32 双修

 美澪人形が元気を取り戻すのと比例するかのように,夏江の霊体離脱能力もコツを掴んで,20分にまで延長することができるようになった。だが,それ以上はどうしても無理だった。


 そんな頃,夏江は久しぶりに多留真からライン連絡を受けとった。今夜,彼が夏江の部屋に来るという内容だ。夏江にイヤという返事はない。夏江がいろいろと仕事ができるのも多留真のおかげだ。それに,もう,そろそろ多留真のインポも治っている頃だ。夏江は,そろそろ処女を卒業する時かもしれないと思った。


 というのも,夏江が登録した結婚相談所から紹介受けた男連中とは,まったく付き合う気になれなかった。結局,多留真の愛人に身を落とすくらいしかないのかもしれないと思った。



 その日の夜,多留真が夏江のアパートにやって来た。


 多留真は,夏江が以前に準備した夜食を食べてから,本題を切り出した。


 多留真「実は,3日後に札幌出張がある。どうやら,例の北海道で起きている大島やラブホテルでの大量殺人事件の犯人の目星がついてきたらしい」

 

 この言葉に,夏江は目を輝かせた。北海道で起きた事件については,連日,マスコミによる報道合戦が繰り広げられていて,全国民の注目の的になっている事件だった。


 夏江は多留真に肝心な点を質問した。


 夏江「その事件って,やっぱり例のメリルの指輪が関係しているの?」

 多留真「まだはっきりしないが,わたしは大いに関係していると睨んでいる。大島の事件では,大魔法陣が出現したことも判明している。メリルの指輪以外,そんなことができるものはいないはずだ」

 夏江「でも,道警からの応援要請がないと,勝手に操作できないのでしょう?」

 多留真「ああ,そうだ。幸いにも,前日,警視庁長官が

重い腰をあげて,本庁から麻薬取り締まりを担当している小百合部長刑事を道警に出向させることができた。今は,彼女が連続殺人事件の現場指揮をとっている。彼女から,早速,本庁に応援要請が出された。それで俺も札幌に出張に行くって訳だ。フフフ」


 多留真のこの『フフフ』の意味を,夏江は十分に理解した。この『土産』の対価は,かなり高価なものでないと釣り合わないと思った。つまり,自分の処女だ。


 夏江は,多留真にズバッと自分の要求を切り出した。


 夏江「それで?わたしを一緒に連れていってくるの?」


 多留真の返事は,十分に予想されるものだった。


 多留真「お前の態度しだいだ。俺もやっとインポが治ったようだし,そろそろ実際に使ってみたいしな」

 夏江「・・・」


 多留真は,そう言って,夏江を自分の懐に寄せて,服の下から手を突っ込んで,夏江のDカップのおっぱいを強く握った。この動作に夏江は抵抗しなかった。


 多留真は夏江がまったく抵抗せず,かつ,なんら付加的条件を要求することもしないので,調子に乗って,夏江の服を脱がしていった。さらにブラジャーとパンティも脱がした。


 多留真は,夏江の裸体を一通り,触りまくって,夏江の乳首を吸って,指を夏江の膣の中に入れて刺激を与えながら言った。


 多留真「お前をベッドに運ぶ」


 多留真は,この言葉に夏江は軽く頷くだけだと思ったが,意外にも彼女から変な要求をしてきた。


 夏江「テレビの横に置いてある人形も連れていってちょうだい。最近,人形と一緒に寝る習慣がついたの」


 この夏江の要求に,別に違和感を感じることもなく,多留真は同意した。


 人形と夏江をベッドに運んだ多留真は,自分も全裸になって,夏江の体に寄りかかった。


 だが,,,その時,多留真は,夏江の体にそのまま倒れてしまった。


 数秒後,多留真は,体を起こした。


 オーラを見ることができるようになった夏江は,多留真が美澪に憑依されてしまったことをすぐに理解した。

 

 夏江「美澪,あなた,多留真を気絶させて,憑依することもできたの?」

 美澪「はい,どうやら,成功のようですね。多留真さんが,夏江さんを犯すことに意識が集中していたので,多留真さんの霊体を気絶させることは容易でした。それに,男性の体は,構造が簡単なので,憑依して体を動かすだけならさほど時間はかかりません。今,逸物と,腰,手の動きを,完全に支配することに集中しています。もうちょっとお待ちください。夏江さんの処女をやさしく奪ってあげますから」

 夏江「・・・」


 夏江は,まさか,『多留真』にではなく,『美澪』に処女を奪われるとは思ってもみなかった。


 夏江「美澪って,あなた,男の霊魂だったの?」

 美澪「いいえ。生前は女性でした。でも,霊魂状態になってから,もう,そんなことどうでもよくなりました。男の体を憑依すれば,男の気持ちになり,女の体を憑依すれば女の気持ちになってしまいます」

 夏江「そんなものなの?あなたはどれくらいの時間,憑依していられるの?」

 美澪「今では何日でも可能です。でも,憑依された体がそんなにも持ちません。多留真さんも,自分の意思で夏江さんを抱きたいと思うので,1時間も憑依すれば,多留真さんの霊魂を自由してあげます」

 夏江「・・・」

 

 しばらくして,美澪は多留真の性愛に必要な部位の支配を完了した。


 美澪「夏江さん,今から夏江さんを抱きします。いいですね?」

 

 この言葉に,夏江は一瞬迷った。なんで幽霊の美澪に処女をあげないといけないのか?夏江になんのメリットもなかった。


 夏江「それって,わたしに何のメリットもないわ。いくらあたがわたしの子分でも,そこまでしてあげる義理はないわ」

 

 この言葉に,美澪は,大きく首を横に振った。


 美澪「いいえ,夏江さんにとって,そして,わたしにとっても,大いにメリットがあります。今の夏江さんは,すでに高位の霊能力者なみのパワーを持っています。その処女を奪う行為は,『双修』のもっとも基本的なものです!!


 つまり,お互い,大幅に霊的なパワーを引き上げることができる絶好のチャンスなんです。お互い,霊的に優秀な上司と優秀な部下になれるのです!!


 そんな大事な処女を,何の力もない多留真さんにあげるなんて,バカのすることです!!」

 

 『双修』の意味はわからないものの,夏江は美澪の説明に妙に納得してしまった。


 夏江「わかったわ。じゃあ,美澪に処女をあげる。その代わり,わたしに性的喜びを教えてちょうだい。絶頂を味あわせてちょうだい」

 

 美澪に憑依された多留真の顔がニヤッと笑った。


 美澪「お任せください。わたしの性愛テクニックは,超一流です。超,超,気持ちいい状態になりますよ」

 夏江「それって,あなたはすごいテクニッシャンなの?」

 美澪「・・・」


 今度は,美澪が一瞬,黙ってしまった。だって,美澪は,一度,犯されたという経験しかないからだ。そのときに受けた外的損傷が原因で命を落としてしまった。


 美澪は,今度は男性の立場になって夏江を犯す。彼女が知っている愛し方は,美澪が犯されたときの方法しかしかしらない。でも,美澪は,ハビルが他の少女たちにしてきた行為は何度も見てきた。そして,美澪は見様見真似で,その愛し方を行うことにした。


 もしかすると,夏江も,美澪と同様に死亡するかもしれない。でも,美澪は,多留真の勃起した逸物を見て,その可能性は低いと判断した。


 夏江の質問に,美澪は重い口を開いた。


 美澪「はい,経験があります。すべて,わたしに身を任してください」


 美澪は,左手で夏江のおっぱいと乳首を攻め,右手で陰部を攻めた。美澪の霊体は,多留真の肉体を完全に支配してから,彼女の意識も男性に染まってきた。それは,言葉使いが多留真的になったことからも明らかだ。

 

 美澪「夏江,どうだ?気持ちいいか?」


 夏江は,美澪の言葉使いから,美澪の憑依が解除されたのではないかと錯覚するほどだった。


 

 美澪「夏江,わたし,女性の愛し方は,わたしを犯した彼のやり方しか知らないの。ちょっと過激だと思うけど,我慢してね?」

 

 ここに来て,過激と言われても,拒否することもできない。


 夏江「いいわよ。好きにして」


 夏江のこの言葉は,あまりにも軽率だった。


 美澪「じゃあ,いくわよ」


 これから性愛を行うのに,「いくわよ」という言葉は不自然だった。


 パチーン!パチーン!パチーン!ーーー


 多留真の体を操る美澪は,夏江のホッペを思いっきり平手で叩いた。


 夏江は,「え?何?何が起きているの??」とさっぱり分からなかった。


 パチーン!パチーン!パチーン!ーーー


 美澪は,次にDカップのおっぱいを同じく平手で叩き始めた。夏江のDカップのおっぱいは,見る間に赤く腫れ上がっていった。その行為は,10分以上も続いた。


 いい加減,真っ赤になったおっぱいを見て,美澪は,夏江を180度回転させてうつ伏せにさせた。


 パチーン!パチーン!パチーン!ーーー


 今度は,お尻への攻撃だ。同じく平手打ちだ。夏江のお尻がすぐに赤く変わったのは当然だったが,美澪が支配した多留真の手の平も,かなり赤くなってしまった。


 夏江は体中が痛くてこれ以上我慢できなくなり,美澪が支配した多留真から逃れようとした。しかし,うつ伏せ状態なので,うまく逃げることができなかった。


 美澪は,痛さで身をよじっている夏江の体を四つん這いにして,いっきに勃起した逸物をあの部分に挿入させた。


 全身痛さでおかしくなっているところに,一気に処女膜が破壊された。


 この時,夏江は処女を失った。彼女は,全身の痛みの中でも,処女膜が破壊される痛みを感じ取った。でも,その痛みなど,全身の痛みから比べれば取りに足らなかった。


 この性交の行為に移ってから,美澪は夏江を叩く行為を止めた。ピストン運動に移ってから,両手で夏江の真っ赤に腫れ上がったDカップのおっぱいを鷲づかみに爪を立てて握りしめた。爪にあたっている部分から血が滲み出てきた。


 全身の痛みが,夏江から体力を奪っていった。もう,どうにでもしてという気持ちだ。


 この処女を犯す方法は獣魔人族のハビルに似ている。全身に激痛を与える所までは同じだが,ハビルは巨大な逸物持っているところが違う。それを無理やり挿入する際に生じる激痛を軽減させるために全身に激痛を与える。ほとんどの少女で,膣が破壊されて大量に流血してしまう。もっとも,事前に強力な媚薬を与えているので,どのような激痛も,快楽に変えてしまっている。その快楽を感じたまま,大量失血によって,そのまま息を絶えてしまう。


 当時のハビルは,関東地区を担当していていて,少女などいくらでも補充のきくものだった。1割の生存率で十分だった。いちいち回復魔法をかけることもしなかった。

 

 多留真のそれは普通のサイズなので,夏江の膣が破壊される可能性はまずなかった。だから,美澪は夏江の体に虐待行為をしたところで,命までは失うことはない。そのため,よけいに虐待行為に熱が入った。


 パンパンパンパンーー


 ピストン運動に合わせて,10本の爪によって夏江のおっぱいの中に食い込んでいき,血が徐々に流れていった。


 時々,鷲づかみする部位を変えていったので,おっぱい全体から血が滲み出るように流れだした。だが,大量に流れることはなく,しばらくすると血は自然と止まった。


 夏江は,今,自分が何をされているのか,よく分からなかった。全身の痛み,処女膜が破壊された痛み,かつ,それによって,ほとんどの体力を失ってしまい,無抵抗状態で美澪のなすがままにされた。それでも,継続的に続くピストン運動の刺激が,夏江に徐々に快楽的な感覚を与え始めた。全身の痛みもすでに痛みとして感じることはなかった。快楽とまではいかないが,気持ちいい刺激として享受し始めた。


 この時,夏江自身でも気が付かなかったが,夏江は,すでに自分の霊体が肉体から離れてしまっていた。そして,美澪の霊体に引っ張られるかのように,夏江の肉体から多留真の肉体の中に入り,さらに,また,夏江の肉体へと巡回していった。


 その行為こそ『双修』だ。霊体の能力を引き上げる優れた方法だ。


 夏江と美澪の霊体は,あたかも手と手を取り合うかのように,夏江の体と多留真の体の中を何度も巡回していった。巡回するたびに,何か活力が増してきたような感覚を覚えた。


 その間も,多留真の肉体は,条件反射をするかのように夏江のおっぱいを鷲掴みにしてピストン運動を繰り返していった。


 その行為は1時間ほど続いた。


 もし多留真の霊体が自分の肉体を支配していたら,ものの10分もしないうちに射精したことだろう。でも,美澪の霊体が,快楽神経,強いては射精本能を抑えていた。


 でも,とうとう,その射精本能を抑えることができなくなった。それに,スポーツで鍛えた多留真の体も体力的に限界だった。


 美澪は『双修』を中止した。そして,美澪の霊体は傍に置いてある人形に戻った。それと同時に,夏江の霊体も自分の体に戻った。


 美澪は『良心的に』多留真の体の支配を多留真の霊体に返した。


 多留真は,夢から覚めるかのように,自分の意識を取り戻した。彼は自分が,今まさに射精しようとしていることを瞬時に悟った。


 多留真「うっ,ん? で,,,出るーー」


 多留真は,美澪から受け継いだ姿勢,つまり,両手は,夏江のおっぱいを力一杯,鷲づかみで握っていて,ピストン運動をしたままの体勢で,そのまま,夏江の膣の中に射精してしまった。


 そして,,,全身の力を解いて,夏江の体の上に覆い被さった。


 自分の体を取り戻した多留真だったが,1時間近く,激しいピストン運動をした後なので,ほとんど体力を使い果たしてしまい,せっかく体を取り戻したのに,激しい肉体的疲労に襲われて,夏江の体の上でそのまま寝入ってしまった。


 夏江も,ほとんど体力を失っていたが,多留真の体が重たいので,なんとか多留真を横に追いやって,痛みなのか快楽なのかわからない刺激を思い返し,「処女を失うって,こんなにも『痛い』ことなのね?」と妙に納得しつつ,多留真と同じくそのまま寝入ってしまった。

 



 ーーー

 

 

 








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