第10話 捜査許可願い

 ーーー

 超現象捜査室では,夏江は,水香を誘拐した犯人たちの殺害案件について,捜査許可願いの書き直しをしていた。


 1回目に書いた内容は,室長に却下された。月本語がなっていないこと,なんでこの部署が捜査しなければならないのか,さらにα隊にはできなくて,超現象捜査室ならできる,というアピールポイントがない,と鋭く指摘された。


 夏江はさらに1週間かけて,α隊の組織と機能を調べた。それと同時に,超現象捜査室のメリットを探した。でも,室長に聞いても,さっぱり答えは出てこなかった。


 夏江は,多留真から茜を捜査に組み込め,というアドバイスを受けている。そのため,茜の特殊能力について聞いた。


 夏江「茜の特殊能力って何かあるの?」

 茜「特殊能力?そうね,,,わたし,精子まみれになることができます!」


 この答えに,夏江は絶望を感じた。でも,絶望してなんかいられない。気を取り直して,具体的な能力を挙げて,その有無を聞いた。


 夏江「茜は,人のオーラを見ることはできるの?」

 茜「いいえ,まったく」


 でも,これは嘘だ。ある程度は,見ることができる。でも,中途半端なので,見れないと返事することにしている。


 夏江「何か,すっごい能力はないの?透明になるとか,空を飛ぶとか?」

 茜「いいえ,まったく」

 夏江「じゃあ,火を噴いたり,風をお越したりできないの?」

 茜「いいえ,まったく」


 これも嘘に近い。すでにS級レベルの火炎魔法や爆裂魔法が使える。でも,口から火を噴くことはできないし,風魔法もまだ習得していないので,できないと返事したまでだ。


 夏江「茜は,じゃあ,何ができるの?」

 茜「そうね。この両方で30kgにもなるZZカップのおっぱいで,殿方のあそこを昇天させることくらいでしょうか?」


 夏江は,また,絶望的な気持ちになってしまった。


 茜は,その後,ぽつんと思い出したように言った。


 茜「でも封印が解かれたら,少しはできるかもしれません」

 夏江「封印?何,それ?」

 茜「私もよくわかんないです。わたしが絶頂に達してしまうと,わけがわからない何かが漏れるみたいで,男優に迷惑がかるそうです。それで,カロックさんが封印を施すんです」

 夏江「事実関係は,重要ではないわ。つまり,封印が解ければ,超すごい能力が使えるってことね?」

 茜「いいえ。でも,火炎魔法や爆裂魔法くらいなら使えます」

 夏江「ヤッター!α隊にない優位点を見つけたわ!!」


 夏江は,超嬉しかった。そこで次のような誇張した表現で作文した。


 『茜に施された封印が解ければ,人のオーラを観察することができ,かつ霊魂を識別でき,死んだ霊魂と対話ができる霊能力になることができ,かつ,山をも吹き飛ばす火炎攻撃ができ,空を自由に飛びまわるような超人になることができる。その力を借りることで,α隊でも解決できないような超現象殺人事件を,快刀乱麻のごとく解決することが可能となる。水香に関わって死んでいった人たちの死因についても解明することが可能となる』


 というような文案だ。


 夏江はこの文案を室長に見せた。その文案を見て,室長は一笑に付した。


 室長「夏江,お前は警察学校でもトップクラスだったのだろう?なんで,こんな小学生でも騙すことのできない文章を書くんだ?せめて,わたしを騙せないと,長官を騙すことはできないぞ。それに,封印って,いつ解けるんだ?せめて,そこを明確にしなさい。それと,もっとトーンを下げて,現実味を込めなさい。会議まであと1週間しかないぞ。わたしに恥をかかせないでくれ」


 室長の意見は,否定的なコメントだったが,それでも光明が見えた。


 封印さえ解ければ,仕事ができる!


 夏江は,茜に封印を施したというカロックに会わせてもらうようアレンジをお願いした。茜は,千雪邸の住人の中でも,一番,忙しいスタッフだ。特に,『あずさ』に代わる『アダルトビデオ・アイドル』として,デビューして以来,休みなしでアダルトビデオの撮影が入っている。

 

 週2回の超現象捜査室の仕事も,週1回に変更をお願いせざるをえない状況だ。それに,超現象捜査室に来た後は,カロックと一緒に,野外に移動して魔法の実地訓練もある。最初の頃は,ゴーレムの千幸の体で訓練をしていたが,最近は人間の茜の体で訓練をしている。訓練以外のときは,封印をしないと,魔法制御のあまい茜は,絶頂を感じてしまうと,魔力暴走を起こしてし,多数の死人が出る恐れがある。


 夏江は茜からこのあとの予定を聞きいた。それによると,カロックが警視庁の裏門の人気のない場所で待っていて,その足で野外訓練場に移動するとのことだ。


 夏江は,人にものを頼むときは,現金がものを言うことを知っている。


 夏江「室長,必要経費10万円出してください!それで,茜の封印が解けます!!ビデオカメラで,茜の能力を録画します!」


 室長は,茜が普通の人間だと思っている。もともと,千雪の慰め者としてあてがわれた女性だ。そんな奇想天外な能力などない。でも,10万円くらいなら,ダメ元で出してもいいと思った。


 室長「わかった。じゃあ,10万円だけだぞ。うまく録画できなくても気にするな。熱意が伝われば人は動く」

 夏江「はい室長!」


 夏江は,10万円を受け取った。


 ーーー



 ー 警察庁の裏門 ー


 夏江は,警察庁の裏門の人気のない場所でカロックと会い,彼から10万円で茜の封印を解き,彼女の能力の一部を録画することで同意を得た。もともと,大したことのない情報だ。カロックにとっては,ちょっとだけ茜の魔法を見せることで10万円もらえるならありがたい話だ。


 夏江は茜と一緒に,野外訓練所に転移された。カロックは,茜の封印を解き,火炎魔法の訓練を開始した。茜は,すでに上級を越えて,S級レベルに達していた。


 その威力は,一般人の夏江が想像するよりも,はるかに驚くべきものだった。茜の火炎魔法の威力をビデオで録画しながら足が震えた。


 夏江『わたしって,いったいどんな世界に足を踏み入れたのかしら,,,』


 そんなことを思っていた夏江は,カロックから,これ以上の録画を禁止すると通告を受け,有無を言わさず,夏江だけ元いた警察庁の裏門に強制転送された。


 夏江「え?あれ?いつの間に??」


 夏江は,録画ボタンがオンのままになっているビデオカメラをオフにした。未だに,足が震えていた。


 夏江「ちょっと,,,茜って,ほんとうに化け物だったの???」


 夏江は,独り言を言いいながら,超現象捜査室に戻った。



 ーーー


 その1週間後,警視庁長官を交えた『水香関連死亡事件に関する報告会』の会議でプレゼンを行う日が来た。


 その会議には,警視庁長官は当然のこと,長官秘書,超現象捜査室室長,治安特別捜査部α隊隊長,特殊攻撃機動隊(SART)隊長,殺人課部長,多留真らが出席していた。


 この会議では,夏江のプレゼンテーションを聞いて,夏江が提案する案を採決する会議だ。


 夏江は,まず町のチンピラ5人が,水香を誘拐して犯そうとした5名の内,3名が気絶したビデオを見せた。


 その後,夏江はゆっくりと口を開いた。


 夏江「このビデオを見てもらえれば分かると思いますが,水香の体に触って1,2分で気絶しています。それに,ビデオを詳しく見てもらえれば分かりますが,水香の左手に指輪をしています。別に,指輪が珍しいわけではありません。でも,何度もこの気絶する時の映像を見ましたが,どうも,指輪を男たちの体に接触させるような動作をしているようにもみえます。

 おそらく,水香は,未知のパワーを宿した指輪を入手して,正当防衛の行動,つまり,相手を気絶させるという行動に出たのだと推測されます。


 さらに,連日,実名で報道されている通り,水香を犯した連中が,次々に突然死するという奇っ怪な事件についてですが,これも,指輪によるパワーではないかと考えています。


 指輪には,何か呪詛的なパワー,もしくは,われわれの理解不能な悪霊による仕業,などなど,超現象的な事象を挙げれば,きりがないでしょう。


 ですが,この未知の現象に詳しい組織があります。2箇所ほどあります。そのひとつが『千雪組』です。

 かつて,この国を恐怖に陥れた悪魔集団と言ってもいいかもしれませんが,現在は,友好条約を締結しており,良好な関係が築かれています。この千雪組に正式に仕事を依頼することも可能ですが,億というお金が必要だと聞いています。でも,もっと,経済的な方法があります。


 それは,われわれ超現象調査室で非常勤で働いている茜の活用です。このビデオを見てください」


 夏江は,茜の火炎攻撃魔法の映像をスクリーンに流した。そして,ププレゼンを続けた。


 夏江「茜のこの能力は極秘情報です。ですが,わたしを信用してくれたカロックという魔法使いが,茜の能力の一部を公開してくれました。その後の情報から,どうも,茜は,この世界の人間ではなく,カロックと同じ世界から来た人間だということも判明しました。


 つまり,茜は,超現象を解明するだけの背景知識だけなく,その能力も持っていまると思われます。また,千雪に愛されていることから,千雪の仲間の協力も受けられやすいでしょう。そして,わたくし,夏江は,その茜に絶大な信用があります。


 つまり,茜・夏江ペアを組むことで,超現象による解明不明な殺人事件を,α隊やSARTの皆様と協力しながら,原因究明をしていきたいと考えております。そうすることで,未知の正体,つまり,未知の指輪の正体を明確にすることも可能にするのではないかと考えています。


 そのために,まずすべきは,茜を今の非常勤から常勤の勤務体勢に変更させていただいたいと提案させていただきます」


 ここまで説明した後,α隊隊長から質問が出た。


 α隊隊長「茜については,この世界の人間ではないことは,千雪側から情報を得て私も知っている。ビデオで紹介されたような火炎攻撃については,やつらの世界では,別に大したことではない。それができたところで,超現象や未知のパワーの正体を解明できるとは思えん。茜に他の能力はあるのかな?」

 

 ずばり,厳しいところを突かれた。ここで,嘘をつくと,後でひどい目に会う。だが,室長から助け舟が出された。


 室長「茜さんの能力については,千雪側でも全貌を知っているのは,カロックさんだけのようです。その能力はまだ開示されていません。今後,茜・夏江ペアが一緒に仕事をする中で,茜の能力が少しずつ解明されるのではないかと思っています。ここは,夏江の手腕に期待したいと思います」

 部長「夏江は,殺人課にいた時は,コミュニケーション能力や審問能力では,殺人課の中でも,申し分ないレベルと言っていいでしょう。警察学校での成績もトップクラスです。夏江であれば,茜さんとうまくやっていけるのではないかとわたしも期待しています」


 夏江擁護派からの発言が飛び出した。


 SART隊長は,別にどうでもいいので発言しなかった。秘書からは、金銭的な面で報告があった。


 秘書「千雪組から,茜を常勤として勤務させるのであれば,現行の契約を解除して,新しく雇用契約をしてほしいとの要望が来ております。これまでは,1日4時間,週2日勤務で月額30万円でした。これを機に,1日7時間,週4日勤務,月額300万円,有給休暇は,月に2日という条件が来ております。われわれにとっては,かなりの出費なのですが,茜は現在AV女優としては,トップクラスの人気を得ている状況であり,月額1000万円以上も稼ぎ出していると聞いています。千雪組のスタッフ10名を支えている唯一の稼ぎ手です。それを考慮すれば,破格な条件と言えるかもしれません」

 

 秘書も,どちらかというと,擁護派だった。 


 警視庁長官は,非常勤勤務を常勤に変更するのに,自分の決済が必要になるとも思えなかったが,こと,千雪がからむ案件なので,やはり,自分が決済すべきだと考え直した。この程度の出費など,どうでもいいので快諾することにした。


 長官「わかった。では,3ヶ月だけの臨時契約とする。そこで成果が出ればこの条件で契約を1年間更新する。成果がでなければ,もとの契約条件に戻してもらう」

 夏江「茜の常勤勤務に変更する件,ありうがとうございます」


 夏江は,警視庁長官にお礼を言ったあと,2つ目の対策案を提案した。


 夏江「では,2つ目の対策案を提案いたします。それは,全国から優れた霊能力者を募ることを考えています。すでに,最初にビデオを見せましたように,水香の指輪には,もしかすると,悪霊や強力な呪詛な埋め込まれている可能性があります。

 それに対処するには,イタコのような自分の体に霊魂を呼び入れるような霊能力者ではなく,悪霊退治を謳う霊能力者が必要になります。

 幸い,我が国では,悪霊退治を得意とする密教,つまり,比叡山や高野山があります。そこで,霊験あらたかな悪霊退治のお札を入手するか,もしくは,高名な優れた退魔師を必要に応じて雇用契約できるように考えています」


 この夏江の返答に,幾人かは違和感を覚えた。というのも,仏教は俗世間に煩わされないという基本姿勢があるからだ。


 α隊隊長「密教については,世俗に関わらないと聞いている。それに,悪霊という目に見えないものをどうやって裁判で『証拠』として提案していくんだ?そのようなわけのわからない世界は,偽物が横行している。あなたにその見極めができるのかな?」


 そう言われて,夏江はしばし黙った。実は,夏江は霊感が強いほうだ。霊魂を感じることができるし,かつ,ときどきだが,霊魂を目視することもできる。でも,少しくらい霊感が強い夏江でも,『竜妃』の偽物を見抜けていない(第1話参照)。


 夏江が黙っていたので,室長が代わりに返事した。


 室長「まがりなりにも,比叡山と高野山の総本山の推薦ともなれば,偽物の可能性は低いでしょう。それに,本物かどうかは,警視庁の特別科学研究所で解明してはどうでしょう? そこで何らかの確証が得られれば,裁判でも証拠として採用されるはずです」

 

 特別科学研究所とは,いろいろな現象を科学的に解明するところだ。『研究所』と名乗っているが,東都理工大学など,有名な工学理学系大学の研究室を借りているだけだ。特定の建物はない。


 警視庁長官としては,なんでも反対するような立場ではない。ここは,とりあえずは,それなりの提案を準備したことに対して褒めるべきだと思った。


 警視庁長官「密教が悪魔退治を得意とするかは別として,とりあえずはそれなりの提案を準備してきたのは評価できる。われわれは,いずれは千雪組の力に頼らないで超現象が関与する事件を解決できるような組織になる必要がある。超現象捜査室の活躍には大いに期待している」


 警視庁長官の発言は,良いとも悪いとも言わず,『大いに期待している』という曖昧な表現にとどまったが,この言葉に夏江は超嬉しかった。


 夏江「長官,ありがとうございます!!絶対に,期待に答えたいと思います!!」


 かくして,夏江は晴れて,茜を常勤にすることができ,かつ,霊能力者集めや悪霊退治のお札集めができることに喜んだ。

  


 ー 夏江のアパート ー


 その夜の9時頃。


 夏江は,国産の最高級ステーキを2人前料理した。今回の会議では,多留真のアドバイスが有効だったので,多留真へのお礼をかねて,豪華な料理を準備した。


 間もなくして,多留真が夏江のアパートにやってきた。

           

 多留真「夏江,やっと捜査許可が下りたのは上出来だ。でも,茜がどこまで実力があるか未知数だ。もし,3ヶ月以内に,茜にしても悪魔退治の霊能力者集めにしても,それなりに成果がでなければ,お前はもうこの警視庁で出世することはできない。結婚退職するか,リンリンと同じ道を歩むかしかないぞ」

 夏江「先のことはどうでもいいわ。とにかく,特捜課がわたしの全面バックアップをしてほしいの。捜査情報を全部教えてちょうだい。わたしのおっぱいや乳首は,もうあなただけのものよ。他の人には触らせていないのよ。

 だから,それくらいのこといはしてよね。わたしは,純粋に水香が得た能力が何なのかが知りたいのよ。今,水香はどこにいるの?」


 水香の所在は,警視庁の内部でも内密にされていた。実質的に,多留真の監視下にあった。マスコミは,血眼になって,水香の行方を追っていた。


 多留真にしても,毎日の行動に,マスコミの記者による尾行がついていた。この夏江のアパートに来るにも,電車を何度も乗り換えて,記者を巻いて,やっと辿り着いた。

 

 多留真「いくらお前の頼みでも,それは言えない」

 夏江「わたしの処女をあげると言っても,ダメなの?」


 多留真は,ニヤニヤと笑った。同じような台詞をあるテレビ局の美人報道記者から言われたばかりだった。


 多留真「魅力的な提案だ。でも,マスコミが血なまこになって探している今の状況では無理だ。マスコミの動きが落ち着いてからならいいかもしれん」


 夏江は,上着を脱いで,ブラジャーを外した。Dカップのおっぱいを,多留真の胸に押しつけた。


 夏江「どう? 話す気になった?」


 多留真は,やさしくおっぱいを触りながら返事した。


 多留真「では,そのDカップに免じて,ヒントだけあげよう。水香は銃撃を受けて,病院のICU治療室で入院中だ。もしかすると,死亡するかもしれない。しかも,その銃撃された場所のそばに,4名の男たちが首を刎ねられて死亡した。監視カメラに,不鮮明ながらも,その映像もある。凶器は透明な刃物のようなもので切られている。ほんとに,未知のパワーが関与していると言わざるを得ない」


 おっぱいを触れている夏江は,その多留真の手をはねのけた。


 夏江「ど,どうして,そんな大事な情報,提供しないのよ!!わたしが,どれだけ,あなたのために,体を張っていると思っているのよ!!」


  夏江は,わざと怒りを露わにした。


  多留真は,このような貴重な情報を,夏江の体を得るための取り引き材料にしているのはわかっている。それでも,このような情報があるくらいのことは,事前に教えてほしかった。このエロガキめ!


 でも,少し冷静になって考えてみると,この首刈り事件の情報を事前に入手したとしても,今日のプレゼンの内容には,ほとんど変化がなかったろうと思った。


 多留真「わかった,わかった。そのビデオの情報も提供しよう。でも,わたしのあそこを舐めなさい。それが条件だ」


 多留真は,ズボンとパンツを脱いで下半身丸出しになった。


 夏江は,グロテクスな多留真の陰部を見た。見ていてまったく性欲を感じさせないものだ。返って,気分が悪くなる代物だと思った。とても舐める気にはなれない。


 この手の情報は,室長経由で要求すれば入手できる。でも,その手続きに1週間や2週間もかかってしまう。首狩り事件のビデオ情報は,今すぐにでもほしい。夏江は,やむなく『手こき』をしてあげるという提案をした。


 夏江「口は無理だけど,手でならしごいてあげるわ。射精までしてあげる。どう?」


 多留真は,この提案に乗った。


 多留真「いいだろう。ただし,射精する時は,精子を口で受けろ。それがギリギリの妥協点だ」


 夏江は,やむなしと思って同意した。


 多留真は,両手で夏江のおっぱいを強く握りながら,夏江に勃起した逸物をしごいてもらった。


 そして,,,多留真が『出るーー』と叫んだと同時に,夏江は口で逸物を咥えた。


 ドバッ!ドバッ!ドバッ!


 夏江は,初めて多留真の精子を口の中で受けた。酸味のする嫌な臭いがした。けっして好きになれない味だった。


 性欲を解消した多留真は,夏江に約束のビデオデータを渡した。


 夏江は,その映像を何度も繰り返し見た。しかし,夏江の目には,首を刈るところは,何も映っていなかった。


 そんな夏江のことは,ほっておいて,多留真は,おっぱいや乳首を強く握りながら,夏江の準備した料理を食べていった。


 夏江がビデオ映像に夢中になっている間,多留真は,おっぱいや乳首を握っていた。その時間は1時間ほどにもなった。


 食事を終えた多留真は,自分の自宅に戻った。


 夏江は,こんな調子で多留真に体を捧げてしまうと,近いうちに処女まで奪われてしまうのではないかと不安になった。


 多留真は独身なので,多留真と結婚することも可能だ。でも,多留真は,夏江を結婚相手とすることはしないだろうことは容易に予想できた。多留真が選ぶ結婚相手は,どこかのご令嬢であることは容易に予想できた。事実,多留真にいくつかの見合い話もあるようだ。


 夏江は,多留真から性的に卒業すべく,結婚相手を探すことを決めて,いくつかの結婚相談所に登録することにした。



ー 超現象捜査室 ー


 数日後


 夏江の手元には,4名の首刈り事件の監視カメラ映像と,1,2分で気絶する誘拐犯のビデオ映像データがある。かつ,関連の資料もおっぱいタッチによって入手した。この2本のデータ解析が当面の課題だ。


 茜が,新雇用契約のもとで出勤してきた。朝10時の出勤だ。茜の場合,家から出る時間で勤務時間がスタートする。そんなことはどうでもよく,夏江は早速,茜に例のビデオを見てもらった。例の2本のビデオ映像だ。


 見終わって,茜は夏江に質問した。


 茜「ビデオ見たけど,何をすればいいの?」

 夏江「わたしには何も見えないけど,とにかく,なんでもいいから見えたこと,教えて」

 茜「わたし,霊能力はもっていないわ」

 

 夏江は特捜課の資料を示して言った。


 夏江「実は,特捜課でも,民間の高名な霊能力者たちを呼んで,何の背景知識も与えずに,この2件のビデオを見てもらったの。そうすると,1件目のビデオでは,霧状の人影が見える,ネコ科の動物のようなものが見える,全体に霧がかかっているという答えしか得られなかったの。2件目のビデオでは何も映っていないって言われたのよ。

 つまり,まったく無意味な回答だったとこの資料に記載されているわ。だからこそ,α隊やわれわれが捜査するわけよ。つまり,この国のヘボい霊能力者では見抜くことが出来ないってことね」

 

 茜「じゃあ,千雪様の仲間の方に見てもらえばいいの?」

 

 夏江は,茜のほっぺにキスをしながら言った。


 夏江「茜はいい子ね。ぜひ千雪の仲間たちに見てほしいのよ。それも一流の霊能力者にね」


 茜の千雪組での立場は,とてつもなく低い。最下層に近いと言ってもいい。千雪組の稼ぎ頭は実は茜だ。でも,悲しいことに全然評価されていない。まるで男どもの肉便器にされて汚いものを見るかのような目つきで見下されてしまうのだ。


 だから,今の千雪組のスタッフたちは,茜の頼みなど誰も聞く耳を持つ者はいない。でも,茜は夏江の依頼を断ることはできない。だって,やっと友達とでも言えるような友人ができそうだからだ。


 茜「じゃあ,この2つのビデオをしばらく貸してくれる?今週は,自宅勤務にするね」

 夏江「了解よ。茜の双肩にすべてがかかっているのよ。がんばってちょうだい」


 夏江は,ニヤッと微笑んだ。逆に茜は悲壮な顔つきをしたかったが,逆に,茜も夏江に微笑み返しをした。


 茜は早速,千雪御殿に戻った。


 茜を見送ったあと,夏江は次に自分のすべきことに着手することにした。それは,悪霊退治ができる霊能力者の情報収集と悪霊退治のお札集めだ。


 

 ー 警視庁特捜課 ー


 特捜課では,相変わらず,突然死事件がどんどんと舞い込んできた。水香のいたA学園の男子寮の生徒200人全員が死亡し,理科の教員も死亡したのをきっかけに,A学園は廃校となってしまった。B学園の男子生徒も死者が200人以上に及び,校長,教頭や,その他教員も次々と突然死していき,実質,学校としての運営ができない状況に追いやられた。


 この突然死の原因は,他殺の可能性が高く,ある種の毒物によるものと推定された。

 

 突然死の携帯を調べると,それらのほとんどに,水香を犯している映像や写真が出てきた。理科の担当教諭の携帯からも,水香を犯している動画が山ほど出てきた。その一部は,すでにネットで公開されていた。


 これらの情報は,α隊だけに提供された。多留真としては,夏江の体と引き換えに情報を提供するつもりだ。


 そんな頃,一本の電話が鳴った。


 それは,水香が入院している病院からだ。手術が成功し,一命を取り留めたという連絡だ。絶対安静は必要なのだが,30分程度は尋問できる時間がとれるとのことだった。


 多留真は,しばらく考えてから,第4会議室に夏江を読んだ。



 ー 第4会議室 ー

 

 密閉の部屋になる第4会議室に夏江はノコノコと顔を出した。夏江は,おっぱいを触られるくらいで,情報を入手できると思った。


 夏江は多留真の向かいの席に座った。


 夏江「それで?どんな情報をくれるの?」

 多留真「情報ではない。例の水香が一命をとりとめた。短時間なら尋問もできるそうだ。どうだ?わたしの代わりに,尋問してみないか?」


 夏江は,虫が良すぎると思った。


 夏江「もちろん,タダではないんでしょう? おっぱいなら触っていいわよ」

 多留真「ふふふ。ダメだ。一発やらせろ」

 

 この言葉に,夏江は溜息をついた。


 夏江「わたし,結婚するまでは処女を守ります。それに,近々,見合いします。どうしてセクハラ上司のあんたに,処女をあげなくちゃいけないのよ」


 夏江は,席を立って自分の部署に戻ろうとした。多留真も急いで席を立って,夏江の手を引っ張って,自分の懐に抱きかかえた。その勢いで,多留真は夏江にキスをした。多留真の手は,夏江の服の下から突っ込んで,Dカップのおっぱいを強く握りしめた。


 多留真は,夏江が抵抗しなければ,服を脱がして,そのまま処女を奪うつもりだった。


 夏江は,自分の携帯を取り出して,多留真が夏江を抱いている様子を録画した。


 多留真の手は,夏江のズボンを引き下げて,さらにパンティも引き下げていった。その様子も夏江は録画した。


 夏江「キャーー!!やめて,変態!ドスケベ!!」


 夏江は,小さな声で叫んだ。それは,携帯の録画機能で音声を録音するのに十分だった。


 この声を聞いて,多留真は,夏江が携帯で多留真を録画しているのを知った。


 多留真「夏江,その録画は何だ?」


 夏江は,ニヤッと笑った。


 夏江「セクハラの証拠よ。このまま上司に訴えて,あなたを解雇してもらうわ。解雇とまではいかなくても,どこか暇な部署に異動することにまるでしょうね」


 夏江は,そうしないことは知っていた。でも,万一のことがあるかもしれない。多留真は妥協した。


 多留真「しょうがない,では,フェラで手を打とう。どうだ?」

 夏江「それで,わたしも妥協するわ」


 夏江は,多留真の男性自身を自分の口で舐め,かつ,右手でしごていっていった。夏江の技術が下手くそなためか,30分もこの動作を繰りかえしても,いっこうに多留真は射精しなかった。


 多留真「夏江,下手くそだな。これでは,いつまで経っても射精しないぞ!!」

 

 夏江は,ちょっと頭に来た。


 夏江「ここまでしたのだから,水香の病院の名前くらい教えてよ」


 確かに,夏江なりの頑張りは認めざるを得なかった。多留真は,病院の名前を教えた。


 多留真「教えたから,さっさと続きをしろ!」

 夏江「わかったわ」


 夏江は,もうこれ以上,多留真との関係を継続するつもりはなかった。何かいいきっかけはないものか? ふと,ある方法を思いついた。


 歯を立てて,思いっきり多留真の勃起した逸物を噛んだ。


 多留真「ギィー-!!」


 あまりの痛さに,多留真はその場でふんずり帰り,のたうち回った。逸物から,少し血が流れだした。


 夏江「どう?わたしのフェラの味は。さっさと病院行ったほうがいいわよ」


 夏江は,そう言い残して,教えられた病院に向かった。


 

 その後,多留真は,やむなく自分で救急車を呼んだ。


 ーーーー

 


 

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