第3章 辺見所長

51 刑務所の水香

水香が無人の装甲車で,網走市にある100番外地女性用刑務所に運ばれた。この刑務所は,通常『100番刑務所』と呼ばれている。堅牢な刑務所で,ここから逃亡することは不可能だと称されている。


 テレビ報道の生実況放送は,水香を乗せた無人装甲車がこの刑務所の広大な敷地内に入っていったことで終了した。


 その装甲車は,周囲200メートルの範囲で全く何もない空地に建てられた一軒家の収監棟に到着した。その収監棟は,外見が普通の一軒家とまったく変わりがない。そこで水香は,装甲車から降りて,その収監棟に入るように指示された。水香はその指示に従った。ドアには鍵などかかっていない。その必要もない。もし脱走しようものなら,管制塔から機関銃攻撃を受けて死ぬだけだ。


 水香の輸送を担当したのはα隊だ。α隊隊長は水香の管理の引き継ぎのため,100番刑務所本棟の長官室に案内されてここの刑務所の長官と面談した。お互いの挨拶と自己紹介が終わった後,α隊隊長はパソコン2台を机に置いて引き継ぎを始めた。


 α隊隊長「このパソコンは,水香と遠隔でオンライン連絡するものです。一台は水香用,もう一台はこの刑務所用です。このパソコンを起動すると,自動でソフトが立ち上がり,オンライン状態になります。水香の寝室や普段いる場所には,必ずこのパソコンを起動した状態にしてください」

 所長「水香がトイレとか風呂に入ったときはどうなるのですか?」

 α隊隊長「そこまではチェックしなくていいでしょう。もちろん映像に映らなくても構いません。水香がこの収監棟にいさえすれば問題ありません」

 所長「水香の屋外活動の場合はどうすればいいのですか?」

 α隊隊長「この刑務所の施設内の移動であれば,自由にしてかまいません。もちろん,水香が普通の人と変わりないと判明してからになります。尚,それまでは,収監棟から半径100メートルの範囲内での活動はOKです。人工衛星でこの施設周辺はモニターしていますので」

 所長「・・・」


 α隊隊長は,さらに携帯2台を机に置いた。


 α隊隊長「野外活動の場合,この携帯を渡してください。もう一台の携帯で通話可能です。必要に応じて,映像通話も可能です。水香には携帯と充電器も一緒に渡してください」

 所長「わかりました」

 α隊隊長「収監棟内での水香対策用の設備は整っていますか?」

 所長「はい,設備は整っています。ベッドとソファに高圧電流がスイッチひとつで流れる仕組みです。もちろんその場合は,水香は黒焦げの死体になってしまいます。また,出火も同時に発生すると思います。でも,壁,天井などは耐火性能のものを使っていますので,他の部屋に延焼することはありません。」

 α隊隊長「わかりました。食事の運搬とか,このパソコン,携帯を渡す時には,水香と会うことになります。かなりリスクの高い状況になります。その担当者をどうするか,ここで相談させてください」

 所長「え?その質問の意味は?」

 α隊隊長「実は,ここだけの話なのですが,今回,水香をこの刑務所に受け入れてもらうに当たり,法務省から文句が来ました。というのも,超法規的な措置をするのに,なんで刑務所を使うのかと。一環して,警視庁と軍隊の方で管理すればいいのではないかというものです」

 所長「まあ,そうでしょうね。水香は法を受ける身分ではないのですから」

 α隊隊長「でも,超法規的措置を適用しているのは,対外的に開示していませんので,刑務所に収容するという体裁を取らざるを得ません。ですが,正規の刑務官が水香の対応をして,万一,殺されてしまうようなことがあれば,法務大臣から大目玉をくらってしまいます。警視庁長官の首が飛んでしまいます。そこで,提案なのですが,われわれの方で,職員をこの施設に駐在させていただけないかと思いまして。いえいえ,そんなに長期間ではありません。近々,『水香の能力あぶり出し作戦』の成果報告会があるのはご存知かと思います。その会議で,水香が安全であると確認されれば,水香を超法規的措置から法の管理下に移管することになります」

 所長「なるほど,,,しかし,駐在となると,法務省の本部の了解が必要になる案件だと思います。ですが,駐在という形式ではなく,毎日,2,3回ほど,食事や備品の提供に,あなたがたがこの刑務所を訪問するということであればまったく問題ありません」

 α隊隊長「なるほど。その案でこちらとしても構いません。わたしの後ろにいる11号が対応させていただきます。11号,挨拶しなさい」

 

 11号と呼ばれたのは,最近,α隊に配属になった新人女性職員だ。


 11号「わたくし,α隊の11号です。よろしくお願いします」

 所長「11号では呼びづらいので,本名はなんといいますか?」

 11号「大門寺まな美と申します」

 所長「では,これからまな美さんとお呼びしてよろしいですか?」

 まな美「はい,構いません」

 所長「では,さん,あなたは危険な任務であることを充分に理解しているのですか?」

 まな美「はい,十分に理解しています。かつ,その対策もしています」

 所長「え?その対策とは何ですか?」

 α隊隊長「すいません,極秘情報になりますので回答は控えさせていただきます」

 所長「そうですか,了解しました。では,まな美さん,これからよろしくお願いします」

 まな美「はい,こちらこそ,よろしくお願いします」


 α隊隊長の要件が済んだので,彼はまな美ひとりを残して去った。


 その後,所長はまな美と一緒に決死の覚悟で,水香に会いに行くことにした。まな美は所長の同行を断ったが,万一のことがあっても,まな美の責任にはしないと約束してくれたので,已む無く所長の同行を許した。


 所長としては,同行する必要などないのだが,でも,一度は,肉眼で水香を見て見たかった。だって,写真で見る限り,所長のハートを鷲掴みするほど,超可愛い少女だったからだ。


 所長は結婚しているし,引きこもりの中学生になる男の子もいる。でも,いまだかつて,これほど女性に対して『会ってみたい』と思ったことはなかった。彼は,もしかしてロリコン趣味があるのかと自分を疑ったほどだ。


 多少の危険を犯しても,ぜひ肉眼で見てみたかった。それに,リスク,リスクと言っても,すでに,霊力を失っている可能性が高いし,かつ,まな美の背後に控えることから,殺される可能性は低いとの判断だ。

 

 200メートル先の収監棟に行く道すがら,所長は,まな美にいろいろと質問したが,ことごとく『極秘事項です』として返答を断れた。それでも,ひとつだけ,なんとか回答してくれた質問があった。


 所長「ところで,なんで200メートルも離れた場所に,ポツンと一軒家を建てる必要があったのかな?」

 まな美「これも極秘なのですが,ちょっとだけ開示すると,どうやら陸軍の開発部隊が,超小型ナパームミサイル弾を開発したようなのです。その火炎爆発の影響範囲は150メートル程度のようです」

 所長「何?それって,いつでもあの収監棟を爆破するってこと?」

 まな美「あっ,これ,内緒ですよ,内緒。話はここまでです。ここまで!」

 所長「・・・」


 こんな話をしなら,まな美と所長は,水香のいる収監棟に着いた。

 

 まな美は,軽量の防御スーツを着ている。かつ,まな美は空手の有段者だ。さらに,霊力を見ることができる眼鏡『霊力ミエール』を掛けている。仮に水香が霊力で攻撃を仕掛けたにしても,そうおいそれと遅れを取ることはないとの上層部の判断だ。


 まな美は,収監棟の中にいる水香に聞こえるような大きな声をかけた。


 まな美「水香さん,食事と差し入れを持ってきました。ドアを開けてください」


 すると,水香が収容棟の中から返事した。


 水香「はーい,今開けまーす。でも,お腹が大きいので,ちょっと時間がかかりまーす」


 まったく緊張感のない声が収監棟の中から聞こえた。


 ガチャ!


 ドアが開いた。そこには,わずか12歳の超かわいい少女がいた。水香だ。1000人以上も殺害したウルトラ殺人鬼だ。まな美も所長も,生の水香を見るのは初めてだ。


 まな美水香を見た。


 水香は,ごく普通の超かわいい少女だった。


 まな美は,今まで保ってきた緊張感の糸がプチッと切れる音がした。


 というのも,まな美は,霊力対策のため『霊力ミエール』の眼鏡の使い方のマスター,かつ,それを使ってのシミュレーション戦闘訓練をしてきた。それが,なんか空しい努力に思えたからだ。


 所長も生の水香を見た。


 水香は,超かわいい少女だった。しかも,お腹が膨らんでいて,おっぱいも大きかった。ロリコン妊婦ラブドールだと錯覚した。


 所長の体全身に鳥肌が立った。


 所長『超かわいいーー!!手元に置いときたい!!』


 所長は,思わず,声を出さずに叫んでしまった。


 まな美は,水香の導きで部屋の中に入っていった。だが,所長は外で待つことにした。水香を生で見たのでそれで十分だった。


 まな美が水香にパソコンや携帯の使い方や,その他注意事項なども説明してから部屋を出た。


 その時,まな美は水香に背を向けた。その直前に,自分の周囲に魔法結界が構築された。まな美の防御服は,強力な魔法結界を構築できるものだった。


 これは,ピアロビ顧問と精製魔力結晶の精製メーカーとの共同開発による試作品のひとつだ。まな美が装着しているのは防御に特化したものだ。これを発動している限り,千雪のような化け物レベルの霊力使いでもない限り,かなり高度な霊力使い手であっても防御可能だ。ただし,精製魔力結晶の無駄使いを抑えるため,1回の起動時間は3分間で10回ほど使用可能だ。使い終われば,新しい精製魔力結晶を防御服の装填部分に入れ替えればいい。


 まな美と所長が本棟に戻る道すがら,所長はまな美の今後の予定を聞いてみた。


 所長「まな美さんは,これからどうするのですか?」

 まな美「はい,ホテルを探します。もともと,この施設に駐在できる可能性があったので,ホテルはまだ予約していませんでした」

 所長「そうですか,,,」


 所長はちょっと考えてからまな美に提案した。


 所長「もし,よかったら,しばらくわたしの家に泊まりませんか?住みここちが悪ければ,それからホテルを探してもいいですし」

 まな美「え?でも,タダで泊めてもらうのも気が引けますし,,,」

 所長「実は,引きこもりの息子がいまして,中学1年なんですが,学校に行かないのですよ。もし,よかったら,息子の話相手にでもなってくれませんか?息子も心境の変化があるかもしれませんし」

 まな美「そうですね,,,はい,では,泊めてさせていただきます。ホテルを探すのも面倒いですし」

 所長「それはよかった。では,タクシーを呼びますので,一足先に帰ってください。家には息子しかいませんから気兼ねなく過ごしてください。冷蔵庫の中にあるものも,適当に食べてください。妻は実家に帰ってしばらく帰ってきませんしね」

 まな美「え?どうしてですか?」

 所長「妻の母親が倒れてしまって,しばらく看護をしないといけない状況なんです。まあ,でも,食事はスーパーで適当に弁当を買ってすませばいいですから,返って,ノンビリできますよ。ハハハ」

 まな美「・・・」


 その後,まな美は所長から家の合鍵を渡されてタクシーで彼の家に向かった。


 所長室で,所長は早速,水香と繋がっているパソコンを起動した。そこに映っているのは,下着を着けておらずネグリジェ姿でベッドで横になっている水香だった。水香はパソコンをいじっていた。しかも,下着姿で,胸の谷間がクッキリと映っていた。


 所長は,またビックリした。嬉しい意味で,,,


 そのパソコンは,17インチの大型パソコンで,画面が左右半分に分割されていて,右半分が映像チャット用だ。右上半分が相手側が映っていて,右下半分が自分側が映る仕組みだ。左半分はインターネットに繋がっていて閲覧自由だ。しかし,メールの閲覧や情報発信は出来ないようになっている。


 所長「水香君は,おっぱいが大きいね」


 所長は思わず,パソコン越しにエッチなことを言ってしまった。この言葉に,水香は別に胸元を隠すこともなく返事した。


 水香「所長さんは,わたしのおっぱい,好きですか?なんなら,おっぱい見せてあげます。どうせ,すぐに殺されてしまうのでしょう?こんなわたしの裸でいいなら,いくらでも見せてあげます」


 水香は,正座姿になってネグリジェを脱いだ。Dカップのおっぱいが露わになった。これには,所長がまたびっくりした。なんで,水香はわざわざ裸になるのか?


 水香は,お腹の中にいるメリルがしばらく音信不通になる前に,相手の機嫌取りをできるだけしなさいと言われた。それが,水香が唯一できる生き残り戦略だ。


 水香は,パソコンの前で,両手でおっぱいを優しく揉んだり,股を拡げてクリトリスを愛撫したりして,エロいポーズをどんどんとしていった。今の水香の体は,全身性感帯だ。だんだんと高揚していって,海老反りになってイッてしまった。


 その自慰行為は20分ほど続いた。


 水香はそのまま寝入ってしまった。


 所長は,まさか水香がこんなことをするとは思ってもみなかった。もしかしたら,これから,水香に自慰させて自分もオナニーできるのではないかと期待した。

 

 30分もすると,水香が目を覚ました。


 所長は,所長室のドアを内側からロックしてから,パソコンの前に来て水香に依頼した。


 所長「水香君,今のオナニー,もう一度できるかな?わたしも水香君の裸を見て手淫したくなった」

 水香「わたしの体,全身が性感帯です。何時でも何度でも自慰できます。所長さんとエッチだってできます。いつでもわたしを犯しに来てください。どうせ,この体,多くの男たちに犯された身ですから,,,」


 この言葉に,所長は,もう一度水香のファイルを読み返した。そのファイルの1節に『水香はメリルに憑依されている間の記憶はない』という文言があった。つまり,水香は,自分の体に触った連中が死亡したということを耳で聞いてはいるが,実感していないことになる。そのため『水香の体に接触することイコール死』ということをまったく頭の中にないのだ。


 所長「それは嬉しい提案だ。でも,水香君の体に触ると死んでしまうんだよ。死なないってわかれば,いつでも水香君を自分の傍に置いておくんだがね。フフフ」

 水香「あっ,そうでした。忘れていました。ごめんなさい。じゃあ,所長が気に住むまで,自慰しますね」

 

 かくして,水香と所長は,時間がある時にお互いの自慰行為を見せあう仲となった。


 

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