38 美澪の指輪(2)

 ー 多留真のマンション ー


 多留真は一人暮らしだ。だから,夏江が多留真のマンションに通っても,恋人と思われても不思議ではない。でも,夏江はそれを嫌った。自分から男にすり寄っていく『弱い女性』のイメージがあるからだ。


 多留真のマンションに入った夏江は,多留真からコーヒーを出されたが,それを飲むを拒んで,自分が事前に買ってきた缶コーヒーを飲んだ。


 多留真「お前は,俺の出すコーヒーが飲めないのか?」

 

 夏江は,コーヒーに眠り薬が混じっていることを恐れた。多留真は,夏江にとって,すでに『敵』だ。敵が出す飲み物を飲むなんてできるはずもない。


 夏江「最近,コーヒーの味にうるさくなったのよ。悪く思わないで’ちょうだい」

 多留真「そうか?」

 夏江「そうよ。そんなことより,どうして,わたしをここに連れてきたの?」


 多留真は,ニヤッと笑った。


 多留真「もう分かっているんだろう? お前,メリルの指輪に俺の体を憑依させたろ。しかもだ,どうどうと,偽物のメリルの指輪を皆の前で披露して,いったいどういうつもりだ!!」


 夏江は,予想通りの詰問に,ニコニコとほほえみ返しをした。


 夏江「あら?どうしてあの指輪が偽物だっていいはるの?会議で,あれは本物だって証明されたでしょう?」

 多留真「いつまで,嘘を通せると思っているんだ?」


 多留真はノートパソコンを起動させて,ある映像を示した。それは,夏江と多留真のベッドシーンだ。そして,夏江が誰かに話しをしていた。


 夏江の独り言ーー

 「ねえ。どうやったら,メリルの指輪ってごまかせると思う?何か,能力を一時的に与えることはできないの?」

 「そんな方法もあるのね。でも,それでいいわ。お願いね」

 「なんか,私でも,この指輪にパワーがあるのを感じることができるわ」


 夏江は,なぜ多留真があの指輪が偽物だと断定したかがやっと理解した。多留真はこっそりと夏江の寝室に隠しカメラを仕込んでしたのだ。


 夏江は,何度か溜息をついた。


 夏江「これって犯罪よ。わたしの了解のなく隠しカメラを仕込んだのね?」


 この言葉に多留真が反論した。


 多留真「お前こそ犯罪だぞ!俺の了解もなく,この体を憑依させやがって!」

 夏江「え?わたし,そんなこと知らないわよ。憑依?何それ?」


 夏江はシラを切った。


 パチーン!


 頭に来た多留真は,とうとう夏江の頬を平手打ちした。


 ぶたれた夏江は,多留真と別れる時期が来たと思った。でも,すぐに別れてしまうと,美澪が憑依する対象を失ってしまう。さらに,生きのいい精子の供給も絶たれてしまう。その損得を鑑みて,ここはなんとか多留真の了解を得て,憑依させる方法を模索することにした。


 多留真「もう一度言う。俺の体にメリルの指輪を憑依させたな?」

 夏江「・・・」


 夏江は黙った。この部屋には当然,隠しカメラが廻っているはずだ。それで,声には出さずに,ほんの少しだけ頭を下げることで黙認することにした。仮に映像が取られても,後でいくらでも言い訳することができるからだ。


 多留真「お前の左手にしているのがメリルの指輪か?」


 この質問は容易に予想された質問だ。今,している指輪は,何の変哲もない指輪だ。さきほど夏江がしていた本物のメリルの指輪は,ある恥ずかしい部分の中に押し込んで隠しておいた。というのも,多留真の眼に触れさせてはいけないと思ったからだ。もし高性能ビデオカメラで撮影されてしまい,それを千雪側の連中に鑑定されてしまうと,もう,言い訳ができなくなる。


 夏江のアパートにそれを隠すのも厳禁だ。きっと,夏江のアパートにも多留真の部下たちがこっそりと侵入する可能性があるからだ。


 夏江は,頬をぶたれたにもかかわらず,多留真にニコッと微笑んでから返事した。しかも甘い声でだ。


 夏江「あなた,どうしてそう疑うの?わたし,あなたの恋人でしょう?将来を誓った間柄でしょう?わたし,,,悲しいわ」


 夏江は,隠しカメラで撮影されている前提で,うまく演技することにした。


 多留真は,夏江のあからさまな演技をみて,メリルの指輪をどこかに隠したと思った。この状況を打開するためには,腹を割って話すしかないと判断した。


 多留真は,部屋の片隅に隠した高性能カメラ3台を取り出して,その録画スイッチを切った。さらに,10箇所にも配置した隠しマイクをすべて取り外した。


 多留真「この部屋に配置したカメラとマイクのすべてだ。もうわれわれの映像や会話を記録するものはない。もう正直に話していいぞ」

 夏江「それを信じろというの?」

 多留真「ああ,そうだ。神に誓ってこれがすべてだ。もしウソなら,そうだな,おまえの前で,裸踊りでもしてあげよう」


 この言葉に,夏江は内心クスッと笑った。多留真はほんとうのことを言っていると確信した。ならば話は早い。夏江は彼に真実を話すことにした。


 夏江「多留真,ちょっと待っててちょうだい。本物のメリルの指輪をとり出すから」


 夏江は,恥ずかしい場所からなんとか絞り出してメリルの指輪を取り出した。それは愛液でベトベトだった。


 多留真「お前,いったいどんなところに隠していたんだ?指輪が可哀想だろう」


 多留真はメリルの指輪に同情したものの,この指輪によって自分が憑依されたことを思い返して,同情心がすぐになくなった。


 多留真「これが,俺の体に憑依した張本人か?」

 

 夏江は,メリルの指輪が美澪の霊体によって支配されていることなど,説明する必要がないことを知っている。どの道,証明するすべがないのだから。


 夏江「そうよ。メリルの指輪があなたに憑依したのよ。それによって,あなたからちょっとだけ,元気のパワーを奪ったってわけよ。命には別状ないから安心してちょうだい」


 多留真は激高する気持ちを押さえて,夏江に質問した。


 多留真「どうしてそんなことになったんだ?」

 夏江「簡単なことよ。ギブアンドテークってやつね。わたしは,メリルの指輪に,安全にして危険のない人間の精気を与える,その代わり,メリルの指輪はもう犯罪を起こさないし,かつわたしの言うことを聞いてもらうってわけよ。それなら,三鈷杵の聖力なんか使わなくても,メリルの指輪を安全にわたしの支配下におけるし、場合によっては,そのパワーを正義のために使うことだってできるわ」


 多留真は,夏江の言葉がどこまで真実か疑った。そもそも,どうやってメリルの指輪と交渉なんかできたのか?


 それよりも何よりも,そのメリルの指輪が,危険でないということを証明することなどできるのか?

 

 それを聞いたところで,まともな答えは返ってないのは目に見えているが,それでもそれを聞くことにした。


 多留真「メリルの指輪がお前の支配下にあるのをどうやって,信じればいい?」


 この質問に,夏江はいとも簡単に答えた。


 夏江「簡単なことよ。メリルの指輪は,いってみれば,あなたの精気で生きているようなものよ。毎日,一定時間あなたに憑依するわ。その憑依するタイミングは,わたしの命令次第よ」


 この言葉に,多留真はますます怒りが込みあげてきた。でも,ここで怒ってもしょうがない。冷静になって,そのことによる弊害を確認した。


 多留真「精力が奪われると,俺はそのうち死んでしまうのか?お前は,俺がメリルの指輪に呪い殺されるのを黙って見ているつもりだったのか?」


 多留真の詰問は,厳しい口調ではなかったものの,多留真の怒りは十分に感じ取れるものだった。


 夏江「いいえ,あなたにとってもメリットがあるのよ。精力,つまり体力と精子は多少奪われるかもしれないけど,その代わり,あなたの体はますます健康体になっていくわ。筋力も少なからず強固になるはずよ。メリルの指輪にとっても,そして,あなたにとっても,お互いメリットのある行為なのよ」


 多留真は夏江が口からのでまかせだとおもった。


 多留真「ではそれを証明しろ」

 夏江「そうね,,,」


 夏江は,部屋の周囲を見渡して,10kgほどのバーベルが2セット転がっているのを見つけた。


 夏江「あのバーベルでちょっとトレーニングしてみて。筋力が多少ともあがっていると思うわ」

 多留真「ふん,そんなことあるか!!」


 多留真は夏江の話を信じないまでも,バーベルを試すくらいならいいだろと思った。彼は,それを持ち上げた。


 多留真「え?」


 なんと,10kgのバーベルを持ち上げて見ると,今までやっとのことで持ち上げることができたのに,今では,いとも容易く持ち上げることができるではないか?! そのあと,何回か上下に動かしてみたが,果たして今までよりも遙かに筋力が増しているのを実感した。


 多留真「これはいったいどういうことだ?」

 

 夏江は「フフフ」と笑った。


 夏江「だから言ったでしょう?筋力が増しているって。わたしも同じように筋力が増してきたのよ。もしかしたら,10メートル程度の短距離なら,世界記録を出すことだってできるかもしれないわ」


 夏江は筋力が増したことを強調したが,それ以上に霊能力が増したことは伏せていた。霊体離脱する時間も1時間以上に達した。


 多留真は,メリルの指輪に憑依されることによる利害を天秤にかけた。筋力が増強されるのは,多留真のような危険な仕事をしている身にとってはメリットが大きい。

 

 多留真「ならば,何度も憑依され続けると,ますます運動能力が増していくのか?」

 夏江「もちろんよ。2,3ヶ月も続ければ,あなたはスーパーマンにだってなれるわ」


 これはさすがにウソだと思ったが,でも,さらに運動能力がアップするのは決して悪いことではない。多留真はメリルの指輪からの憑依を受け入れることにした。


 多留真「わかった。憑依されることを受け入れよう。ただし,メリルの指輪が俺の体を憑依するタイミングは,お前のあそこに射精してから,10分後だ!それよりも前ではだめだ」

 

 夏江は,多留真の体を憑依した美澪に処女を差し出したが,意識のある多留真に自分の体を差し出したことは,これまでに一度もない。


 つまり,これは多留真に,本当の意味で処女を差し出すのと同じような意味合いだ。


 でも,多留真を味方にすれば,メリルの指輪は,多留真からいつでも精気を奪うことができるし,今後の仕事もやりやすくなる。


 どの道,意識体がどうであれ,何度も多留真の体によって犯された身だ。犯される行為になんら変わりはない。

 

 夏江「わかったわ。それで結構よ」


 夏江は,愛液で濡れたメリルの指輪を左手の薬指にはめた。ダミーでつけていた指輪は,右手の薬指にはめた。


 夏江「寝室はどこ?」

 多留真「こっちだ」


 多留真は夏江の腕を引っ張って,寝室に連れていった。彼にとって,今回が,正真正銘,夏江を初めて抱く機会だ。内心,彼の心臓が高鳴った。これまでなんども夏江をベッドまでは連れていくことができたものの,その後の記憶がまったくなくなってしまった。


 その悔しさ!!思い起こすほどに怒りが増してしまう!!


 先日も記憶がないのに,夏江のおっぱいが真っ赤に腫れてしまっていて,それも自分のせいだと言われて500万円も支払った。


 そんな悔しさが,どんどんと湧き上がってきた。


 寝室に夏江を引き連れた多留真は,彼女服を気ちがいのように引きちぎった。これまで欺され続けた怒り,鬱憤を晴らすかのようだ。


 夏江の着ていたすべての衣服を無理矢理引きちぎった。彼女のEカップものおっぱいは,いまだに赤あざや青あざが残っていて痛々しかった。でも,今の多留真にとっては,そんなことはどうでもいい!


 500万円分の損失を夏江の体で支払ってもらわねば帳尻が合わない!


 メリルの指輪が虐待したであろうおっぱいに,今度は,多留真本人が自分の意思で,そのおっぱいを痛めつけてやる!!


 赤あざや青あざのあるえEカップのおっぱいではあったが,その形の良さと張りのあるおっぱいは,まさに美乳と呼ぶにふさわしかった。夏江が,もっとしおらしく,素直な性格の女性だったら,多留真は素直に結婚を考えていたのかもしれない。でも,もう結婚の話はありえない。


 今の多留真は,夏江を無茶苦茶にしないと気が済まない状況だ。多留真は自分を強烈なサドの気持ちにとなり,夏江を自分の性奴隷として扱うことに決めた。


 多留真は夏江のおっぱいに強烈な平手打ちを食らわした。しかし,当の夏江にとっては,そんな行為などすでに美澪から何度も受けた行為だ。せいぜい赤あざや青あざが少し増える程度のことだ。夏江は,多留真の好きにさせることにした。なんせ,500万円も騙し取ったようなものだ。こんな仕打ちをされたとしても彼女にといって屁でもない。


 多留真は夏江が甘んじて虐待に耐えているのを見て,ますます興が乗った。今度は爪を立てて,Eカップのおっぱいに傷をつける行為に走った。でも,その厳しい虐待と思われる行為でも,夏江にとっては,すでに美澪によって何度も経験させられた行為であり,愛撫の一環として快楽として受け入れた。


 ひとしきりEカップのおっぱいを虐待しておっぱい全体に血が滲むようにした後,多留真は意識がある状態で初めて夏江を犯した。そして,ピストン運動を10分程度激しく続けた後,貯まった精子を夏江の膣の中に放出した。


 多留真はやっと至高の瞬間を味わうことができた。この夏江の豊満な体なら,彼女とこのまま結婚してもいいのかもしれないと思った。でも,その考えをすぐに否定した。


 多留真は,夏江がまだ何か隠していると思った。それが何なのかはわからない。でも,ともかくも,意識のある状態で夏江の体を虐待できるし,射精もできる。当面,自分の性欲を十分にはかすことはできる。


 しばらくは夏江と共犯になって,メリルの指輪の存在を内緒にすることにした。


 その後,多留真は意識を失って美澪の霊体に憑依された。


 美澪「夏江,多留真に犯された気分はどう?わたしよりも良かった?」

 夏江「ぜんぜんダメよ。わたしのおっぱいを虐待するにしても,愛情がまったく感じられないわ。同じ虐待を受けるにしても,やっぱり美澪がいい!!美澪,わたしのおっぱい,もっと虐待して。もっと愛して」


 美澪はいつものように,夏江のEカップのおっぱいをさらに虐待していった。それは,なんどもおっぱいを平手打ちした。おっぱいに体中の血を集中させて大きくさせるためだ。


 美澪は,生前貧乳で悩んだことがある。せめて,運命共同体である夏江には巨乳に,いや,爆乳になってもらいたいと密かに思った。

 

 おっぱいをいためつけられながら夏江は美澪に質問した。


 夏江「おっぱいを叩かれるのって,『双修』によるレベルアップと関係があるの?」

 美澪「もちろん関係はあるわよ。あの有名な異能力者集団の千雪組のことは知っているでしょう?皆,巨乳なのよ。巨乳になることは,レベルアップとイコールなのよ」


 その言葉に,思い当たることがあった。それは茜だ。茜は後から異能を身につけたが,それと平行して爆乳になった。確かに美澪の言うことは一理あると思った。でも,叩かれるだけでほんとうにおっぱいが大きくなるものだろうか?


 夏江「確かにそうかもしれないけど,でも,叩く行為だけでいいの?薬とか魔法とか,必要ないの?」

 美澪「・・・」


 美澪は,メリルの指輪を掌握したものの,断片断片の記憶しかないので,巨乳にする回復魔法のことを知ることはなかった。


 女性ホルモン剤などでおおっぱいを大きくさせることもできるようだが,今はその薬は手元にない。そこで,おっぱいを血で常時充血させることで,自然な状態で夏江の体から女性ホルモンの分泌を促進させることを考えた。


 そんなことを思いつつ,美澪はときどき夏江の乳首や口にキスすることで,夏江がもう質問しないようにさせて,おっぱいを何度も何度も叩いていった。


 そして,翌日の朝には,Eカップのおっぱいはぎりぎり一回り大きいFカップになった。しかし,そのおっぱいは全体が流血一歩手前で留まっていて,かつ,真っ赤に腫れ上がったおっぱいだった。


 そのおっぱいは常時,激痛を発していて,夏江はその激痛を快楽として受けて,常時快楽を感じている状況だった。股間からは今も愛液が漏れていた。


 今回の夏江と美澪の双修によって,多留真の精巣はすっかりカラカラになった。そのすべての精子はメリルの指輪にできた小さな亜空間に収納され,素の霊力に変換された。


 美澪は念話で夏江に話した。


 美澪『どうやら少しだけど,霊力を繰り出せるようになったわ』

 夏江『霊力?『透明の刃』のような力のこと?』

 美澪 『それもできると思うけど,直径20cm程度の透明の盾も構築できるわよ。相手の蹴り技を防御するのに有効だと思う』

 夏江『・・・』


 夏江は,霊能力に目覚めたけど,格闘技のセンスに目覚めたわけではない。合気道は有段レベルだが,でもそれは痴漢よけや,刑事としての逮捕術に必要なので修得したまでだ。


 美澪は,霊力を少し扱えるようになったので,それに気を良くして,さらに夏江におねだりをした。


 美澪『夏江,わたしにもっともっと精子を提供してちょうだい。わたしが霊力を自由に扱えるようになれば,夏江の助けにもなるわよ』


 この依頼に,夏江は同意した。今では,裏通りの娼館街の女ボスに電話一本すれば,精子が充満したコンドームが満載したバケツが10杯も入手可能だ。警察の役得といえよう。


 このことを美澪に伝えると,美澪は歓喜した声で夏江に念話した。


 美澪『じゃあ,じゃあ,もっともっと精子を溜めれば,夏江は『精子風呂』にだって入れるのね? 今の夏江なら,精子風呂は夏江の能力をさらに引き上げるのに,最高にいいわよ。霊能力をもっと引き上げると,わたしと精神をシンクロさせることだって出来るかもしれないわ。そしたら,夏江が自由に霊力を扱えるのよ!!』


 この提案は,夏江にとってとても魅力的な提案だった。


 夏江は,裏道にある娼館街の女ボスに,1週間分の精子を集めて,冷蔵庫で保管するように依頼した。『精子風呂』を実現させるためには,それくらいの日数は必要と思ったからだ。


 翌朝,多留真は意識を取り戻すと,自分の傍らに全裸の夏江がいた。


 多留真の記憶と少し違っているのは,夏江のおっぱいが,Fカップにまで大きくなってしまったことだ。真っ赤に腫れ上がったそのおっぱいをみて,多留真はそんなに激しく痛めつけた覚えはないのにと思った。


 多留真は,すぐに夏江を再び抱こうと思った。だが,いつもならすぐに勃起するはずなのにまったくあそこが反応しない。それよりも,あの部分が明らかに異常に疲労しているのを感じた。多留真を憑依したメリルの指輪が,男性の気持ちになって,夏江を何度も犯したに違いないと思った。

 

 多留真「メリルの指輪って,男の霊魂が宿しているのか?」


 この質問に夏江は正直に返答した。


 夏江「そうとも言えるし,そうでないともいえるわ。もともとは女性だったらしいけど,多留真の体を支配したら,男の気持ちになったっていってたわ」

 多留真「なるほど,,,」


 多留真は,もう下半身が反応しないので,夏江を抱くことを諦めて,今後の夏江の計画を聞くことにした。


 多留真「それで?今後は,どうするんだ?大量殺人犯のモモカは死んだから,当面,夏江の仕事はないぞ」


 夏江はニコニコと微笑んだ。


 夏江「仕事がないっていいことよ。今は,モモカの事件の後片付けをきちんとすることが必要よ。そのためにも,わたし,もう一度,虚道宗に行くわ」


 夏江は,昨日,虚道宗の特弟子から受け取ったメールを多留真に見せた。それは,近々虚道宗で開催される武術大会の招待状だ。その大会に,特別に夏江を招待するという内容だ。


 多留真「なになに?お前の呪符耐性能力を披露してほしい?報償として9品の基呪符をプレゼントしてもらえる? お前,こんな餌で武術大会に参加するのか?」

 夏江「そうよ,悪い?」


 夏江は,虚道宗に行くほんとうの目的を隠した。とにもかくにも,メリルの指輪に魔力を吸わせて延命させるのが最大の目的だ。でも,そんなこと正直に多留真に言う必要はない。


 2番目の目的は,第1師範に借りがあるので,その借りを返すという目的もある。借りを借りたままでは気持ちが悪いからだ。


 3番目の目的は,もちろんプレゼントに目がくらんだことだ。

 

 多留真は,夏江を睨んだが,でも,反対したところで夏江の気持ちを変えることは無理だと思ってただ黙ったままだった。


ーーーー

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