺の前で他の男とイチャイチャすんじゃねぇ。」
ジュイは最後の言葉を吐き捨てるようにそう言うと、ため息を落とし私に冷たい視線を向ける。
言いたくはないが私にだって言い分は山ほどある!
自分だって私を沢山いるウチ女の1人にしておいて私が他の男とイチャイチャするのがイヤなのは不平等ではないか!?
そんなプライベートな所までジュイに管理される義理なんて私にはない!
そう思った私は鼻息荒くジュイに言い返した。
*「そっちだってき…昨日!ヤる事やって発散してきたんでしょ!?誰とそんな事したのか知らないけどさ!?自分だって相手は誰でも良いわけ!?」
J「はぁ?なんの話?」
*「トウジが昨日電話で言ってたわよ!?私はみんなのこと子供扱いしすぎって…ジュイだってやる事やってるって…私そんなの全然知らなかった!!」
J「…ミラ…?もしかして…妬いてる?」
妬いてる!?私が!?バカじゃない!?
妬いてるわけ…妬いてる……わけ…
妬いてるの…?私が!?
*「…分かんない…だけど!!まだ…チェリーボーイだと思ってたから……。」
J「チェリーか…ってか俺たちヤッたのにチェリーはないだろ。 …で……?どうするの?ほんとに…俺と…キス…するの?」
そう言ってジュイの顔が少しずつ近づいてくる…
そして、心の中では私の天使と悪魔が戦っていた。
天使「ジュイの魔法から醒めさせる為だよ〜キスじゃないんだよ〜これは治療だよ〜早く魔法から醒めない方が危ないんだから早くキスしなきゃ〜」
悪魔「ジュイの為とか言いながら本当は昨日のあの甘いキスが忘れられないだけなんじゃないの〜まぁ〜減るもんじゃないんだし早くキスしちゃえばいいじゃん〜」
え…ちょっと待って私の中の天使と悪魔。
それじゃ、どっちに転んでもキスをするという選択になってしまうではないか…?
私は一体、どうしてしまったんだ!?
あんなに可愛い可愛いと弟のように思ってきたジュイとキスしたいだなんて…
迫り来るジュイの顔を見つめながら私の頭はパニックなるのに、心のどこかでジュイを求めてしまう自分もいる。
そして、あと数センチという所でジュイの動きがピタッと止まった。
J「逃げないと…本当にキス…しちゃうよ?もしかしたら…それ以上のことも…またしちゃうかも……」
ジュイの吐息が私の唇にあたり…
ジュイの温もりを感じる…
なんでだろ…確か昨日もそうだった。
ユウやハヤト、イチに手を握られたり身体に触れられると不安になり不快感を感じるのに、ジュイに触れられてキスされようとしても全然嫌じゃない…
むしろこんなに胸がドキドキとしこの大きな胸に抱きしめられたい…そう望んでしまう。
そして、私はダメだと思いながらも静かに目を閉じた。
するとジュイがゆっくりと私の後頭部に優しく手を添え…私を引き寄せた瞬間…
私のスマホが激しく鳴り響いた。
つづく
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