第4話



ジュイのデビュー当時、まだ幼い年齢だというのに大人の中で仕事をし、ジュイが味わった苦しみや辛さを間近で見てきた分…


周りにジュイを理解し甘えられる大人が1人ぐらいいた方がいいだろ…


そう思った私は昔から1番末っ子のジュイだけを特別扱いし甘やかしていた。


が…


彼もいつしか大人と言われる歳になり…


お酒も飲めるし車も運転できる。


そろそろ親離れ…


いやマネージャー離れさせなきゃとは思いつつも…


ジュイが可愛い私もついつい、ジュイをコレでもか〜というくらいに甘やかしてしまうんだ。


ジュイのためにゆっくりと起き上がり、眉毛だけ書いたほぼすっぴん顔に黒縁メガネをかけて私は仕方なく事務所へと向かった。



事務所に到着し彼らの唯一の憩いの場所であるメンバーとマネジャーだけが入れる休憩室に向かうとそこにいたのは…


*「ん?ユウとイチ…あれ?ハヤトもいるじゃん?ジュイ…どこが1人なの?」



さっきの電話から聞いた状況と全く違う状況に頭が回らないが、コレもジュイのいつもの手口で私はあっさりとその手口に引っかかてしまう超絶スーパーチョロい女。


「いいから〜入って〜!!」


ジュイにそう言われながら休憩室の中に入ると大量のチキンとハンバーガー、ポテトなどがテーブルの上に綺麗に置かれていて、スマホスタンドがテーブルに備え付けられてある。



*「え…まさか…今から生配信するんじゃないよね?」


「大正解〜!!」


私は突然そう大声で叫んだイチのあまりの声の大きさに驚いてカバンを床に落とした。


*「びっくりした〜声大きい!ユウが出るなんて何年振り?ハヤトとか初じゃない?そもそも、生配信すら久しぶりだよね?」


私はそう話しながらテーブルの下に散乱した荷物を急いでカバンに詰め込むと、よっこいしょと声を出して立ち上がる。



Y「まぁ、たまにはイチさんに付き合ってやんねぇとな。」


i「ユウ〜そういうツンデレなとこ好き〜」


H「俺はたまたまダンスしてたらジュイに誘われてきてみた〜。」


ハヤトはそう言いながら私に微笑みかける。


* 「そっか…まぁファンが喜ぶからいいんじゃない?」



i「あ…このカフェオレ砂糖ついてないんだけど…?」


イチがテイクアウトで買った商品の周りを探しながらそう言った。


*「あ、あっちの給湯室にあるから取ってくるね。」


私は廊下の奥にある給湯室まで小走りで砂糖を取りに行った。


そして、砂糖を数本手に取り休憩室に戻ると…


i「あぁ、ねぇさんごめん!!」


*「全然いいよ〜。」


Y「いや、テーブルの下に落ちてたんだよ角砂糖…だからもういいやそれ。」


H「せっかく取ってきてくれたのにごめんね?」


そう言って4人は椅子に座り準備万端な状態でカフェオレを混ぜていた。



*「あ…そうなの?じゃ、ここ置いておくね?足りなかったらこれ使って。」


私はそう言いながら4人がちゃんと映るようにカメラをセットする為、4人の前に椅子を置きカメラを固定した。



*「じゃ、始めるよ?」


J「あ、待ってちょっと先にカフェオレ飲んで落ち着こう…久しぶりの生配信で緊張する。」


そう言ってジュイがカフェオレを口にするとイチ、ユウ、ハヤトもつられるようにカフェオレを口に含み合図を送るように私の目をみた。


*「もう…準備できた?」


私がそう4人に問いかけると明らかにみんなの様子がおかしくて私の手が止まる。


H「ちょっと待って…無理かも…」


そう言ってハヤトは突然、胸を押さえながらウルウルした目で私をじっと見つめると、手を伸ばして私の手をギュッと握った。


はぁ!?なに!?どうしたの!?


確かに仲は良かった。良かったんだけれども…


いくら仲のいい関係だとはいえそんな急に手を握ってこられるとさすがの私も戸惑ってしまう。


明らかにいつもと違いなんだかおかしいハヤトの様子を伺っていると、ユウが私の手をギュッとにぎるハヤトの手を振り払った。


Y「おい…軽々しく俺のミラに触ってんじゃねぇよ…」


そう言ってハヤトの事を可愛がっているはずのユウがハヤトの胸ぐらを掴み、私はその弾みで尻もちをついた。


えぇ!?何事!?


俺のミラって……今…ユウは言ったよね?


私はいつからユウのミラになったんですかーーーーーーと心の中で私は絶叫する。


i「大丈夫?立てる?」


イチはなぜかそんな事を言いながら私の頭を撫でた。


えぇ!?なになになに!?


急にどうしちゃったのよ!?パニックなんだけど!?


明日、空から槍でも降ってくる!?ねぇ!?降ってくるよね!?あなた達今まで私をそんな扱いしたことないじゃんか!!


どうしちゃったのよ!!私の心の中はもうパニックでほぼ白目。


するとジュイが私の前にしゃがみ込み、私の腕を自分の首に回してヒョイとお姫様抱っこをした。


私はこの状況をうまく処理することができずもう、ただ口をパクパクしてみんなの顔を見るのが精一杯でほぼご臨終です。


J「腰…痛めてない?大丈夫?」


いやいやいやいや何事!?地球ひっくり返った!?


ねぇ明日、空から槍じゃなくて諭吉でも降ってくるんか!?


私はそう思いながらただただ呆然とジュイの顔を見つめた。


つづく

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