第10話

私はトウジの問いかけで我にかえる。


T「ねぇ?ねぇさんさ?はっきり言うけど俺たちのこといつまでも子供扱いしすぎだから。みんなやる事やってるよ?男なんだし。だからそのいつまでも可愛い弟って思うの…もうやめにしたら?」


*「そ…そっか…そうだよね…わかってるよ…分かってるんだけど……。」


T「今のねぇさんの気持ちとさっきのジュイ…同じなんじゃない?」


*「え?」


私はトウジから出た意外な言葉に思わず聞き直した。


T「自分が1番近くでその人の事、分かってるつもりでいたけどその人の知らない部分があって寂しかったんだよ。ねぇさんも今、俺やジュイの知らない部分を知って寂しかっただろ?」


*「うん…。」


T「それと同じでジュイがねぇさんの過去の知らない恋愛の話を聞いて少し寂しかったんだよ。」


果たして本当にそうだろうか?


トウジはジュイも後悔してるって言っていたけど、それはきっと私と関係を持ってしまったから後悔してるという意味で…


ジュイが私に言った「ごめん」はそう言う事だと私は思っている。


だから、私の知らない部分がジュイに見えたからといってあんな事になってしまうのは不自然すぎて、私は納得出来ずにいたものの私はその感情を飲み込んだ。


*「そうかな…確かにまぁジュイも子供じゃないしそういう事して当然だもんね…そろそろ弟離れしなきゃだね。」


T「もう、俺たちは大人だよ…ねぇさんが思っている以上にね?」


*「うん…。」


T「まぁ、メンバー達たちもさ?一晩寝れば性欲も治るだろうし…ジュイも今、他で発散しに行ってるから!!安心して明日、仕事来なよ?」


*「え…ちょっと待って…じかが発散しに行ってるって…どういうこと?」


T「まぁ、ジュイは他のメンバーたちと違って若いからね?なんせ俺たち今が1番、お盛んな年頃だしさ?ねぇさん…気になる?」


*「いやそりゃ、マネジャーとして気にしただけよ…」


T「マネージャーとしてかよ。まぁ、俺の口からこれ以上は言えない!気になるなら本人に聞いて〜じゃ!」


そう言ってトウジからの着信は切れしばらく私は呆然とした…。


いつまでも子供だと思っていた…


特に末っ子組のトウジ、マサト、ジュイに関しては…


それなのにあの可愛い可愛い末っ子組が色々と経験済みでオマケにやりまくってるとか…泣いちゃう。


まぁ、ひと言も話に出ていないマサトは完全に巻き込み事故だが…


トウジとジュイが色々やっててあの色気ムンムンのマサトがやってなわけがない。


そんな事を考えながら私は頭の中を整理するように家の掃除やら洗濯やらをこなした。


時計をみると夜の9時を指している。


そろそろあのBARも開く頃だろう。


一線を超えてしまったジュイとの関係はもう、元に戻せないがせめてユウとハヤト、そしてイチは早く惚れ薬の魔法から目覚めさせないと、本当に大変なことになってしまう。


そう思った私はあのBARへと急いだ…



すると…あれ…?


ななななない!?


昨日まであったはずのあのBARがなくなっていた。


看板はもちろん…建物の中は暗闇で小さく扉にテナント募集と貼られてあった。


え!?どういこと!?


昨日で閉店したの!?


ってことは…あれ…マジで危ない薬が入ってんじゃないの!?


そう思い出すと怖くて体が震えだす。


なんて大変な事をしてしまったんだ。


しかも、誤って大切な彼らにあんな薬を飲ませるだなんて…


すると、たまたま隣のお店の人が出てきたので私は尋ねた。


*「あの…ここにあったHeavenって言うBARって閉店したんですか?」


「Heaven?そんなBARありましたっけ?」


そう言って愛想ない顔してタバコをふかしている。


*「あ…勘違いですかね…すいません…。」


私は足早にその場から立ち去り震えながら家へと帰った。


次の日


憂鬱な思いだが仕事を休むわけにもいかない。


重い体を起こして事務所に向かい朝からマネジャーミーティングをした。


「これからメンバーを3人2人2人のグループに分けて新曲のプロモーションするから。まず、ミラはジュイとハヤト、あとトウジの3人と一緒に来週から韓国でのプロモーションに付いてね?」


うわぁ…ジュイとハヤトが一緒とか…


もうすでに悪夢の始まりなんですけど。


恐怖すぎて黒目どっか飛んで行っちゃいそうだわ(白目)


内心そんな事を思いながら真面目に…大切な事なので2回言います。


とてもとても真面目に会議の話を聞いてました。


*「はい。わかりました。」


私の母親が韓国人と日本人のハーフということもあり、韓国でのプロモーション活動の時はいつも私がメインで現場マネジャーを任されることが多い。


そして私は会議室にジュイとハヤト、トウジを集めて韓国でのプロモーション活動の打ち合わせをした。


私がパラパラと資料をめくりながら3人と話すが、ハヤトからのものすごい熱い視線を感じ正直、打ち合わせどころではない。


*「向こうでは音楽雑誌のインタビューとバラエティー番組のゲストを2本出ることが決まってるから、韓国語の勉強頑張ってね?分からない表現とか発音があれば私に聞いて。」


H「ミラと一緒に韓国に行くの嬉しいな〜。」


*「もう、何度も行ってるでしょ?」


H「ミラと同じホテルに泊まるの楽しみだな〜。」


ハヤトはさっきからずっとこの調子で…


トウジが言ったみたいに一晩寝れば治るって私も思ってたけど…


全然治ってなかった。



つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る