19 北斗星

 上野駅のトイレの騒動に影響されず,『北斗星』は時間通りに出発した。


 モモカにとっては,寝ることは絶対に大事なことだ。間違っても,座ったまま寝ることはしない。そのため,多少高くても寝台の部屋にした。上下2段が対になっている部屋だ。見ず知らずの4名が一緒の部屋で寝ることになる。


 モモカは,右側の上段の寝台だ。


 すでに同室になる3人がいた。下段を陣取っている2人の男性は,大学生風で友人らしく,旅行のプランを計画しあっていた。上段の男性は,中年風でビジネスマン風だった。パソコンを起動して,何やら入力していて,耳にヘッドフォンをかけていた。寝るにはまだ早いので,カーテンはかけていなかった。


 モモカがこの部屋に入ると,3名の男性は,目の色が変わった。


 そこには,Gカップをした巨乳の若い女性が立っていたからだ。しかも,Vネックの胸元には,おっぱいの谷間がはっきりと見えた。


 モモカは,ここが勝負だと思った。彼らには,指輪の餌になってもらうと決めた。


 モモカは,ドアを締めて内側からロックした。


 モモカ「あの,,,わたし,,,モモカです。あの,,,財布をなくしてしまって,,,その,,,お金がほしいので,,,その,,,わたし,娼婦です。わたしを買ってください。30分,1万円でいいです」


 モモカは,早速要件を切り出した。モモカの声は,イヤホンをしているビジネスマンにもはっきりと聞こえた。彼は,イヤホンを取ってモモカに言った。


 ビジネスマン「それはいいが,この部屋でするのか?他の2名には出ていってもらう必要があるのだが?」


 この彼のことばに,モモカはすぐにどうすればいいかがわかった。モモカは,下段の2名に向かって言った。


 モモカ「では,30分間,外に出てもらうお礼として,わたしのおっぱいを1分ほど触ってください。乳首を吸ってもいいです。それでいいでしょうか?」


 学生風の2名は,お互いに顔を見合わせて同意した。


 モモカは,Vネックのセーターを押し上げて,かつブラジャーを下げた。モモカのGカップが露わになった。


 彼らは,それぞれ片側のおっぱいを両手でもんだり乳首を吸ったりして,至高の1分間を過ごした。そして,ひとこと「ありがとう」と言って,この部屋から出ていった。


 モモカは,ビジネスマンのいる上段の寝台のところによじ登った。上段と言っても,そこは,座っても天井まで30cmほどのスペースがあり,意外と快適な空間だった。


 モモカは,そこで服をすべて脱いで全裸となった。ビジネスマンも,パソコンを閉めて,その他の荷物を奥においやってエッチするスペースを確保した。その後,彼も服をすべて脱いで全裸になった。


 モモカ「あの,,,わたし,エッチはできないです。手でしごいて,口で精子を受けることでいいですか?」

 

 ビジネスマンは,がっかりしたが,できないと言われた以上,やむを得ない。


 ビジネスマン「しょうがないな。そうゆうことは,初めから言うものだよ。では,シックスナインの姿でお願いする」


 モモカは,シックスナイン(69)が何を意味すのか分からなかったが,彼の説明を聞いてわかった。なんてことはない。自分の股間を彼の口に押し付けて,彼の逸物を口で舐める体勢になることだ。


 モモカは,そのシックスナインの体勢になり,指輪をしている手で,彼の逸物をしごきだした。彼は,両手でモモカのGカップの巨乳を鷲掴みにした。あまりにモモカの体がモチモチしていて,良すぎたためか,30秒後には射精してしまった。そのタイミングを,モモカは決して逃さなかった。


 モモカは,彼の精子をすべて口に含んだ。そして左の手の平でそれを吐き出した。指輪は,その精子を吸収していった。モモカは指輪を萎んだ逸物にさらに接触させた。


 1分後,,,彼は体力を奪われて,その場で気絶した。モモカは,隅に追いやられたビニール袋を持ってきて,中身をすべて取り出して空の状態にした。そして,右からの手をそのビニール袋に入れた。


 モモカは,彼の手首の部分を思いっきり噛み切った。


 ブッチ!


 そこから血がビニール袋に中に飛び散っていった。


 血が溜まっていくのを確認して,その中に指から外した指輪を放り込んだ。指輪はどんどんと効率よく血を吸収していった。


 その間,モモカは彼の持ち物をチェックして,財布から現金10万円を奪い自分のリュックサックの中に入れた。


 10分もしないうちに,血が出なくなった。出るべき血は出てしまった。モモカは,充分に血を吸った指輪をもとの左手の薬指にはめて,彼に服を着せた。


 モモカは,彼の遺体の始末をどうするか悩んだ。いずれ車掌さんが着て,切符のチェックに来る。せめて彼の切符を見やすいところに置いておけば,勝手にチェックされて遺体に気づく可能性は低いと思った。モモカは,彼の切符を見つけて,車掌が見やすいような場所に置いた。


 そうこうしているうちに,部屋の外でぶらぶらして時間を潰した大学生2人が戻ってきた。彼らは,思い切って1万円を出してモモカを抱くことに決めた。


 ドアから「コンコン」と音がしたので,モモカは内側のロックを外してドアを開けた。案の定,大学生2名だった。彼らは,部屋の中に入るなり,いきなりモモカに本題を切り出した。


 大学生A「おれたちもあんたを抱きたい。2人で2万円だ。これでいいか?」


 大学生Aは2万円をモモカに渡した。モモカはそれを受け取って,軽くうなずいた。


 大学生A「おれたちは,一緒にあなたを抱きたい。だから,2人で1時間でお願いしたい」

 モモカ「いいですよ」

 大学生A「上の寝台にいる人に,部屋から出ていってもらいたいのだが?」

 モモカ「いや,今,彼は疲れてしまって熟眠状態なので,ちょっとやそっとでは起きないでしょう。そんな心配は不要です」

 大学生A「そうか,それならいいが」


 大学生Aは,ドアのロックをかけた。


 モモカ「あの,手順としては,まず,シックスナインの体勢で,わたしがあなたのあそこをなめて,一度,精子を出してもらいます。次の人にも,同じことをしてあげます。精子を出したところで,あなた方は若いので,またすぐに回復するでしょう。その時は本番になります。その手順でお願いします」


 大学生たちは,その手順でまったく問題なかった。


 大学生A「では,よろしくお願いします」

 大学生B「わたしもよろしくお願いします」


 モモカ「では,あなたがたは,それぞれの寝台で,全裸になってください。カーテンは,締めたほうがいいでしょう。どちらが先ですか?」

 大学生A「わたしが先です」

 モモカ「わかりました」


 大学生たちは,それぞれの寝台のところで全裸になって,カーテンを締めてモモカを待った。モモカは,その場で全裸になって,順番が先の大学生Aのカーテンを開けて,覚えたばかりのシックスナインの体勢で,彼の体を覆った。


 それからの作業は,まったく同じだ。予想通り,1分もしないうちに射精したので,口で受け取り,それを指輪に吸収させた。その後も,指輪を彼の体にあてて,彼を気絶させた。


 モモカは,次の学生も同様にして気絶させた。次にすることは血を指輪に吸わすことだ。歯で手首を噛み切るのは,なんか後味が悪かった。そこで彼らの荷物をまさぐっていると,折りたたみ式の果物ナイフを見つけた。


 モモカ「これで作業が楽になるわ」


 モモカはそう呟いて,大学生Aのカーテンを開けて,きれいなビニール袋の中に右手を入れてから手首を切った。ビニール袋の中に血がどんどんと入っていった。その中に外した指輪を入れて,彼の寝台に腰掛けて一息入れた。


 モモカ「ふーー,やっと一息,つけるわね。なんか,殺人というより,作業をしているみたいだわ」


 そんな独り言を言って,ふと,顔を正面に向けると,,,


 モモカ「えっ?!」


 モモカは,心臓が止まるほどびっくりした。気絶しているはずの大学生Bが,顔をモモカの方に向けて,目を開けていたのだ。しかも,携帯でモモカの様子を録画していた。


 超やばい状況だ。大学生Bを再び気絶させるにも,今,指輪はビニール袋の中だ。果物ナイフで彼を殺そうにも,細腕のモモカでは無理だ。


 モモカは,指輪にこのピンチを切り抜けるようお願いするしかないと思った。モモカは,血が溜まっているビニール袋の中の手を突っ込んで,指輪を取り出そうとした。


 大学生B「動くな!それ以上動くと,この動画をすぐに公開するぞ!!」


 大学生Bの声は,聞こえるか聞こえないかの小さな声だった。でも,はっきりとモモカに聞こえた。


 この脅し文句に,モモカの動作は止まった。モモカは,どうすることもできず,動きを止めた。


 大学生Bとしても,ほとんど体力がない状況だ。幸い,意識を失ったのは,ほんの数秒間だけで,すぐに意識を取り戻した。彼は,モモカがまさかわれわれを気絶させて,殺そうとしていることにびっくりした。彼が今できることは,なんとかこのピンチを抜け出すことだ。


 彼はこの録画データのおかげて,モモカの行動を停止させることに成功した。


 だが,まだ安全ではない。いつなんどき彼がふたたび気絶するかもしれない。彼は,なにやら携帯を操作した。


 数分後,,,


 彼の携帯の操作は終了した。その間,モモカはなんの行動もできなかった。データをアップさせるのは,ボタンひとつ押すだけでいい。もし,携帯をすぐに奪えなかったら,一環の終わりだ。


 大学生Bは,聞こえるか聞こえないかの声でモモカに言った。

 

 大学生B「今,信頼できる友人に,お前の犯行現場のデータを送った。24時間以内に,わたしから連絡がなければ,警察に転送するように依頼した」

 

 モモカ「・・・」


 大学生B「俺を殺すな。俺が生きている限り,この録画データは警察に渡らない」


 大学生Bはそう言ってふたたび気絶した。


 モモカは,彼の携帯を奪ってラインを見ようとした。しかし,パスワードがかかって,中身を見ることができなかった。


 モモカは,彼を殺すメリットと殺さないメリットを比較しようとした。でも,考えてもモモカの頭脳では正解は出てこなかった。それでも,この後どうすればいいかはすぐにわかった。


 モモカ「ふん,別に警察に録画データがわったところで,一日後でしょう? フェリーかなんかに乗っている頃だわ。化粧でもすれば,本人だとわからないはずだわ」


 このような発想はモモカにはなかった。前世のメリルやイジーラの発想に近いものだ。モモカの考え方は,徐々に『邪悪な』メリルやイジーラの考え方に汚染されつつあった。


 モモカは,大学生Aの血を吸い取った指輪を,ふたたび大学生Bの体に接触させて,ふたたび目が覚めないようにした。


 そして,彼の手首を切って血を集めて指輪に吸収させた。


 大学生Bの必死の抵抗は,残念ながらから振りに終わってしまった。


 今のモモカは,殺人を犯したところで,まったく罪の意識を感じない。 モモカの考え方のベースはイジーラの思いだ。変態的な思いだ。兄のセイジを脱獄させて,彼の性奴隷になって,虐待され,愛欲に溺れ,廃退的な人生をいつまでも送るのだ。


 そのためには,絶対的なパワーが必要だ。何人殺そうがかまわない。警察に追われようがかまわない。

 

 

 指輪に血を吸わしている間,モモカは,自分の携帯でネットをチェックした。すると,速報として,上野駅のトイレでの死傷事件が大見出しで出ていた。


 その事件は,『上野駅トイレ爆破事件』と名付けられて,死者2名,負傷者5名を出す大事件となっていた。しかも,容疑者の顔も写真でアップされていた。それは,死亡した2名の被害者と一緒に男子トイレに入っていく女性の姿だ。残念ながら映像が不鮮明で顔までははっきりとわからないが,モモカがそれを見ると,間違いなく自分の姿だとわかった。


 モモカは,その情報を見ても,あまり動じることはなかった。モモカは,自分でもどうしてこんなにふてぶてしくなるのかと,不思議だった。


 コンコンコン!


 「車掌です。切符を見せてくださーい」


 車掌が切符のチェックに来たようだ。モモカは慌てて返事した。


 モモカ「今,着替え中なので,10分後にまた着てください」

 車掌「では,また後で」


 モモカは,一息ついた。これでは,ほかの部屋に行って殺人するのは,ちょっと無理かもね。


 モモカは,自分の服を着て,他の3名の切符を探し出した。しばらくして,また車掌がきたので,4人分の切符を見せた。車掌は,なんら不思議がらずに,切符のチェックを終えて去っていった。


 モモカは,これ以上,危険を犯すことを避けた。モモカは,自分の寝台に戻って寝ることにした。


 




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