カイトとエマニエル

転移者が少女で、王女よりも若いことを知ったカイトはどう接したものかと考えていた。

王女が話しかけてきた。

「お父様から聞いたわ、転移者は私よりも若い少女になるって、そして、カイトが護衛に当たるって、本当なの?」

「そうです、使徒がそばにいるので、能力者でないと護衛にならないと神が」

「そうなのね、と言うことは用事があるときは転移者の方に行く事になるのね」

「そうなります」

「でも、楽しみだわ。王城には私ぐらいの年の女の子っていないんだもの。話せたらいいな」

「あの、王女様、聞いてもいいですか?」

「何?」

「神が転移者の心が壊れるのを危惧していました。私はどう接したらいいのでしょう?」

「そうね、優しくして、側にいるだけでいいんじゃない。ここに来たこと、家族と離れたことの辛さを解ってあげれば。不安だったら、エマが世話をすることになったそうだから話をしてみれば」

「そうですね、そうします。ありがとうございます」

「どういたしまして」


数日後、カイトは転移者の住むことになる家を訪れ、エマと話をすることにした。

「そうね、理由はどうであれ、家族と離れ離れになるわけだから、神もね、使徒をそばに置くと、そしてお守りのペンダントも授けてくれたのよ。後は周りで暮らす私たちにかかっているってことよね」

「王女様から、『側にいて、辛さを分かってあげること』と言われました。話をするのが楽しみとも」

「そうね、同じ年ごろだそうだから、でもね、転移してしばらくはそんなこと考えられないと思うのよ。この土地に慣れるのに必死で。だから、普通に接してもしも里心が付いたらその時よね。転移した翌日お祭りだからカイ連れて行ってくれる?」

「はい、そうして会っておいた方がいいでしょうから」

エマとカイはそう話をした。



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