第4話 水香の誘拐


 水香は女子寮に住んでいるが,食堂は昼と夜しか開いていない。朝食は自前で準備する必要がある。カップ面やパンなどの食材は自販機で販売しているので,寮から出ないでも餓死することはない。水香の場合,週に一度くらいは食パンなどの買い出しにスーパーに行っていた。


 ちょうど夏江や被害者のB子の両親らが竜姫の相手をしている頃,水香は食料の買い出しにスーパーに行っていた。


 そのスーパーの帰り,水香は何者かによってバンタイプの車に押し込められて,この町から姿を消した。


 この誘拐犯は5人グループだった。水香の誘拐はスムーズだった。か弱い女生徒を誘拐するなど,その気になればなんら難しいことではない。彼ら誘拐犯にとっても,容易な作業だった。ただ事前準備として,誘拐する場所の付近に,監視カメラがないことを確認するだけでよかった。


 彼ら5名の担当はもちろん事前に決められた。運転手担当,ビデオカメラ担当,携帯のビデオ通話アプリ担当,そして,誘拐担当は2名で,そのうち一人は,目隠しや猿ぐつわの担当をし,もう一人は,手足を縛って拘束する担当だ。そして,その手足を縛って拘束する担当が,この誘拐犯グループのボスだ。


 携帯でビデオ通話アプリを使う担当は,依頼主の源太と繋がっていて,源太とその仲間たちはその誘拐劇の一部始終を見ることができるようにしている。


 その車の中では,水香は目隠しをされ,かつ猿ぐつわもされた。声を出そうにも声はできなかった。さらに,両手両足も縛られた。車の中では,それ以上の行為はしなかった。後で目的地に着いてから,ゆっくりと水香を犯していけばいいだけだ。


 誘拐犯のボスは,水香が巨乳をしていることを知った。服の上からでも,その巨乳ぶりはよくわかった。


 ボスは,おもわず「このガキ,でけーおっぱいしてやがるぜ!今から,服をひん剥くのが楽しみだ!」と口走った。


 水香は,12歳にもかかわらずDカップにもなる豊満なおっぱいをしていた。水香が女子寮でいじめにあったのも,その巨乳が原因だ。


 「なに,あのおっぱい!これ見よがしにして」

 「そうよ,そうよ。いじめてやろう」

 「ふふふ,そうね。どうやっていじめてやろうかしら」


 こんなしょうもない理由で,おっぱいにコンプレックスを持っていた上級生のA子ら6名が水香をいじめだした。でも,まさかそれが原因で,彼女たちはその短い人生を終えるとは思ってもみなかった。


 水香を乗せた車は,山道に入っていき,とうとう人が通ることのない場所に来た。この場所だと,いくら悲鳴を上げても人に聞かれることはない。


 誘拐犯のボスは,水香の目隠し,猿ぐつわ,そして手足の拘束をすべて解いた。水香は,見ることも叫ぶこともできるようになり,体も自由に動かせるようになった。でも,水香は,大人しくしていた。騒いだところでどうしようもないことを知っていた。


 ボス「体を自由にしてやったから,車から降りろ!」


 水香は車から降りた。その場所は人里離れた原っぱだった。ボスは,車のトランクルームから毛布を持ち出して,適当な場所に敷いた。


 ボス「では,その場で裸になって,毛布の上で横になりなさい。いやなら,無理やりにでもするが,どちらがいい?」


 そう言われては,水香は自分で言われた通りの行動をするほうがいいと思った。どうせ以前,6名の男どもに犯された身だ。さらに犯されることになっても,大したことではないと自分に言い聞かせた。


 自分を犯した男どもには復讐できなかったものの,少なくとも,水香をいじめた女子寮の先輩たち6名は,誰が殺したのか不明だが,死んでくれた。少しだけだけど,気持ちが楽なったと感じることができた。


 そんなことを考えながら,このまま犯されて殺されてもいいかと思ってしまった。

 


 水香はその言葉に従うことにした。


 水香「わかりました。自分で裸になります」


 ビデオカメラ担当者の誘拐犯が,それに注文をつけた。


 「こちらも気分を盛り上げたいから,ゆっくりと脱ぎなさい。しっかりとビデオでドアップに撮ってあげるからな」


 水香は,その言葉に返事せず,Tシャツを脱いだ。水色のブラジャーが露わになった。ブラジャーをしているとはいえ,いじめの対象になったDカップが創る谷間のラインに,誘拐犯ども釘付けになった。


 次に,水香はズボンを脱いだ。その結果,水香は,ブラジャー姿とパンティ姿となった。ビデオカメラ担当者は,そのDカップの谷間と,パンティで隠された股間部分をアップに映していった。


 携帯のビデオ通話ソフトではアップ機能はない。それでも,ビデオ通話ソフト担当者は,水香の側に寄っていったので,モニター越しで観ている源太は,「おお,また水香の巨乳を見ることができるとはありがたい」と言った。


 源太の部屋には仲間たちが集まっていた。この誘拐劇の一部始終を見るためだ。源太は携帯の画面をモニター画面に出力させていたので,彼の仲間たちは,この誘拐劇を大画面で見ていた。


 A男「この映像を観ていたら,また水香を犯したくなりますね。あの巨乳をもう一度味わってみたいです」


 このA男の感想は,他の連中も感じていたことだ。だが,源太は,至極まじめだ。


 源太「そう思うのは勝手だが,しっかりとモニター画面を観ていなさい。果たして,このまますんなりと犯されて殺されてしまうのかどうか」


 源太の真面目な姿勢に,仲間たちは,エッチな気持ちを抑えて,気を引き締めてモニター画面を観ることにした。


 下着姿となった水香は,今度はブラジャーをゆっくりと外していった。


 その時だった。水香の頭の中に,声が飛び込んで来るのが聞こえた。


 『かれら,,,ころす,,,ですか?』


 それは,ちょっと,すぐには理解できない月本語だった。


 水香は,小さい声で返事した。


 水香「え?何?」


 水香のブラジャーを外す動作が,一瞬停止した。でも,数秒後には,その単語を並べたような月本語の意味は,おおよそ理解できた。それに,この声の主は,女子寮で水香をいじめた先輩方を殺した犯人だということも,直感的に理解した。


 水香は,頭の中に聞こえた言葉の意味が,『彼らを殺してほしいですか?』と理解した。


 水香は,すでに自分が自殺する覚悟をしているので,自分を犯そうとしている連中がどうなろうと気にするはずもない。水香の返事は決まっている。水香は,小さな声で返事した。


 水香「はい。ころしてください」


 水香は,小さい声でそう言ったものの,言葉が理解できないと思って,さらに,言い方を変えた。


 水香「かれら,,,ころす,,,おねがいします」


 すると,また頭の中から声がした。


 『ほうしゅう,,,なに? ほうしゅう,,,なに?』


 水香は,この変な月本語の内容がすぐにわかった。どんなことでも,必ず報酬はつきものだ。でも,今の水香にお金はない。それで,正直に返事することにした。


 水香「ほうしゅう,,,お金,,,ない。でも,何でもする」


 水香が,いっこうにブラジャーを外すことなく,動作を止めているのをみて,ボスは,いらだって怒鳴った。


 ボス「おい,こら!何,独り言を言っているんだ。さっさとブラジャーやパンティを外せ!これ以上ぐずぐずしていたら,強制的に脱がすぞ!!」


 その声に水香は,すぐに返事した。


 水香「は,はい。すぐに脱ぎます!!」


 水香は,少し慌ててブラジャーを脱いで,さらにパンティも脱いだ。水香のDカップが露わになった。でも,いまさらおっぱいを隠しても始まらない。水香は,敷かれた毛布の上に横になった。すると,水香は急に眠気が襲ってきた。そして,そのまま眠気に勝てずに寝てしまった。


 こんな時に犯す相手に寝られてしまっては興ざめだ。泣きわめいてもらってこそ,興が乗るというものだ! ボスは,寝てしまった水香の隣に来て跪いた。


 ボス「おい,お前,寝てしまったのか?起きろ!」


 ボスは水香の顔を平手打ちした。


 パチーン,パチーン!


 水香は目をさました。だが,それは,水香ではない。メリルだった。メリルが水香の体を憑依した。


 メリルは,指輪をしている手でボスの手を取って,自分のおっぱいの上に置いた。ボスが水香のDカップのおっぱいを触っている間,指輪はボスの手に接触していた。


 ボス「おっ? これはこれは,積極的だな。ふふふっ」


 ボスは,モチモチとしてるそのDカップのおっぱいを揉んでいってた。


 1分が経過した。すると,ボスは,眠るようにしてその場に倒れた。


 運転担当の誘拐犯は,ボスがおっぱいを触るだけで寝てしまったのをみて笑ってしまった。


 運転担当「ボス,なにおっぱいを触るだけで寝てしまっているんですか? さっさと犯してくださいよ。こっちの順番がこないでしょう?わたしが先に犯してもいいのですか?」


 この言葉に返事がないので,さらに確認の言葉を言った。


 運転担当「ボス,では,先に私が犯しますよ。いいですね。いいですね。うん。では,遠慮なく!」


 運転担当は,ボスが返事しないので,先に水香を犯すことにした。彼は,ズボンとパンツをそそくさと脱いで,勃起した逸物を露わにした。そして,水香のおっぱいには目もくれず,水香の股を開いた。彼は,自分の右手につばを吹きかけて,濡れた右手で,水香の膣の中に突っ込こみ,膣の部分全体が潤うのを待った。


 その動作の所要時間は,少なくとも2,3分ほど必要だった。だが,その時間があれば,水香の左手にしている指輪が彼の膝部分に1分以上接触させるのは十分だった。


 指輪が,相手の体のどこにでもいいが,1分以上接触させることができれば,その体から体力を奪って気絶させる程度のことは可能だ。


 運転担当は,勃起した逸物がいつのまにか萎えてしまって,急に頭がクラクラしてきて,その場に倒れた。


 それをみた目隠し担当は,ちょっとおかしいと思って,運転担当のところに来て,彼の体を揺り動かした。


 目隠し担当「おい,どうした?気絶したのか?おい!!」


 その言葉に,運転担当は一瞬意識を取り戻した。


 運転担当「な,なんか,急に体の力が抜けて,意識を失ったようだ。体を動かす力もない。しばらくここで休ませてくれ」


 運転担当はそう言って,その場で寝るようにして倒れた。


 目隠し担当は,何かおかしいと感じたものの,食あたりか何かで急に体力が減衰したのだろうと思った。同じく気絶しているボスも,彼と同じ状況だろうと思い込むことにした。


 目隠し担当は,水香の体に目をやった。そして,彼の顔がほころんだ。


 目隠し担当「では,わたしが初陣を切ろう」


 目隠し担当は,運転担当と同じく,ズボンとパンツを脱いで逸物を露わにした。彼は,水香のDカップのおっぱいを左手で触りながら,右手の指を膣の中に入れて刺激した。


 水香の左手は,おっぱいを揉んでいる彼の左腕の部分を掴んだ。その動作はとても自然で,特に違和感を与えるような動作ではなかった。


 1分後,,,


 目隠し担当もその場に倒れてしまった。


 残りの2名のビデオカメラ担当とビデオ通話担当は,さすがにこれはおかしいと感じた。


 ビデオ通話担当は,この映像を観ている源太たちに異変について連絡した。


 ビデオ通話担当「彼女を犯そうとした連中は,どうしてか,倒れてしまった。これって,なんだ?」


 ビデオ通話担当も,源太たちに何を聞いていいかわからなかった。


 モニター画面を観ている源太たちも,さすがに異変に気がついた。


 源太「こちらも,モニター画面を食い入るように観ていたが,まったくわけがわからない。もうこうなっては,犯すことはもうやめて,すぐに水香を殺してほしい」


 そう言われても,殺す担当はボスだ。 ボスが水香の首を締めて窒息死させる手はずだった。


 ビデオ通話担当「でも殺す役目はボスだから,わたしは人殺しはしたくない」

 

 源太たちにとっては,ここでなんとしても水香を殺してほしかった。今の水香は,間違いなく何か未知のパワーを持っている。それは,人を殺せるほどのパワーに違いない。


 源太は,彼らを脅迫することにした。


 源太「ここで水香を殺さないと,このビデオ通話の録画データを警察に提出するぞ!お前たちはすぐにレイプと殺人未遂で捕まるぞ!

 ここまで来た以上,首を締めて殺しすなり,首をへし折るなりして水香を殺しなさい。1人がいやなら,2人ががりで殺せばいい。お互いに相手側が殺したと思えば,罪の意識はなくなるぞ」


 ビデオ通話担当とビデオカメラ担当は,お互いに顔を見合わせた。彼らにとっては,行くも地獄,戻るも地獄だ。


 ビデオ通話担当「でも,あの女性は3人も気絶させているんですよ。なんか,へんな力を持ってますよ!」


 この言葉に,源太は直ぐに返事した。


 源太「こちらもモニター画面で見ていた。水香がどんな力を持っているかは知らないが,でも,相手の体を触って気絶させることができるようだ。でも,気絶するまで1,2分の時間ががかかっている。

 つまり,一瞬で水香を殺せばいいだけのことだ。刃物で首を切ってもいいし,首の骨を折ってもいい。どちらでも瞬時に殺せるはずだ」


 ビデオ通話担当は,血を見るのが好きではなかった。そこでビデオカメラ担当に聞いてみた。


 彼らはすぐに結論を出した。水香を殺すしかないと。彼らはお互いの意思を確認して,源太にその意思を伝えた。


 ビデオ通話担当「では,源太さんの言う通りにします。ビデオ通話も,ビデオカメラの録画もここまでです。いいですね?」

 

 彼らの決心を聞いた源太は,ニヤッと微笑んだ。


 源太「ああ,構わない。吉報を待っている」


 ビデオ通話担当は,携帯のビデオ通話を切断した。ビデオカメラ担当も,ビデオカメラの電源を切った。


 彼らは,ゆっくりと毛布に横たわっている水香のところに来た。


 ビデオ通話担当は,水香にひとこと言った。


 ビデオ通話担当「水香と言ったかな?あなたには申し訳ないが,ここで死んでもらう」


 ビデオ通話担当は,ボケットから折りたたみのナイフを取り出した。


 ビデオ通話担当「水香の両腕を抑えてくれ。俺がナイフで喉を掻っ切る」

 ビデオカメラ担当「わかった」


 ビデオカメラ担当は,毛布の上で横になっている水香の側に寄って,彼女のお腹の上に跨って騎乗位となり,両腕の上腕部分を抑え込んだ。抑え込んだと言っても,水香はまったくの無抵抗だったので,彼はほとんど力を入れずに水香を拘束できた。


 メリルは,左側の下腕を動かして,彼の腕に指輪をしている左手部分を接触させることに成功した。


 ビデオ通話担当は,水香が完全に拘束されて動かないのを確認した。彼は,何度か息をととえようとした。いざ,ナイフを振り下ろすとなると,さすがに勇気がいる。

 

 少しの間があって,やっと,ナイフを振り下ろす覚悟を決めた。


 ビデオ通話担当「よし,では彼女の喉を指すぞ」


 彼は,水香の頭の側に跪いて,ナイフを首めがけて振り下ろした。


 ブスッ!


 そのナイフは,見事に首の部分に刺さった。


 ビデオ通話担当「え?何?なんで?」


 ビデオ通話担当は,いったい何が起きたかわからなった。でもわかったのは,自分が刺した相手がビデオカメラ担当だったということだ。


 ビデオカメラ担当は,悲鳴を上げることなく,ドクドクと血を流して,その場に倒れた。


 その大量に流れ出した血を見たビデオ通話担当は,突き刺さったナイフから手を離して,跪いた姿勢のまま後ずさりした。


 彼の最大の失敗は,ナイフを振り下ろす前に,15秒ほど時間を開けたことだ。その前に指輪は15秒ほど彼の腕に接触していた。合計で30秒だ。 彼の体力を半分も削減できた。そのため,水香のか弱い体でも,彼から拘束を解いて,彼の体を水香のいた場所に押し倒すのは容易なことだった。


 体の上半身が血まみれになった水香は,首に刺さったナイフを彼の首から引き抜いた。メリルはゆっくりと立ち上がった。そして,少し体が震えているビデオ通話担当を見た。


 もし,彼が冷静であれば,この場からすぐにでも逃げ出せたはずだ。だが,彼は,まったく冷静さを失っていた。頭が混乱していた。


 そのため,メリルが彼の首を突き刺すまで,なんの抵抗もしなかった。


 首にナイフで刺されて,その痛さで,ビデオ通話担当は我に返った。彼は心の中でつぶやいた。


 ビデオ通話担当『え?俺って,ナイフで首に刺された?』


 メリルは,次に気絶している3人の首を次々とナイフで刺していった。


 メリル『なんとも,月本国の男たちって,か弱い連中が多いこと。霊力が使えない今の私でも簡単に殺せてしまうわ。これなら,霊力を持ってしまえば,この月本国を征服することだってできそうね,ふふふ』


 メリルは,楽観的になった。メリルが憑依できる時間は,最長で1時間までだ。今は,パワーを温存したいので,憑依できる時間は,短ければ短いほどいい。


 メリルは,すぐに憑依を解いた。


 ドタ!


 水香の体はその場に倒れた。しばらくして,水香が目を覚ました。自分の体が裸体なのはいいとして,上半身が血だらけで,その血はすでに乾いてカサカサ状態だった。さらに,周囲には,首から血を流した5名の死体が転がっていた。


 水香「え?これって,わたしが殺したの?」


 水香は,自分の右手を見た。右手には,しっかりとナイフを握っていた。水香は,慌てて,そのナイフを投げ捨てた。


 今,水香ができることは,警察に連絡することしかない。水香は,車のところに行って,自分のカバンを見つけて,携帯を取り出した。そして,110番に電話した。



 しばらくして警察が現場に来た。水香は,衰弱が激しかったため,そのまま病院に入院させられた。

 

ーーー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る