第23話 告白(3)
「使えるって、何が?」
聞き返す俺に、架河森はドヤ顔で語る。
「知ってる? 恋愛ってとてつもないパワーがあるの。人を呪い殺したり、逆に死の淵から人を蘇らせたり。古今東西、あらゆる物語の題材にもなっているくらい。愛憎は表裏で同じだけ強い感情。そんな超常の力が目の前に置かれているの。どういうことか分かる?」
架河森は瞳を輝かせて、
「その力をサンショウ様に与えれば、彼を実体化できるかもしれない!」
…………。
そ……それかーーー!!
俺は俺は内心頭を抱えて絶叫した。
「ってことは、架河森は主催者が創り出してる『負の感情』を奪うために、自ら嘘告ゲームの標的になっているのか? 参加者を釣りやすい『餌』になって?」
もう一度確認してみると、
「そういうこと。告白を断ってたのは、私の
キャッキャと惚気る架河森。ヤバい。こいつ、想像の200倍くらいヤバい。
「でも、主催者が意図的に他人の悪意を増大させるゲームを行ってるのなら、そいつも『負の感情』を使う目的があって集めてるって考えるのが妥当だろ。それを盗もうなんて、バレたら危険じゃないのか?」
眉を顰める俺に、架河森はあっけらかんと、
「盗もうとしてることは気づかれてないと思うけど。私が不自然にゲームに介入してることはバレたみたいだね」
天井を指差す。
「植木鉢」
途端にぞわっと全身に鳥肌が立つ。あれは主催者の仕業か! 完全に妨害者認定されてるじゃないか。
「攻撃してきたってことは、私の読みが当たってるってことでしょ? 今まで隠れていた主催者が私の存在を看過できなくなった。これはチャンスだよ。私は主催者を見つけて、集められた『負の感情』を取り上げたい。だから句綱君、協力して」
ドーナツ半分こして食べよう、みたいなノリで誘われても困るのだが。
「嫌だよ。土地神とか負の感情とか、結局は全部お前の推論だろ? 頭のおかしいことに俺を巻き込まないでくれ」
俺は呆れて席を立つが、
「あ、ジュース取りに行くならジンジャーエールお願い」
「帰るんだよ!」
誰がドリンクバーのパシリするかっ。
「大体、架河森の話が本当だとして、どうして俺を疑ったんだ? 俺を嘘告ゲームの参加者だと思ってたんだろ?」
初めて放課後の西校舎裏で遭った時に言っていた。「句綱君も私に告白しにきたの?」と。あの日からずっと、俺は架河森に疑われていたんだ。それが猛烈に腹立たしい。
架河森は罰が悪そうに苦笑して、
「そうだね。最初は嘘告の関係者だと思った。じゃないと辻褄が合わないことが多かったから。でも、君が否定するなら信じる。その上で、君に協力を頼みたい」
「なんで俺に?」
戸惑う俺の目を真っ直ぐに見つめ、
「自分では気づいてない?」
架河森は断言した。
「句綱君には霊能力があるんだよ」
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