第5話

ジュイにお姫様抱っこをされたままの私は頭の中でふと思い当たることを見つけてしまった。


も…もしかして…


*「ちょ…ちょっと!!ジュイ!下ろして!!」


私が足をバタバタと動かすとジュイがゆっくりと私を床に下ろし、私は恐る恐るテーブルの上を探して見ると…


なんとそこには昨日、BARでもらった角砂糖の桃の花の模様の紙が落ちていた。


*「ねぇ!!もしかしてみんなが入れた砂糖ってこれ!?」


私がその包み紙を見せて問いかけると素直にうなづく4人組。


そりゃそう。


カフェオレを飲む状況でそこに角砂糖があればカフェオレに入れて当然。


だけど…だけども…!!


これは普通の角砂糖じゃなく惚れ薬の入った私の大切な大切な角砂糖なんだよ!!


*「ちょっと…ここに4人並んで。」


真顔でそう言った私の言う通りすぐに1列に並ぶ素直な4人。



ハヤト、ユウ、イチ、ジュイ。


そして、私は前に立ち覚悟を決めて一人一人に問いかけていく。


*「ねぇ…ハヤト?私のこと…どう思う?」


私の顔を見て分かりやすく頬を赤らめるハヤト。


やめてお願い…言わないでそう願いながら問いかけると…


H「ミラが好きだよ…?ミラは俺のこと…嫌い?」


クルンっとした目でそう私に告白し私をじっと愛おしそに見つめるハヤト。


確定。間違いなくこれは飲んだな。


私はハヤトの問いかけに答えず、小さなため息を落とし隣のユウの前に立った。



*「ユウは私のことどう思う?」


Y「は?んなことわざわざ言葉にしねぇと分かんねぇのかよ?好きに決まってんだろ…。」


ほぉ…あのツンデレユウに素直に好きと言わせる魔法の角砂糖…恐るべしと私は角砂糖の効力に感心する。


そして、また私はユウの言葉には返事をせずイチの前に立つ。


*「イチは?私のことどう思う?」


i「好きだよ?ねぇさんの事がずっと好きだった…」


全世界からイケメンだと言われるイチにこんな事言われるなんてまるで夢のようだわ〜っていって言ってる場合か!!と思いながら私はなんとか理性を保つ。


にしてもこの角砂糖は昔から好きだっと錯覚させる効果まであるのだろうか?ママはあの時そんな事ひとつも言わなかったのに…


私はそんなことを不思議に思いながらもジュイの前に立ち、ジュイに問いかけようと息を吸い込むと…


J「ねぇ?なんなのこれ?」


*「え?ジュイは私のこと…す…」


J「なに言ってんの!?頭おかしくなっちゃった!?」


まともな奴がいた〜!!!!奇跡〜!!!


私は話の通じる人間が1人でもいたという喜びから思わずジュイの腕を掴んだ。


*「ジュイ!!良かった〜ちょっと私と一緒にこっちに来て!!」


私がジュイの腕を引っ張って休憩室から出て行こうとすると、すかさずユウがそれを邪魔をする。


Y「はぁ?バカか?ジュイとはいえ男と2人で行かせるわけねぇだろ?」


そう言ってユウが私の腕をグッと引っ張り自分の腕の中に私を閉じ込めようとする。


さすがにユウの胸板をグイグイと押してみるが男の力に敵うわけなどない。


えぇ〜どうしよう〜


ユウめっちゃ束縛男じゃ〜ん〜


面倒くさいんですけどぉ〜


でもちょっとだけ嬉しいんですけどぉ〜


なんて呑気に思いながら少しこの状況を楽しみ始めた私はこのあとすぐに地獄を見ることになる。


*「ユウ…痛いよ…」


ギュッと抱え込むようにしてユウに抱きしめられていた私が息苦しさからそういうと、後ろからイチがそっと手を伸ばしてユウの手を掴んだ。


i「ねぇさんが痛がってるから…ユウ…離そう?」


ユウはイチの言葉に納得いかない顔をしながらも私を解放した。


*「ごめんね…すぐに戻るから…ジュイこっち!!」


私はまた、ジュイの腕を掴み小走りで休憩室を出ると普段、使われていない会議室へと慌てて入った。



J「なんなのいきなり?なんかみんなの様子もおかしいし…ミラの事いきなり好きとかなんだよあれ!?」


なぜかジュイは珍しくイライラと不機嫌な顔をし、柄にもなく今にも休憩室にいるメンバーに殴りかかってしまいそうな勢いだ。


私はそんなジュイをなだめながら昨日の出来事を話し出す。


*「ジュイ…あのね…とりあえず落ち着いて聞いてほしいんだけど…」


J「うん…だからなにって聞いてんじゃん?」


*「事務所近くに新しいBARできたの知ってる?」


J「はぁ?BAR?いや…知らない。俺、事務所から車で寮に直行だからあんまこの辺り歩かないし。それとこれなんの関係があるだよ?」


ジュイは私が突然なんの話をしだしたのか理解が出来ず、さらにイライラし始め自分でもそれを落ち着かせるように椅子に座ると貧乏揺すりを激しくする。


*「あのね…私の家と事務所の間ぐらいに出来たんだけどね?そこのママにさ…惚れ薬入りの魔法の角砂糖をもらったの…」


J「はぁ!?なんだそのめちゃくちゃ怪しいやつは!?」


ジュイは座ったばかりの椅子から立ち上がり、私はジュイを落ち着かせるように肩に手を置いて話を続けた。


つづく

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