第11話
もう1人の角砂糖入りカフェオレを飲んだ疑惑の人であるジュイは…
昨日のことが気まずいのか私と一切、目を合わせることはない。
しかし、これは仕事と切り替えた私が淡々と話を続けていると、ジュイは貧乏ゆすりをして話に集中せず、ずっとイライラしている。
そんなジュイをみて思うことは…
私と関係を持った後に一体、どこのどいつと発散したのかってこと…
もしかして…相手もアイドルか?
いや、モデルか?まさか…新人女優?
ジュイの知名度だけが目的で近寄ってきたオナゴならこの私が絶対に許さんからな。
どこぞの馬の骨かも分からん女にこんなにも可愛い可愛いジュイを…渡すわけにはいかん!!
ボッコボコにしてやる。
となぜか私までイライラしてきてジュイの横にいる目に見えない誰かに怒りがこみ上げてくる。
T「ねぇさん〜?ねぇさんってば!俺の話…聞いてた?」
私はトウジの呼びかけにより我にかえる。
*「あ…ごめん。ちょっとぼーっとしてた。じゃ、とりあえずそういう事なので来週からよろしくお願いします。」
私がそう言って立ち上がろうとするとハヤトが私の手を引っ張る。
H「ミラもうちょっと話そうよ。ミラの可愛い顔…もっと見てたいな…」
そう言ってハヤトはあの可愛い瞳で私をジッと見つめて私の頬を包み込む。
*「ダメだよ…他にも仕事…あるからね?」
ハヤトの綺麗な手をポンポンと叩き立ち上がろうとしたその時…
耳鳴りがキーンとなり、目の前が真っ暗になって頭がグランっと揺れ、気が遠くなった私は思わずそのままハヤトの胸に倒れこんだ。
その一瞬
微かに唇に温かくて柔らかなモノが触れたような…気がした…。
T「ねぇさん!?大丈夫!?」
トウジの声でゆっくりと目を開けると、そこにはやっぱりハヤトの顔があって…
あぁ…私…倒れた拍子にハヤトとキスしちゃったんだな…って意外にも冷静に頭の中で考えていた。
J「ミラ!!トウジくん、ミラをあのソファに寝かせるから!!」
そう言って散々、私のことを無視してたジュイは私をお姫様抱っこで軽々と抱き上げてゆっくりとソファに寝かし、自分のジャケットを私の足元にかけた。
*「ごめん…ハヤトもごめんね…」
すると、ハヤトが私に近づいてきて私の目線にまでしゃがみ込む。
H「ねぇさん…大丈夫?もう、歳も歳なんだからさ?あんま無理しちゃダメだよ?貧血なんじゃない?」
*「うん…ありが…え?ちょっと待って!」
ん?なんか…ハヤトの声のトーンが昨日と違う…そう思った私は慌てて飛び起きた。
T「おいおい、そんな飛び起きて大丈夫かよ…」
トウジはそんな私を見て心配そうに背中を支えてくれた。
*「ねぇ!?今、ハヤトさ…私のこと…どう思う?」
H「はぁ?ねぇさんはねぇさんだろ?何言ってんの?もしかしてボケ始めた?」
そう言ってハヤトはあのクルクルんとした可愛いお目目ではなく冷たい目で私を見た。
もしかして…これって…これって…
*「ハヤト!!私のこと…好き?」
私の問いかけに分かりやすくウザそうな顔をするハヤトの顔に私の期待が膨らむ。
H「はぁ?なにそれ?まぁ、好きだよ?世話になってるし感謝してるし?」
え…それって…それって!!
*「ねぇ、私のこと女として好きとか愛してるとかみじゃないとヤダ〜とか思わない!?」
H「何だそれ〜そんな気持ち悪いこと思うわけないだろ〜!?ねぇさん勘弁してよ〜ねぇさんを女として見たことないからやめて。」
*「は…ハヤトが目覚めた〜良かった〜良かったよ〜!!」
安心のあまり涙を流して喜んでいると、それはそれはとても白い目でハヤトに見られた。
H「なに泣いてんの?目覚めたって俺ずっと起きてるし。もう作業あるから部屋に戻るよ?ねぇさんもちゃんと休みなよ〜じゃね?」
そう言ってハヤトは手をヒラヒラとさせて消えて行った。
*「トウジ!ハヤトが魔法から醒めたよ!!」
T「み…みたいだね…でもなにがきっかけで醒めたんだろ?」
*「たぶん…たぶんなんだけど…キスだわ…」
T「キス!?」
J「はぁ!?いつハヤトくんとキスしたんだよ!?」
*「声が大きい…違うのよ…さっき私が倒れ込んだ時にたぶん、微かにハヤトの唇に私の唇が当たったのよ!!たぶんだけど…それでハヤトの目が醒めた。」
J「はぁ!?ミラは誰とでもキスすんのかよ!!最低だな!」
*「だから、それは…!!」
J「もう、いい!!」
私がハヤトとキスをしたと知ったジュイはそう言って激怒し、私の言い訳を聞く前に自分の作業室へと消えていった。
つづく
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