第13話 茜の献身,,,

ー メーララの教団本部 ー


 教団本部には,特別な部屋がある。急遽,茜のために作った部屋だ。ダブルベッドよりもさらに大きいベッドだ。川の字に寝れば,10人は余裕で寝れる広さだ。


 茜は,そこに全裸で横になってる。両方で30kgにもなるおっぱいは,さすがに重くて,一日中,寝ているほうが楽だ。でも,妊娠しているので,おっぱいが張って困ってしまう。『吸う』という刺激があれば,どんどんと母乳が出てくるのだが,その刺激がないと,乳首から滲み出るもの,おっぱいが張ってきてどうしようもない。


 茜は,どうしてこんな超巨大なおっぱいになってしまったのか?


 それは,茜なりの生き残り戦略があった。茜は,千雪に自分に対して飽きさせないように,毎日,少しずつおっぱいやお尻を大きくしてもらった。それが『千雪の正妻』としての地位を確保するための戦略だった。


 毎日0.5kgずつおっぱいを大きくしてもらい,2ヶ月あまりで,茜のおっぱいは30kgにもなるZZカップになってしまった。乳首に至っては,直径5cm,長さ10cmにもなった。お尻まわりも140cmにまでなってしまった。茜は,千雪に『いきつくところまで肉体改造をしてください』とお願いしていた。千雪も,茜の超ふくよかな脂肪の塊に全身が包まれるのが好きだった。だから,当分は,茜の『千雪の正妻』としての地位は安泰なはずだった。


 だが,ハプニングが起きた。カロックと野外訓練中の浮気がバレてしまった。それを見抜いたのはメーララだ。メーララの超精細なオーラ観察能力をもってすれば,浮気など,現行犯でなくても一瞬でばれてしまう。オーラの微妙な変化さえもメーララにかかってしまえば見逃されることはない。その結果,千雪から勘当同然の待遇を受け,精子収集装置の『あずさ』を取り下げて,代わりに茜を本番込みのAV女優にさせられたのだ。


 この千雪のアレンジに,カロックは内心怒った。だが,その決定に誰も文句は言えなかった。メーララが何やらニヤニヤしていただけだ。メーララだけは,いずれ茜を自分のいいなりにするもくろみを持っていて,金のなる木になるだろうと予想していた。


 千雪の嫉妬心の強い性格を充分に知り尽くしてしるメーララにとって,茜の浮気をバラすことで,茜がどんな運命が待ち受けているかなど,容易に想像できる。


 ただ,見抜けなかったのは,カロックの対応だ。本番で茜を抱いた男優が,その直後から,つぎつぎと雲隠れするかのように消滅していった。


 カロックがやつらを強制転送させたのだ。それも,地中の中にだ!!それで,一瞬にして死亡させてしまった。なんとも厳しい処刑方法だ。すでに,1000人以上もの男優が消滅してしまった。男優の疾走事件の噂が拡がり始める頃に,茜はAV女優をやめて,超現象調査室の専属となった。AV女優を辞めるタイミングとしては,ちょうどよかったのかもしれない。


 

 茜の部屋は,内側から外側を見れないが,外側から茜の姿を見ることはできる。トイレやシャワーは,この部屋の中にある。それに,至るところに,高精度の望遠ビデオカメラが映し出されていて,有料会員は,オンラインで茜を見ることができる。


 メーララの部下たちが,1000万円で抱く客を探したところ,なんと10名も集まったのだ!!


 彼らには共通点があった。ホスピスの患者だった。余命1週間から1ヶ月だ。とても,茜を抱く精力はない人たちだ。


 でも,メーララは彼らに奇跡を与えた。一時的にでも,茜を抱けるほどの体力を与えることだ。メーララには,オーラを見る意外にも,いつくかの優れた能力を持っている。そのひとつが,超がつくほどの回復魔法だ。一時的に体力を回復させることなど容易なことだ。


 最初の客は,ネルグという73歳の末期ガン患者だ。モルヒネを打って,痛みを抑えている状況だ。ネルグはメーララに確認した。


 ネルグ「ほんとうにこの女性を思う存分,抱けるようになるのですか?」

 メーララ「なります。ただし,残りの寿命をすべてこの一瞬のために凝縮します。つまり,茜を抱いたら,あなたはたぶんすぐに昇天するでしょう」

 ネルグ「まったく,かまいません。このままだらだらと死を迎えるくらいなら,AV界の女王である茜さんを抱いて,死にたいです」

 メーララ「では,自分のすべての財産をこの協会に寄付するという遺言を,弁護士の立ち会いのもとに書いてください。弁護士はすでにこちらに準備しています。それと,ここで死んでも安心してください。すぐに医師が死亡証明を発行しますし,教団側できちんと埋葬させていただきます」


 ネルグ「はい,ありがとうございます!ありがとうございます!!」


 法的な手続きが済んだと,メーララは,ネルグに特殊な回復魔法をかけた。ネルグの持っているすべての精力を,この一瞬に集中させることで,一時的に体力を回復させるものだ。それに加え,事前に朝鮮人参とニンニクエキス,その他,冬虫夏草などの漢方薬の滋養強壮成分の濃縮薬を飲んでもらうことで,多少ではあるが精力を増強させることができる。


 ちなみに,この濃縮薬は,ある程度体力が回復すれば,1回くらいは射精できるほどの体力がつくというすぐれものだ。100万円以上もするが,ネルグの資産は1億円以上だ。100万円など安いものだ。


 メーララは,回復魔法を発動させた。


 ボォーーーーー!!


 ネルグの痩せこけた体ではあったが,体力が回復していき,かつ精力も回復していった。ネルグの男性自身が反応し始めた。


 ネルグ「え?お?おおーー!! 10年以上も勃起していなかったあそこが,反応した!!」


 ネルグはメーララに感謝した。


 ネルグ「メーララさん,死ぬ前にここでお礼を言っておきます。ほんとうに,ほんとうにありがとうございました。あなたが,教祖様でよかった。これからも,このような善行をすすめてください」


 ネルグは,メーララに深々と頭を下げた。


 メーララ「あなたが,真面目に生きてきたから,このような徳が得られたのです。茜を抱いたら,茜にもお礼を言ってくださいね。彼女は,無料奉仕で頑張っているのですから」

 ネルグ「な,なんと,無料ですか,,,それは,ほんとうに申し訳ない。わかりました。いつ死んでもいいように,抱く前に,お礼を言っておきます」


 ネルグは,メーララに最後の挨拶をしたあと,茜の部屋のドアを開けて,中に入っていった。


 ネルグは,ベッドで横になっている茜に挨拶した。


 ネルグ「わたし,ネルグといいます。73歳。末期ガン患者です。余命は,あと30分もないかもしれません。茜さんを抱いたら,死ぬと思います。メーララさんから奇跡の力を授かりました。それは,最後にあなたを抱けるだけの体力です。茜さん,こんな痩せこけた老いぼれですが,どうか,抱かせてください。死ぬ前に最高の思い出をください。お願いします」


 ネルグは,深々と頭を下げた。


 茜「そうでしたか,,,わたしのこの超巨乳でも,あなたの人生にとって,役立つのですね。よろこんで抱かれましょう。あの,,,こんなこと,言うの失礼かもしれませんが,前戯は不要です。先にわたしを抱いてください。いつ死んでもいいように。その後で,おっぱいを吸ってください。おっぱいが張ってしかたないのです」


 ネルグは,嬉しくて涙が出てきた。


 ネルグ「はい,喜んで。ちょうど今,勃起しています。一発,やらせていただきます」


 ネルグは,人生の最後の力を振り絞って茜を抱いた。一発することができた。それは,挿入時間として30秒も満たないものだった。でも,ネルグにとって,最高の時間だった。


 ネルグは一発したあと,茜に膝枕をしてもらった。そして,茜は,なんと,直径5cm,長さ10cmにもなる乳首を口に含まされた。


 茜「ネルグさん。どうか乳首を吸ってください。この乳首,異様に大きいけど,吸う分にはなんとか吸えると思います」

 ネルグ「茜さん,,,嬉しいです。人生で,こんな幸せがあっていいものでしょうか?茜さんにも,幸せが訪れますように,,,,」


 ネルグは,その後,おっぱいを吸っていったが,その力は,だんだんと弱くなっていった。そして,とうとう息をしなくなった。


 ビデオ室に控えている医師は,その様子をモニターで見ていた。明らかに昇天した状況だと判断した。


 医師は,茜の部屋に来て,ネルグの心臓の鼓動などを確認した。


 医師「ご臨終です」

 茜「この方は,満足して死んでいったのですね?」

 医師「はい,この方にとって茜さんは,天使のような存在だったと思います」

 茜「そうであれば,こんな汚れた体のわたしでも,とても嬉しいです」


 茜と医師は,慰霊に手を合わせた。


 ほとんどの客は,このようなホスピス出身の客だった。だが,中には健康な男性もいた。


 教団側の布教員が,高級料理店や,一流ホテルの宿泊客などで,茜のビラ配りをしていて,ひっかかった客だ。名をヒナルという。まだ34歳だ。彼は,宝くじで5000万円当たって,ちょうど何に使うか,思案していたところだ。


 その時に,1000万円でAV女優の茜を抱けるというビラを入手して,迷わずそれに応募した。


 ヒナルは,教団本部に来て,小会議室に通された。そこで,教団に入信するという誓約書を書かされた。それを書かないと,茜を抱けない。


 ヒナルは,その10ページもある細かな入信の際の項目などよく読まなかった。表現が遠回しの感じで,一回読んだだけでは,よくわからない内容だった。でも,茜を抱きたいので,その誓約書にサインした。


 教団側の幹部は,今は,元SART(特殊攻撃機動隊)のスタッフだった3人組の美月,美沙,美桜がなっている。教団側で利益をあげると,その2割が千雪側に還元される仕組みだ。


 細かな事務手続きをしているのは美桜だ。美桜はナヒルが書いた入信書を受け取った。


 美桜「では,寄付金をお願いします」

 ヒナル「寄付金?」

 美桜「茜さんを抱くのは無料です。でも,寄付金として1000万円以上が必要です」

 

 ヒナルは,それを聞いて納得した。ヒナルは,携帯を出して,銀行口座アプリを起動して,寄付金1000万円を振り込んだ。美桜も,携帯で入金を確認した。


 美桜「ありがとうございます。入金を確認しました。では茜さんの部屋に案内します。時間は2時間ほどです。コンドームはきちんとつけてくださいね」

 ヒナル「わかった。問題ない」

 美桜「それと,ことが終了したら,その角にある魔法陣の中心部に立ってください」

 ヒナル「あれは何かな?」

 美桜「浄化装置です。魂を清めるものです。1分ほど,じっとしているだけでいいです。あっ,そのときは,この部屋を内側からロックして,裸で何も持たない状態で立ってください。いいですね?」

 ヒナル「了解した」


 ー 茜の部屋 ー


 ヒナルは茜の部屋に入った。茜は,おっぱいが張って苦しんでいた。茜が若い男性のヒナルを見て,喜んだ。


 茜「うううーー,お客さん,すぐに裸になってください。乳首をすぐに吸ってください」

 ヒナル「わ,わかった」


 ヒナルは,すぐに裸になって,茜の5cm長さ10cmにもなる乳首を口に咥えて吸っていった。


 チュチュチューー


 母乳は最初は,あまり出なかったが,吸われる刺激でだんだんと勢いよく出るようになった。ヒナルは,最初こそ,よかったが,200ml,500mlと,だんだん吸う量が多くなっていくと,もう限界になってしまった。


 茜「すいませんが,もう片方のおっぱいも吸ってください」


 そう言われては,無理にでも吸わないといけない。


 ヒナル「わかった。もうお腹いっぱいだが,なんとか,吸ってみよう」


 ヒナルは,無理してもう一方の乳首からも母乳を飲んでいった。


 ヒナル「うっ,うううーーー,ゲェーーーーー!」


 ヒナルは,限界だった。慌てて部屋の角にある便器の蓋を開けて,今しがた飲んだ母乳を吐いた。ひとしきり,吐いたあと,なんとか少し体が楽になった。


 ヒナル「あの,,,もうエッチしていいですか?」

 茜「あ,はい。どうぞ,してください。おっぱいを無理やり吸わせて,ごめんなさいね。とても楽になりました」

 ヒナル「いいえ,いいんです。でも,ほんとうに,AV女優の女王,茜さんなんですね。茜さんのビデオ,全部見ていました」

 茜「ふふふ,ありがとう。そんなこと言われるの,久しぶりだわ」

 

 ヒナルは,逸物を勃起させようとした。だが,吐いたせいなのか,すぐに勃起しなかった。それでも,無理やり刺激を与えると,なんとか勃起したので,コンドームをしっかりとして,なんとか性行為を行うことができた。気持ち良すぎて,1分で射精してしまった。


 ヒナル「こんなこと聞いて失礼ですが,茜さんは,この仕事して,いくらくらい儲かるのですか?」

 茜「わたし,無料奉仕です。1週間,お客様を相手にしないといけないみたい。でも,食事と寝るところはついているから,別にお金がほしいわけじゃないの」


 茜は,そう言って悲しい顔をした。


 茜「でも,好きな人に見捨てられて,,,AV女優にさせられて,娼婦のマネごとをさせられて,,,おっぱいは,いつも張ってしまって,痛いし,この生まれて来るお腹の子供が不憫で不憫で,,,」

 

 その話を聞いてヒナルは,何か感じるものがあった。


 ヒナル「あの,,,俺でよかったら,一生,茜さんの面倒をみます!!結婚でも,なんでもいいです。一生,面倒をみさせてください」


 その言葉を聞いて,茜はちょっとうれしくなった。


 茜「ふふふ。そうね,,,ありがとう。あなたがもっと,強かったら良かったのにね。わたしにあまり関わってはいけないわ。わたし,嫉妬心の強い人達に囲まれて生きているから,,,,」


 茜は後半の言うべき言葉を濁した。


 ヒナルは,この意味が理解できなかった。その後,なんども『一生面倒みます』,『わたしと一緒になってください』,『子供も面倒をみます!』と茜に迫ったが,やんわりと断られた。


 ヒナル「今日のところは引き下がります。また,近々,お邪魔します」

 茜「楽しみにしているわ」


 ヒナルは,茜を一生大切にすると心に誓って,新しい人生の目標に向かって生きていくことにした。


 ヒナルは,茜の部屋から出て,小会議室に戻り,内側から鍵をかけて,全裸になった。言われた通り,角にある魔法陣の中心部に立った。


 ヒュ~ーーーン!


 魔法陣が光った。そして,ヒナルはその場から消えた。ヒナルがどうなったのか,,,それは,この魔方陣を設計したカロックしか知らない。


 カロックは,茜を抱いたあと,生きて戻ったものには,この浄化魔法陣に立たせるようにと,教団幹部の3名に言いつけていた。メーララだけは,それが何を意味するかを理解していたが,何も言わなかった。なんと言っても,直接的な戦闘力では,カロックはこの組織では,千雪やサルベラに匹敵するほどの強者だからだ。


 小会議室には,高精細なビデオカメラがある。その映像を見れば,さきほどヒナルが打ち込んだ銀行ソフトのパスワードがわかり,ヒナルの携帯から銀行口座の送金をすることができる。


 その役目は,ハッカーの美沙だ。美沙は,小会議室の合鍵で部屋の中に入り,携帯で管理しているお金のすべてを,教団の口座に送金していった。


 美沙「たったの4200万円ぽっちか,,,しれているわね」


 美沙は,携帯の電源を切って,いつものように携帯廃棄用のボックスに投げ入れた。すでに,20台以上もの携帯がそこにあった。


 茜は,この1週間,無料奉仕だったが,教団側の収入は,10億円以上にものぼった。その2割の2億円は,アカリが財務管理している千雪側の収入,つまり,『千雪商事』の収入になる。つまり,教団が受ける利益の2割は自動的に千雪商事に還元される契約だ。



 尚,茜が奉仕すべき1週間の期間が過ぎた後,茜には2本の犯罪のビデオから得られた情報を夏江に伝えるという役割があった。だが,そんなことは,茜はすでに忘れてしまっていた。


 その1週間が過ぎても,茜は客を取った。ただし,ホスピス患者だけだ。死に間際の患者に,最後に最高の幸せを与えるという仕事が,茜はとても気に入った。そのため,1日1名だけなら,仕事に支障は来さないので,そのまま仕事を引き受けることにした。


 それに,茜には,もう魔力を抑える封印はされなかった。絶頂を感じても魔力暴走を起こすことはないとカロックが判断したからだ。なんだかんだ言っても,カロックは理由をつけて茜を野外訓練に連れ出していたので,そんな判断ができた。


 

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