第6話

私はジュイの様子を伺いながら恐る恐る口を開く。



*「でも、そこのBARのママも試したら成功したって言っててね…それをもらってカバンの中に入れてたんだけど…」


J「え…まさか…?」


*「そのまさかだよ…」


J「マジかよ ︎ ︎」


ジュイはすべてを悟ったのか頭を抱えて大きなため息を落とす。


*「たぶん、カバンの落とした時にその角砂糖がテーブルの下に落ちててみんな気づかなくてカフェオレに入れて飲んじゃったんだよ…どうしよう!?」


J「どうしようって言われてもな…効き目はどれぐらい続くの?」


*「ママは2ヶ月ぐらいって言ってた…」


J「2ヶ月!?ありえない…そんなの無理だわ…どうするんだよ!?」


*「どうしよう…ってかさ?ジュイは本当にその砂糖…入れなかったの?」


私の問いかけにジュイの大きな瞳が右往左往し、いつも以上にどもりながらジュイは答えた。


J「え…え?お…俺?俺は…入れてねぇ…し。」


そう話すジュイの額にはじわりと汗が滲んでいる。


*「いつから苦いの飲めるようになったの!?ジュイは昔から苦いコーヒー苦手でしょ?最近までコーヒー飲めなかったんだし。」


ジュイは最近、アイスコーヒーをよく飲むようになった。


しかし、いつも大量のガムシロップとミルクをアイスコーヒーの中に入れていて、確か昨日、私が体に悪いと怒ったばかりのはずなのにいつの間に苦いコーヒーを飲めるようになったのだろうか?


私はジュイに疑いの目を向けながらそんな事を考えていると、ジュイがそれを察したのか私の考えをかき消すかのように言った。


J「そんな事はどうでもいいだろ?今はそんなくだらない事を気にしてる場合かよ!ってか、マジでどうすんだよ!?そのBARに行って解毒剤とかもらってこいよ!!」


*「あるのかな…解毒剤…」


J「ってか、そもそもなんでそんなくだらないの貰ってんだよ。バカなの?」


*「だって結婚…したかったんだもん…。」


J「そんな事で結婚できたら苦労しないだろ!」


*「ですよね…すいません。」


J「とりあえず、今日もう一度そのBARに行ってそのママに聞いてみろよ…な?」


*「うん…。」


J「あとさ?こんな馬鹿げた事言いたくないけど、その惚れ薬入りのカフェオレ飲んだってことは…あの3人は今、ミラにべた惚れってことだろ?」


*「おそらく…」


J「はぁ〜。あの様子だと隙を見せたら速攻で襲われるよ?とりあえず、しばらくはあの3人と2人っきりはならない事、その惚れ薬が切れるまでは俺のそばにいる事。分かった?」


*「いや、そんな事言われましても…」


J「あの3人に襲われたいわけ?もし、そうなったら…俺らのグループがどうなるか分かるよね?マネージャー自ら俺たちの事ボロボロにしたいの?」


*「まさか!!」


J「じゃ、俺の言う通りにして。」


そう言ってジュイは私の事をじっと見つめてくる。


私もそんなジュイをじっと見つめて、いつの間にこんなに大人の男になってたんだろかという思いにふけっていた。


あんなに可愛かった男の子が今や頼れる男になって…私はなぜかジュイのその成長が少しだけ寂しく感じた。


*「分かった。」


J「じゃ、戻ろう…。」


*「うん。」


そして私とジュイはまた、3人が待つ休憩室へ戻った。



つづく


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