転移者を迎える準備

郊外にある、家を改装することになった。丘の上にある2階建ての家。1階は生活と、世話人の部屋。2階は転移者の部屋と、謁見するときのための衣装などを収めた部屋になった。


王はその家で転移者の世話をする女性の選定に入った。

ある程度力があり、自分と通信が出来る人。料理が上手で物事の理解も深いこと、神の使徒が側にいても怖気おじけない事が条件となった。候補は数人あがったが、最終は王が直接会って話をして決めることとなった。

一人目は、好奇心が強すぎて根掘り葉掘り転移者に聞きかねなかった。

二人目は、神の使徒が側にいることを怖がった。

三人目。王の前でも物腰が柔らかく、話を聞いても顔色も変えず「自分がお世話いたします」と言った女性に決まった。

エマニエル、後にエマとしてナギサの世話をした女性である。エマは王女の乳母でもあった。

王はエマと離れていても話が出来ることを確認してエマを郊外の家に送った。


エマは家を整え、転移者が来るのを待った。そんなある日、突然使徒が尋ねてきた。

使徒は自分たちが転移者の心の中にある動物に姿を変えて普段は力を隠して側にいることを話した。そして転移するのは祭りの前日になると教えた。ペンダントをエマに渡し『ヴェンティ様からのお守りだ。鏡台の中に入れておくように』と言って帰って行った。


「祭りの前日ね、あまり時間が無いわ。用意を急ぎましょう」とエマは言い王にその旨を伝えた。

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