第16話
次の日
事務所に着きデスクに座ると珍しくヘアメイクのリノンちゃんが私の元へやてきた。
リノンちゃんはウチの事務所でモデルでもいけるんじゃないかと思うほど可愛くてスタイルもいい。
だから、彼女がヘアメイクとして入社してきた時は本当に驚いたし、男性社員たちはリノンちゃんにチヤホヤして色気の全くない私はリノンちゃんとよく比べられて揶揄われたりもした。
まぁ正直、すでにその時には女を捨て気味だった私からしてみれば、自分よりも若いリノンちゃんと比べられた所で痛くも痒くもなく、私は男性社員たちの悪ふざけのような揶揄いの言葉をを軽く受け流していた。
*「リノンちゃんおはよう〜最近、新人アイドル達のヘアメイクはどう?順調?」
R「はい!おかげさまでとても順調ですよ♪そういえば、昨日たまたま見かけたんですけどトウジさんとよく2人で出掛けたりするんですか?」
*「え?あぁ〜たまにね?ウチの実家が韓国料理屋でさ?そこに一緒に行ったりすることもあるかな?なんで?」
R「いや、すごく仲良しに見えたんで…」
そう言ったリノンちゃんは長くて綺麗な茶髪の巻き髪を耳に掛けて私に微笑む。
その姿は同じ女の私から見ても可愛らくしてついつい見惚れてしまう。
*「まぁ、あの子達がデビューした頃から知ってるからね?」
R「ミラさんって恋人…作らないんですか?」
今までそこまで親しく話をした事がないはずのリノンちゃんなのになぜか突然、そう問いかけられ私は少し不思議に思った。
*「なかなか縁がなくてね〜?私モテないからさ?リノンちゃんは?彼氏いるの?」
R「いや…いません…好きな人はいますけど…」
*「へぇ〜彼氏いないなんて意外…うまくいくといいね?」
R「はい…ありがとうございます。」
そう言ってリノンちゃんはどこかに消えて行ったが一体、リノンちゃんは私になんの用があって私の元にきたのだろう?
そう不思議に思いながらも溜まった仕事を整理するため私はまた、パソコンに向かいスケジュールを確認していく。
すると、マネージャー室に懐かしい声が聞こえてきた。
「ねぇさん〜!!ただいま〜!!」
*「ソラ!?おかえり〜!!会いたかった〜!!」
そこにいたのは私の可愛い後輩であり親友のソラだった。
2年前までブルレの専属ヘアメイクとして働いていたがスキルアップの為に2年前に海外へ留学した。
そして、今日わたし達の仲間としてまた、この会社に帰ってきてくれた。
SR「私も会いたかったです〜!!また、よろしくお願いしますね?」
*「こちらこそ!ソラが2年間留学行ってる間にあの子達すごい活躍だったんだよ?」
SR「もちろん知ってますよ!!メンバーはどこにいるんですか?また、専属のヘアメイクでお世話になるから挨拶しようと思って…ヘアメイクの仲間にはさっき挨拶してきたんですけど…?」
*「あ、今ね?あの子達しか入れない休憩室が出来たのよ!そこにいるんじゃないのかな?」
SR「じゃ、私たちは入れないんですかね?」
*「私は普通に入ってるけど…まぁ、細かい事は気にしないの〜!!行こう?」
私とソラは話に花を咲かせながら一緒に彼らの元へと向かった。
トントン
扉をノックをして入るとそこにはトウジとマサト、そしてイチがコーヒーを飲みリラックスして話をしていた。
*「あれ?他のみんなは?」
M「みんな作業室にこもってるよ〜ねぇさんどうしたの?」
*「じゃ、先に紹介しておくか!入って〜」
私の言葉と同時に廊下で待機していたソラが笑顔で恥ずかしそうに入ってくる。
M「うわぁ〜ソラ久しぶり〜!!」
i「元気だった?」
SR「マサトくんとイチさんお久しぶりです!めちゃくちゃ元気だったよ?トウジも…久しぶりだね?」
ソラはマサトとイチに明るい笑顔を見せてそういうとふと、少し切ない顔をしてトウジに視線を向けて声を詰まらせながら話しかけた。
T「あぁ…うん…久しぶり…」
SR「また、みんなのヘアメイクとして働く事になったのでよろしくお願いします。」
ソラはそう言うとお辞儀をしみんなも拍手をした。
i「まじ!?よろしくね?ねぇさんも良かったね?親友が戻ってきて!」
*「この日をどれだけ待ち望んでいたことか…ソラ!!今日は寝かさないよ!?」
M「まるでカップルだな?なぁ?トウジ?」
T「え…あ…うん…。」
トウジの顔色をみると益々、暗くなっていく。
私は久しぶりにトウジのそんな顔を見て思わず胸の奥が切なくなった。
つづく
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